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鈴木和幸のGI全馬追い切り診断 ~安田記念~

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●第61回安田記念(GⅠ)追い切り診断

アパパネ      
6月1日 美浦坂         
51秒0-37秒1-24秒6-12秒3 馬なり
    
ヴィクトリアマイル勝ちから中2週、疲れがとれているかどうかが今回の最大の問題だったが、5月29日の坂路55秒2-40秒3を見ると、これまで通りの力強さがあり、神経のイラだちもなし、軽めに終始したのは休み明けを2戦して体ができているからとの判断ができた。それでもここは牡馬相手の大一番、別掲の速い時計をマークしてきたが、ほとんど追ったところなし、感触を確かめるといった内容。例によって首を低い位置で上下させ、まるで男馬を思わせる、重厚感あふれる動き。3F標からずっと12秒台のラップも文句なく、落ち着き払っていたあたり、風格すら感じさせる100点満点のデキ。

 
エーシンフォワード 
6月1日 栗東坂         
53秒2-38秒8-25秒0-12秒3 G強め
    
鞍上・岩田のGOサインに待ってましたとばかりにストライドを伸ばしたのがこの馬だ。にわかに脚の回転が速まり、重馬場を感じさせないラスト1F12秒3の切れ。昨秋のマイルCSの勝ち馬がここにきて急ピッチで調子をあげてきた。前々走は海外帰りの久々で、前走は59キロがこたえていたとみれば、たたき3戦めの今回は要警戒だろう。

 
クレバートウショウ 
6月1日 栗東W  
82秒7-67秒2-52秒9-39秒1-12秒2 強 め
    
ここ3戦、負けてはいるが0秒3以内の勝負をし、首位争いに加わっている。調子は間違いなく良好と見ていたが、今週の追い切りを見ると好調キープどころかさらに上向いている。鞍上・高倉との呼吸もぴったりと、道中はいかにも気分がよさそうな走り、追い出されるとグイグイグイと伸び、ラスト1Fを12秒2の速さでまとめたのだ。仕上げ、体調のよさならどの馬にも負けまい。

 
コスモセンサー   
6月1日 栗東坂         
53秒5-38秒2-25秒2-12秒8 一杯追
    
レース間隔が詰まっているので今回は最終追い切り1本の仕上げ。いつも通り坂路に入り、単走でいっぱい。時計は別掲の通りで、全体時計は前走時と変わらないものの、違ったのはラスト1Fで重い馬場をものともせず12秒8でまとめてきた。13秒4要したこの前より数段伸びがよく、活気があって走りたくて走りたくて仕方がないといった様子。今年7戦めとなる強行スケジュールの不安を吹き飛ばした。
    

・サムザップ     
6月1日 東京芝  
78秒9-64秒4-49秒8-35秒8-11秒9 G仕掛
    
今年はここがまだ3戦めとフレッシュな状態での来日。香港馬としては異例の長め6Fからの追い切りを敢行したのは元気があればこそ、動きもスムースだった。しかし、元気は感じられたものの、特別に瞬発力に長けたフットワークではなかった。実績面でも香港のローカル重賞勝ちしかない馬だから、元気のよさだけでは…

 
サンカルロ     
6月1日 美浦坂          
55秒6-36秒5-23秒7-11秒7 G前追
    
今週はいつも通りの坂路、3馬身ほど先行する相手を目標にしての直線1F併せだ。数字的には2F23秒7、1F11秒7のしまいの速さだったから、いかにも切れたように感じると思う。しかし、実際は相手を捕まえるのに骨折っていたし、事実、突き放せずの併入、私の目には追われての反応もひと息だった。テンの1Fを19秒1に控え、実質3Fの追い切りならこれぐらいの上がり時計は出せる。数字ほどの切れ味はなかったこと、悪いとは思わないが格別の良化はないとお伝えしたい。

 
ジョーカプチーノ  
6月1日 栗東坂         
53秒0-38秒5-26秒0-13秒6 G仕掛
    
坂路ラスト1F13秒6と、たとえ馬場が悪かったとしても少し時計がかかりすぎた。しかし、この馬はこれまで調教で鋭さをみせたことはなく、ちなみに前走時のラスト1Fも同じく13秒6だったから、まったく気にすることはない。ましてや先週に52秒9-37秒7が出ているのだからなおさらだ。きちっと追われていれば、実績通りに評価していい馬である。

 
シルクアーネスト  
6月1日 栗東W 
82秒9-67秒4-52秒9-39秒1-11秒9 一杯追
    
手綱を取ったのはダービージョッキーになったばかりの池添だ。そう思ってみるせいか、鞍のはまりがよく、馬も走りやすそう。直線、いっぱいに追われるとすぐさま反応、真一文字に伸びてのラスト1F11秒9、前半をセーブしたにしても軒並み時計のかかったこの日の馬場での11秒台はすばらしい。菊花賞後に4ヶ月の休養をとった成果だろう、増加した体重そのままに体をひと回りもふた回りも大きく見せ、おかげで追われての伸びが休養前とは一変している。

 
シルポート       
6月1日 栗東坂         
52秒0-38秒1-25秒5-13秒3 一杯追
    
坂路の真ん中寄りをいっぱいに追われ、別掲のタイム。ラスト1F13秒3とかかったのは馬場の悪さに脚をとられたからだろう。それでもフットワークには一糸の乱れもなかったし、これまで通りのパワフルさもあった。依然として好調がつづいている。

