白毛のアイドルホースが、鮮やかな復活勝利だ。サマー2000シリーズ第4戦の
札幌記念が22日、札幌競馬場で13頭によって行われ、2番人気で吉田隼騎乗の
ソダシが、早め先頭で押し切って重賞5勝目。
クロフネ産駒では初めて、2000メートル以上のJRA平地重賞で勝利を飾った。1年前にデビューした北の大地で、新たな
ソダシ伝説の幕が上がった。
冷たい風が吹き荒れた札幌競馬場に、ファンからの熱い拍手が鳴り響いた。3カ月ぶりの復帰戦を勝利で飾った
ソダシが、胸を張って引き揚げてくる。真っ白な背中にまたがった吉田隼騎手は、スタンドに向かってにこやかに頭を下げた。
「一番は、ホッとしました。
オークスでは期待に応えられずに悔しい思いをしましたが、復帰戦で
ソダシらしい競馬をしてくれました。また秋が楽しみになりました」
年長馬との初対戦。大外枠から飛び出し、周りを見ながら2番手で流れに乗る。残り800メートルでまくってきた
ブラストワンピースに並びかけられると、突っ張って先頭に立った。「(日曜の)前半のレースに乗って、前に行っても止まらない馬場だった。自信を持って追い出しました」。4コーナー手前から早めのスパートでリードを広げ、最後は
ラヴズオンリーユー、
ペルシアンナイトのGI馬を振り切った。
前走の
オークスは初の2400メートルに対応できず、初黒星の8着。今回は2000メートルの距離を克服する大きな重賞5勝目で、須貝調教師は「
クロフネ産駒は2000メートル以上の(JRA平地)重賞で勝てないジンクスがあったからね。
ソダシが新たな伝説を作ってくれたね」と声を弾ませた。3歳牝馬のVは2014年
ハープスター以来、史上3頭目。この年は管理する
ゴールドシップが2着に敗れていただけに「あのときのリベンジができたね」とほほえんだ。
次走は明言しなかったが、2冠がかかる
秋華賞(10月17日、阪神、GI、芝2000メートル)に向けて収穫は十分。吉田隼騎手は「最後は苦しくなっていて、3歳牝馬の(斤量)52キロがすごく効いていました。(
秋華賞なら)同じ斤量になるので、しっかり仕上げていきたいです」と先を見据えた。列島を魅了する白毛の伝説から、目が離せない。 (川端亮平)
■
ソダシ 父
クロフネ、母ブチコ、母の父
キングカメハメハ。白毛の牝3歳。栗東・
須貝尚介厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は金子真人ホールディングス(株)。戦績7戦6勝。獲得賞金3億3714万2000円。重賞は2020年GIII
札幌2歳S、GIII
アルテミスS、GI
阪神ジュベナイルフィリーズ、21年GI
桜花賞に次いで5勝目。
札幌記念は
須貝尚介調教師、
吉田隼人騎手はともに初勝利。馬名は「純粋、輝き(サンスクリット語)」。
★2頭が競走中止…
札幌記念では2頭が競走中止となった。
バイオスパークはスタート時に手綱の一部が口に絡まり制御不能となったため1コーナー手前で、
ステイフーリッシュは心房細動を発症したため最後の直線で競走を中止した。ともに騎手は異常なし。
★
クロフネ産駒のジンクス破った…
ソダシの
札幌記念Vは
クロフネ産駒のJRA重賞48勝目で、2000メートル以上の重賞で初勝利。これまでは
ソダシが勝った
札幌2歳S(GIII)など芝・ダートともに1800メートルが最長で、2000メートル以上では2着7回が最高だった。
★金子オーナーJRA重賞100勝…金子真人オーナー(76)=現在の名義は金子真人ホールディングス(株)=は
ソダシの
桜花賞以来のJRA重賞制覇で、通算100勝目(GI29勝、GII26勝、GIII45勝)。祖母シラユキヒメから所有する白毛一族で、節目を飾った。
★22日札幌11R「
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