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阪急杯は1日、阪神競馬場でフルゲート18頭によって争われ、6番人気のベストアクターが差し切って重賞初挑戦Vを飾った。浜中騎手は、昨年の京阪杯での落馬負傷から前日の2月29日にレース復帰したばかりで重賞制覇。6Rでの復帰V、8Rに続き、1日3勝の活躍で完全復活をアピールした。1番人気で2位入線のダイアトニックは斜行により3着へ降着、3位入線した2番人気のフィアーノロマーノが2着となった。
静かなスタンドに蹄音を響かせ、ベストアクターが突き抜けた。JRA史上初の“無観客重賞”で重賞初挑戦V。浜中騎手が笑みを浮かべた。
「直線は“進路を見つけられれば”と思っていた。反応も良かったので、何とか差し切ってくれと思いました」
中団を追走。直線では馬群に包まれたが、残り1ハロン地点で前があくと鋭く伸び、3連勝のゴールへ飛び込んだ。
昨年11月24日の京阪杯で落馬負傷した鞍上は復帰2日目での重賞V。鎖骨、胸椎、両肩甲骨、左右肋骨、左手甲と計12本の骨折で、入院後1週間は体を動かせなかった。「痛くて寝られない」と苦しんだが、競馬番組を見ることはやめなかった。
「落馬が怖い思いはある。でも、乗る楽しみのほうが大きい。早く戻ってあの中に入りたい」
12月23日に退院。筋力回復のリハビリ、調教騎乗再開を経て、ターフへ戻ってきた。この日の阪神6Rで復帰後初Vを飾ると「勝てば苦労も飛びます。勝つのが一番の薬です」。8Rで2勝目を挙げ、メインも制覇。“良薬”が効いて、ターフの主役へ返り咲いた。
復活したダービージョッキーに導かれたベストアクターにとって、3月1日は祖母の重賞5勝馬ダイナアクトレスの命日。鹿戸調教師は「運命かな。そういう日に勝ててよかった」と目を細めた。
今後は京王杯SC(5月16日、東京、GII、芝1400メートル)から安田記念(6月7日、東京、GI、芝1600メートル)へ。短距離界の主役を目指し、連勝街道を突き進む。 (渡部陽之助)
ベストアクター 父ディープインパクト、母ベストロケーション、母の父クロフネ。芦毛のセン6歳。美浦・鹿戸雄一厩舎所属。北海道千歳市・社台ファームの生産馬。馬主は(有)社台レースホース。戦績12戦6勝。獲得賞金1億1373万8000円。重賞は初勝利。阪急杯は鹿戸雄一調教師が初勝利、浜中俊騎手は2012年マジンプロスパー、14年コパノリチャードに次いで3勝目。馬名は「最高の男優。ターフで主役になれることを願って」。
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