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【日本ダービー 北の国から生産馬にエール③】メイショウタバル・三嶋牧場の三嶋健一郎取締役「無事に走ってくれればいい」

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【日本ダービー 北の国から生産馬にエール③】メイショウタバル・三嶋牧場の三嶋健一郎取締役「無事に走ってくれればいい」

競馬の世界で誰もが夢焦がれ、生涯目指し続ける日本ダービー。2021年に誕生した7906頭(国内7737頭、輸入外国産馬169頭)のサラブレッドから出走のチャンスを奪取した18頭の生産者も5月26日の本番に胸を高鳴らせている。

〝あの子馬が晴れ舞台に立つ〟〝とにかく無事に〟。それぞれのドラマを乗り越えてきたわが子に北の国からエールが届いた。

メイショウタバルを送り出す北海道・浦河町の三嶋牧場は「コンスタントに走る血統」とクラシックに駒を進めた鹿毛馬を誇りに思っている。(取材構成・大塚美奈)




出産シーズンも佳境を過ぎた5月半ば、北海道の日高地方は生命の息吹に満ちあふれる。

新緑が鮮やかに萌え、鳥の声が響き渡る大空の下で、馬の親子たちが群れをなすようになる。

子育て真っただ中の母馬が体力を養うように黙々と草を食み、かたわらでは一日ごとに大きくなる子馬が無邪気に飛び跳ね、乳を存分に吸う。北海道・浦河町の三嶋牧場でも、期待の子馬たちがたくさん誕生した。

取締役の三嶋健一郎さん(51)は「メイショウツバクロの当歳? 今年はアルアイン産駒の牡馬が生まれました」と声を弾ませる。

メイショウツバクロは牧場を代表する繁殖牝馬になった。2021年に出産したゴールドシップ産駒のメイショウタバル毎日杯を制し、今年のダービーに駒を進める。

1冠目の皐月賞にも出走したが、ゲート入りでテンションが上がり、ハイペースで逃げた末に17着に敗れた。

皐月賞はうまく折り合えなくて残念でしたが、ダービーは出るだけでも大変なので、無事に行けてすごくよかったです」。淡々と語りながらも、安堵と喜びがにじんでいた。

三嶋牧場は戦前に創業した日高の老舗だ。1961年に法人化。地道に生産を続け、2009年に京都牝馬Sチェレブリタで重賞初勝利。繁殖、育成〝一貫教育〟で生産馬を磨き、ダノンキングリーが優勝した2021年の安田記念で悲願のGI初制覇を飾った。現在、生産頭数は約100頭となり、今年はテーオーロイヤル天皇賞・春を獲得。タバルの活躍もあり、リーディングブリーダー3位を走っている。


「牧場を拡大しながらある程度結果も出るようになったけど、3位はデキすぎです」と謙虚だが、古くから手掛けてきた母系を大事にしてきた成果でもある。

タバルの血統も三嶋牧場を支えてきた。米国で生まれ、日本に輸入された5代母サイレージから〝ドラマ〟は始まった。

「サイレージは自分が中学の頃から牧場にいた馬でした。子出しがよくて、ものすごくいい馬ができたな、と思ったのが娘のシアトルダンサーで、中央で3勝した後に繁殖としてうちに帰ってきました。なかなかオープン馬は出なかったけど、コンスタントに走る母系でありがたかったですね」

1984年に生まれた4代母シアトルダンサーへの期待を大きく開花させたのは、彼女の孫で祖母のダンシングハピネスだった。一族同様、子出しのよさを発揮した牝馬は、2012年の京都大賞典を勝ったメイショウカンパクを出産した。

「ダンシングハピネスは今年で25歳になりましたが、牧場の功労馬として今も元気に過ごしています。毎年頑張って、重賞勝ち馬も出してくれましたからね」と振り返る。

そんな大切な血筋を代表する1頭に成長したのがタバルだ。ダートに強く、スピードもあるフレンチデピュティ産駒の母メイショウツバクロに菊花賞有馬記念などGⅠを6勝したゴールドシップを配合して誕生した。

「ツバクロはいつもコロッとした体形の子供を出すので、ゆったりした馬体で距離も持つゴールドシップを付けてみようと思ったんです。でも、生まれてみたらタバルもコロッとしていた。すごく目立つ感じではなかったけど、形がきれいでしっかりしていて、いい感じだったのは覚えています」

キラリと光る原石に惹かれたのが、メイショウの冠で知られる松本好雄オーナー(86)だ。メイショウカンパクはもちろん、三嶋牧場の生産馬を長年購入し、今も浦河まで足を運んでくれる情の深い馬主は、ツバクロと放牧地から厩舎へ戻る子馬時代のタバルに惚れ込んだという。


そして、タバルを管理する石橋守調教師にとってはツバクロも忘れられない存在。騎手時代、最後の勝利をもたらした馬だった。

三嶋さんは「何十年もお世話になって牧場を支えてくれた松本オーナーの馬でダービーに行けるのも本当にうれしいし、石橋先生はタバルがデビューした早い時期から〝この馬でダービーに行きたい〟と言ってくれて、牧場のスタッフと〝先生がすごく力が入っているね〟と話したのを覚えています。育成時代は(性格が)きついところもあったけど、乗りづらいという話はなかったし、やはり(入厩してからも)乗り味はよかったんでしょうね」としみじみ語る。

「正直、期待はしていたけど、重賞を勝つまでになるとは思わなかった」というタバル。馬は無限の可能性を秘め、時に人が描いた夢や希望を想像以上に飛び越えてみせる。

5月26日は東京競馬場へ応援に行く予定だ。2019年のダービーではダノンキングリーが2着に善戦しており、タバルは〝先輩〟の夢も担っている。

「ダービーは出したいレースだし、いつか勝ちたいレースでもあります。でも、一番は無事に走ってくれればいい。タバルは若駒Sで競走除外になったり、スプリングSをフレグモーネで回避したり、いろいろ不安もあったから。今回はゲートにうまく入って、折り合いがついてくれればいいですね」と生産馬にお願いするように笑った。

三嶋さんにツバクロの今年の種付けについて聞くと、「ゴールドシップを付けようと思っています」と返ってきた。

6馬身差で圧勝した毎日杯が証明するように馬のポテンシャルは一級品だ。ダービーへの夢は、まだ見ぬ命にも受け継がれていく。

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