毎週プロ予想MAXの予想家に週末重賞への見解、注目馬について取材、紹介する連載「プロ予想家最速予想」。第34回は
オールカマーについて
山口吉野プロ・
霧プロの2名にお話を伺いました。早速、レースへの見解と注目馬を紹介していきます。
【山口吉野】―数字が証明する驚異の◎精度!レースV回顧を軸に展開する総合予想

パトロールビデオのレース回顧により、着順や着差から判断できない、競走馬一頭ごとの能力や適性を徹底分析。ウマニティでも安定した回収率を計上する山口吉野プロに
オールカマーの予想をお聞きしました。
―予想のポイントからお願いします。
Cコース替わりで内が有利になる可能性が高いので、枠順が大きなポイントになります。外枠の差し馬は能力よりもパフォーマンスを下げるリスクが高いと思います。
―
タイトルホルダーが復帰しますが、能力を出し切れば他馬との比較で力は一枚上とお考えでしょうか。
本領発揮すればここでは能力上位です。
―楽にハナへ行けそうな組み合わせに映りますが、この馬が自身に理想のラップで逃げたとき、展開利を受けるのはどのようなタイプでしょうか。
タイトルホルダーが緩い流れで逃げるのか淀みない流れで逃げるのかは分からないですし、枠順も決まっていないので展開利を受ける馬については正直判定不能です。緩い流れで逃げれば前や内が有利な状況になり、淀みない流れで逃げれば前後の有利不利はなくなり、時計が速く内が有利な状況になります。
―どちらにせよ内は有利だと。昨年同じコースの
セントライト記念を勝った
ガイアフォースは、ここ2戦マイルを走っています。適性距離をどのあたりとお考えでしょう。
ガイアフォースの適距離は2000m前後だと思います。1600mは本質的にやや忙しいですが、大トビで不器用な馬なので近2走はワンターンで直線の長いコースが合っていました。中山1600mだと合わないと思います。
セントライト記念は中山でも外からスムーズに動いて行ける形だったので力を出せましたが、AJCCは4角で被されて動けない形になり持ち味を出せませんでした。
―好走・凡走の要因がよくわかりました。この馬の強みを挙げるとしたらどの部分になるでしょうか。
この馬の強みは長く脚を使えるところなので、中山だと緩い流れでごちゃつく状況は合わず、淀みない流れやスムーズに動いていける形が理想です。
―淀みない流れがいいんですね。前走
小倉記念を勝った
エヒトはどうですかね。多少上がりがかかる競馬で走る印象ですが。
エヒトは出遅れやすくごちゃつく状況が合わない馬なので、淀みない流れでばらける展開が理想です。
―最後に昨年の勝ち馬
ジェラルディーナについてです。その後の好走も続いていますが、好走時は進路取りや展開が上手くハマっている気もします。
エリザベス女王杯は能力上位だったうえ、内荒れ馬場のハイペースで大外枠がマイナスにならない状況も味方しました。
有馬記念は大きく出遅れましたが、時計や上がりが掛かる状況が合っていたし、ハイペースを後方から運んで展開も向きました。
宝塚記念はハイペース後方の位置取りは良かったのですが、3~4角で5頭分外を回るロスが生じたので展開が向いたというほどではありませんでした。昨年の
オールカマーは内枠を生かしてロスなく運ぶことができましたし、時計や上がりが掛かる状況も向きました。中山2200mという条件は合いますが、外枠で時計や上がりが速い状況になると昨年よりパフォーマンスを下げる可能性が高いです。
取材後記:
ガイアフォースは改めてレース映像を見返すと、なるほどと思いますね。距離は合っても、内有利で被されると嫌となると、なんとも難しいです。
【霧】ー25週キングの座に君臨!競馬予想界のファンタジスタ

戦歴やレース内容、指数の研究により、的確に出走馬間の力関係を把握。そこへ長年の馬券生活で育まれた豊富な血統知識をブレンドし、コンスタントに人気薄の激走を見抜く霧プロ。今年の
オールカマーはどう映っているのでしょう?
