冷たい北風吹き抜ける中山で、2年前の覇者が高らかに復活を告げた。0秒2差に上位6頭がひしめく大混戦を制したのは
ヒシイグアス。松山騎手は静かな口調で相棒の走りをたたえた。
「能力があるので、とにかくリズムを大事に自分の競馬をしようと思っていました。すごいメンバーの中で勝ち切ってくれて強かったですね」
強風の中、道中は馬群の中でじっくりとスタミナを温存。直線では一瞬、前が詰まるシーンもあったが、慌てずに外へ体勢を立て直して豪快な末脚で突き抜けた。
昨年の
宝塚記念で2着に好走後、美浦に戻ってくる最中に生死の境をさまようほどの熱中症に。長期の入院を余儀なくされ、この日が8カ月ぶりのカムバックだった。それだけに「無事に復帰できてまずはそれからと思っていたので、よかったです」と阿部雅英オーナーは喜びをかみしめた。
この日は堀調教師がサウジ遠征のために不在だったが、「状態が良ければ春のどこかのGⅠへ」と阿部オーナー。とてつもない生命力を見せつけた
ヒシイグアスが、さらなる高みへと登りつめる。(漆山貴禎)
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ヒシイグアス 父
ハーツクライ、母ラリズ、母の父バーンスタイン。青鹿毛の牡7歳。美浦・
堀宣行厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は阿部雅英氏。戦績16戦7勝(うち海外1戦0勝)。獲得賞金4億5908万4000円(うち海外8769万4000円)。重賞は2021年GⅢ中山金杯、GⅡ
中山記念に次いで3勝目。
中山記念は
堀宣行調教師が16年
ドゥラメンテ、17年
ネオリアリズム、21年
ヒシイグアスに次いで4勝目。
松山弘平騎手は21年ヒシイグスに次いで2勝目。馬名は「冠名+
アルゼンチンにある最大の滝」。