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【霧プロの重賞レースおさらい帳】フェブラリーS2024 極限の削り合いの中で真の適性が開花! ペプチドナイルが押し切ってG1初制覇

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【霧プロの重賞レースおさらい帳】フェブラリーS2024 極限の削り合いの中で真の適性が開花! ペプチドナイルが押し切ってG1初制覇


展開読みというのは本当に難しい。
逃げ馬がたくさんいて当然ハイペースになると思いきや、全員が「どうぞどうぞ」と抑えて超の字の付くスローペースが形成されたり、単騎逃げ濃厚の馬がいれば、ここぞとばかりに執拗に突いてくる非逃げ馬がいたり。結局のところスタートしてみないと分からない部分が多いのだ。

それはフェブラリーSも同様だった。
逃げ馬らしい逃げ馬はドンフランキーただ1頭。スプリント路線で存在感を発揮している彼の高速逃げに対して他馬がどのように動いてくるかで、展開は大きく変わるように思えた。ぽーんとドンフランキーだけが出て、他馬は控えてスローペースになるパターンや、G1らしくペースが緩まないパターン、どちらも想像はできた。
結果から言えば後者のパターンでレースは進んでいったのだが、上位人気に推されていたウィルソンテソーロドゥラエレーデがかなり積極的な姿勢を示し、少し離れていたとはいえ、オメガギネスもハイペース上等とばかりに好位の位置取り。想像以上に”みんな付いてった”ことで、1000m通過は57秒9。ここまでペースが上がるというのは完全に予想外であった。
こうなると当然好位追走組は苦しくなり、上位人気馬たちは早々に圏外へ。しかし、その中でただ1頭悠々と抜け出してきたのが、道中でウィルソンテソーロドゥラエレーデと同じ位置にいた伏兵・ペプチドナイルであった。

今回が初めてのマイル挑戦だったペプチドナイル
道中の挙動を見ると、ウィルソンテソーロドゥラエレーデと比較してもかなり前向きな走りで、追走に苦労するシーンは一切なし。むしろこのあたりの距離が適性と思わせるほどにスムーズで、強い抜け出し方であったように思う。逃げ馬というイメージが強く、近走は好位からの競馬でも崩れないで走ってはいたが、大きく性格の異なるこの舞台でここまで変わるとは想像が及ばなかった。道中の行きっぷりからは更に距離が短くなっても楽に対応してきそうな印象で、今後の進路においてかなり幅広い選択肢を獲得したことになる。
しかし指数的な見地で見ると、当レースの歴史の中でも最下位を争うほどの低い数字しか出ておらず、今回の勝利がそのまま”ダート王”の称号に繋がるかは半信半疑。海外遠征中の一線級とぶつかった時にどれだけのパフォーマンスを発揮できるのか、そこが試金石になるだろう。

2着にはここが初のダート戦だったガイアフォースが飛び込んだ。
これまでとは全く異なる舞台に戸惑ったような追走の仕方ではあったものの、ダートの走りには違和感がなく、砂を被っても極端に嫌がるような素振りは見せていなかった。このあたりの課題さえクリアしてしまえば、元々基礎能力は上位の馬。この結果には驚かない。
が、前述の通りレースレベルとしてはG1の割に低調。本馬自身も、芝のほうがハイレベルの走りを見せているように思える。現状では”芝の高速馬場がベストで、ダートもこなす”というイメージで間違いないだろう。今後もダート戦を走る機会は訪れると思うが、その際にどこまでパフォーマンスを上げてくるのか注目される。


大接戦の3着争いを演じたのは、末脚自慢のセキフウタガノビューティー
前者は寒い時期が合うのか、この中間の調教内容が非常に良く、揉まれ弱いという個性を加味した戦法が展開とも上手くフィットした。気性的に今後も大味なレースを展開すると思われるが、スムーズに外を回れるような展開になれば侮れない。
後者は道中内目から直線で外に出すという、ロスの少ない競馬。展開にも最高に恵まれていたが、最後の一押しが利かなかったあたりはやはり距離だろうか。元々ベストパフォーマンスを発揮しているのが1400mであり、マイルは僅かに長い。本馬にとってぴったりという条件のG1が存在しないのが残念だ。

敗れた人気馬に目をやると、オメガギネスは全く良いところなしの敗戦。
陣営は体調面を敗因に挙げていたが、実際にレースレベルは極端に落ち過ぎており、この着順が能力差によるものとは思えない。これまでは比較的ゆったりとしたレース間隔で、調教内容もソフトな感じだったが、詰まったローテで、調教でもかなり中身の濃い時計を出して臨んだというのは今回が初めて。このあたりで心身のバランスが取りにくかったのかもしれない。しっかりと立て直してくれば、また重賞級の走りを見せる可能性は高いだけに、巻き返しに期待したいところだ。

ウィルソンテソーロは、パドックの段階では落ち着いているように感じたが、返し馬あたりから妙に発汗が目立っており、テンションの面で普通ではなかった可能性を感じる。加えて厳しい展開でもあり、仕方のない敗戦だろう。
それでも速い流れのマイル戦でも好位追走が叶ったように、これまで歩んできた2000m級の距離よりは、今回くらいの距離のほうが合っている印象は強い。ここまでに示してきたパフォーマンスからも、立て直し成れば当然無視できない存在になるだろう。

ドゥラエレーデも道中積極的な運びではあったが、あまり追走に余裕を感じなかった。本質的にはもう少しゆったりと流れる中で淡々と先行する形が合っていそうだし、最終追い切りで異様に速い時計を出していたという点も、リズムの崩れる一因だったかもしれない。本馬に関しては真の適性がどこにあるのかも未だに明らかになっていないだけに、より評価を迷わせる一戦となってしまった。


(きり)プロフィール
ウマニティ公認プロ予想家。レース研究で培った独自の血統イメージに加え、レース戦績や指数等から各馬の力関係・適性を割り出す”予想界のファンタジスタ”。2023年1月には、長年の活躍が認められ殿堂プロ入りを果たす。

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