―中山も阪神も馬場が速いですね。先週ローズSの決着時計1分43秒0には驚きでした。
レースを見ると前が競り合っているわけでもなく、むしろ折り合いに気をつけている馬もいますし、馬場(によるところ)は大きいでしょうね。
―一番評価できるのは勝ち馬になりますか。
実際強かったですからね。あの相手に1馬身つけたわけですから。
―
リバティアイランドと比べるとどうでしょうかね。
難しいですけど、ローズSのような速い時計で後ろから行くと、
桜花賞のように届かないような気もしますしね。
―たしかにそうですね。牝馬のステップレースを見て、京都内回りの
秋華賞でこそという馬はいましたか。
ローズSでは逃げられませんでしたが、
コンクシェルがポンとハナへ行けたら面白いですよね。
―ああ、なるほど。今回の一戦でオッズが落ちてくれるといいですね。さて、本題に入ります。注目は復帰戦の
タイトルホルダーかと思いますが、そのあたりも含め、予想のポイントをお願いします。
一時期より一線級が出てくるようになりましたよね。ちょっと前までは、一線級が秋の天皇賞へ直行したり、
毎日王冠を使うなか、
オールカマーはその隙間を狙う馬が集まる感じで、混戦の印象が強いんですが、今回はわりと上位と下位がはっきりしている印象です。
―上位にあたるのはどの馬になりますか。
タイトルホルダー、
ジェラルディーナ、
ガイアフォースに
ローシャムパークあたりですか。ふつうに能力を出してくれれば、
タイトルホルダーが抜けて強いと思うんですけど。
―抜けて強いとなりますか。
万全の状態ならですけど。
―この馬、好きなんですけど、形としてはやはり、
菊花賞のように序盤バーっと出していって一旦緩めてロングスパート、という競馬が合うのでしょうか。
けっこう力み気味に走る馬なので、気性的にハナに行くのはいいんでしょうけど、番手だった
宝塚記念もすごい強い競馬でしたから。一番は気分良く運べるか、ですかね。
―今回は前回に比べて組み合わせ的に楽な感じもします。
そうですね。ガリガリ来るようなタイプは……
ノースブリッジはいますが、最近逃げていませんしね。
―和生騎手は出していきますかね。
出していくと思いますし、このメンバーだと自然に出ちゃうと思いますね。調教でも走りが前向きというか、回転も速いし、出脚が速い感じなんですよね。
―楽に逃げの形、となると止まらない気もしますねぇ。阪神でG1・3勝、中山も
日経賞を連覇していますが、適性的はどうですかね。
たまたま好結果が出ているのが阪神というだけで、中山は得意な部類だと思うんですよ。要所要所で負けているので嫌なイメージがあるだけで。
有馬記念の2回は明確な敗因がありますし。
―それは外枠と海外帰りということですか。
そうですね。去年はモロに海外帰りの影響ですよね、行き脚も悪かった。一昨年は
菊花賞から大幅に馬体を増やしての外枠、まだ成長途上だったという面もあると思います。中山でいうと、その前の
セントライト記念も完全に詰まっていましたから。
―詰まっていましたねえ(笑)。今でも鮮明にレース映像が浮かびます。
東京とかのイメージがないのはもちろんなんですけど、阪神や中山みたいな急坂の小回りは庭に近いと思いますよ。
―状態さえ万全なら言うことなしですかね。
タイトルホルダーが能力の元値で抜けているとして、次に来るのはどの馬でしょうか。
二番目だと素直にいけば
ジェラルディーナになるんでしょうけど、
ガイアフォースや
ローシャムパークもそれほど差はないとみています。
―その3頭が次点と。
ジェラルディーナですが、昨年の
オールカマーを前から抜ける形で勝って以降、後方からの競馬が続いています。このあたり何か変化は感じますか。
元々、気性に難しいところのある馬なので、あえてそういう競馬なのかもしれませんが、
宝塚記念では早めに位置を上げる競馬もできましたよね。あの動き方は「やるなあ」という感じでした。それまであまり評価していなかったんですよ。
―エリ女も
有馬記念も馬場や展開が向いた感じがして、本当に強いのかどうかイマイチわからずにきました。
宝塚記念も展開が向いたといえば向いていますからね。
―今の馬場で後ろからだと少し怖いです。
ガイアフォースはどうですかね。マイルの走りには驚きました。挑戦前は「なぜマイル?」という声のほうが多かった印象です。
私は意外といけるんじゃないか、という見地だったんですよ。
―仰っていましたよね。ざっくり言うと母父
クロフネでマイラーっぽいと。同じコースの
セントライト記念を勝ち、AJCCを負けていますが、この差に何を感じるでしょうか。
このくらいの距離になるとスムーズに運べないと脆さを出しているイメージなんですよね。マイルだと意外と揉まれても伸びてきていましたが。本質的にはお母さん側が強く出ていて、2000mを越えると怪しくなるタイプなのではないかと。
―以前の取材で逃げると面白いかもしれないと仰っていましたが、今でもその感じはありますか。
そうですね。自分のペースで行けば強いと思うので。ただ、
タイトルホルダーもいますし、マイルで差す競馬を覚えてしまいましたしね。
―自分のペースというのは、淡々としたラップというか、反対に緩急のある流れは嫌な感じですかね。
緩急のある流れも嫌ですし、中山は3コーナー過ぎあたりから動いてくるので、あまり得意なコースではない気がするんですよ。
―なかなか難しいですね。
ローシャムパークは
ガイアフォースの
セントライト記念で3着でしたが、成長している感じはありますか。
していると思います。調教の動きも変わっていますし、
函館記念も完勝といった内容でしたから。晩成型の血統でもありますしね。
―大跳びで東京向きの印象もありますけどどうでしょうか。
大跳びのわりに東京も走りがぎこちない様子なんですよね。中山に比べると、走りがぎこちないというか、むらさき賞なんかもこの馬の本来の力からすると、それほど伸びていませんでした。力を出し切れることができれば、ここでも通用しておかしくないかなと。
―ありがとうございます。上位と下位に差があるというお話でしたが、枠や展開に恵まれてという仮定でかまわないので、期待できそうな馬はいますか。
そうなると、
マテンロウレオと
アラタですかね。ロスなく回って来れれば。あと、
ウインマリリンのリピートも考えられますね。前走は馬場が特殊でしたし、調教は動いているので。
取材後記: 案外想定オッズは上位混戦なので軸選びに非常に参考になりますね。穴馬候補には内に入ってほしいです。
以上、プロ予想家2名の
オールカマーへの見解と注目馬を紹介しました。やはりというか、
タイトルホルダーは力を出せば上位ですよねえ。はたして復活なるのでしょうか。
(文・垣本大樹)
⇒気になる最終結論は、レース当日のプロ予想MAXでチェック!(予想をアップする時間帯は予想家によって異なります。)
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