 
ストロングリターン   
6月2日 美浦W         
67秒9-51秒2-37秒3-12秒6 強め
    
京王杯SCで初重賞制覇、上がり33秒1の激走だった。それから2週間、時計を出さずにいたが、5月29日にウッド5F69秒3-39秒8を馬なりでマークしたので、この時点で疲れはとれていたのだろう。今週は直線半ばから気合を入れて別掲の時計。大きなストライドでゴール板を駆け抜けたが、さすがにもう変わり身はなく、無難に仕上げたという内容。今年の前3戦、たっぷりと間隔をとってきた馬が今回は中2週の強行軍、それを意識したやわい仕上げがどうでるか、陣営の本音はもう1週間、2週間の時間がほしかったのではないか。

 
スマイルジャック   
6月1日 美浦W  
78秒9-65秒1-51秒3-38秒2-13秒5 一杯追
    
テンから13秒8と飛ばし気味に入ったが、その後は思いのほかスピードが乗らず、なかなか前に追いつけず、結局は3頭併せの1頭には先着したものの、もう1頭には1馬身遅れてしまった。気になったのは追い出されての反応の鈍さとフットワークの重々しさ。これを年齢的に出てきたズブさと見ることもできるが、うなるようにゴール板を駆け抜けてきた馬だけに、今回の内容はやっぱり心配。

 
ダノンヨーヨー     
6月1日 栗東坂         
52秒5-39秒2-26秒0-12秒9 一杯追
    
マイラーズCから1ヶ月半の間隔があるが、この間自厩舎でじっくりと調整され、先週の5月25日には坂路で51秒5-38秒5の速いタイム、この併せ馬では遅れたが、あくまで1週前追い切り、このひと追い後の良化があればいい。注目の今週はその良化を立証するかのようにもはや単走。いざ追い出しにかかろうとしたとき、前に7頭、8頭とごったがえしていて、進路を探すのに逡巡していたが前があくと一気にストライドを伸ばし、馬群を突き抜け、突き放して見せた。とくにラスト1Fのバネのきいたフットワークが印象的で、いよいよ完全復調、万全の仕上がりだ。

 
・ビューティーフラッシュ 
6月2日 京都芝       
(ゲートから)11秒8-11秒0-13秒5
    
来日前の5月5、8、13、20日に時計を出し、13日は実戦形式で1200メートル1分11秒5をマークしたそうだ。もちろん、乗り込み量は十分すぎるほどである。総仕上げは今週2日のゲートから。好ダッシュを決め、11秒8-11秒0のあと、13秒5で流した。スピードの乗り、パワーあふれるフットワークが目を引き、昨年の11着時とはデキの違いは明らか、一考しなければならない。

 
ビービーガルダン    
6月1日 栗東坂         
計不-37秒8-25秒3-13秒2 仕掛け
    
高松宮記念のあとは放牧に出て、5月の初旬に帰厩、以後は坂路、ウッドコースで5本の時計を出している。中間調整はすこぶる順調だ。今週の坂路は残り200メートルあたりで軽く仕掛けた程度、動きは軽快で気の悪さも見せず、一直線に坂を駆け上がってきた。毛づやはもちろんのこと、体の張りもいいので好調は疑う余地がないが、ただ、この馬に1600メートルは長すぎるとの心配があるだけに簡単には飛びつけない

 
ライブコンサート     
6月1日 栗東W  
85秒3ー68秒6-53秒4-39秒8-12秒4 直一杯
    
中間、長短6本の時計を出しており、乗り込みは十分。その割には前を行く相手2頭を捕らえるのに手間取り、直線追い出されてからの反応もイマイチ、2頭に先着はしたものの好調時の切れがなかった。マイラーズC10着からの巻き返しは難しい。

 
リアルインパクト     
6月2日 美浦W               
52秒3-36秒9-12秒4 強 め
    
唯一の3歳馬、GⅠNHKマイルCの3着は認めても、ここは初古馬相手のGⅠ、同じGⅠでも3歳馬同士だった前走とはわけが違う。中間、これまで以上のハードトレーニングを積んだわけではないし、最終追い切りはといえば、前走時よりはるかに軽い4Fの短め、鋭く動いた印象でもなかった。1ヶ月足らずの短い間隔、古馬の一流馬相手、こんな厳しい条件下で経験を積ませることはないと思うのだが…

 
リディル          
6月1日 栗東坂         
53秒3-39秒2-25秒5-12秒9 一杯追
    
ハローがけ前の一番時計のかかる時間帯での追い切り。それだけにこの時計は評価できる。そして、そうした馬場状態の中、スピード感満点、ラスト1F13秒を切ってきたのだから、前走勝ちからこっち、さらに調子をあげている。あとは力関係的にどうかだけだろう。

 
リーチザクラウン     
6月1日 栗東坂        
計不-39秒8-25秒4-12秒5 末強め 
    
5月8日の都大路Sで14着に大敗したのは3角で躓き、4角で今度はトモを滑らしてしまったから。この中間、坂路で5月25日の52秒3-38秒9を含む3本の時計が出ているところを見ると、アクシデントに見舞われた影響はない。しかし、今週の動きは以前の流れるような軽快さに乏しく、いかにも平凡。調教ではびっくりするような速い時計を馬なりでマークし、フットワークも目を見張らせるスピード感があった馬だけに、この内容では好調とはいいかねる。  
      

鈴木和幸

競馬評論家。ダービーニュース時代には、TBSのテレビ番組「銀座ナイトナイト」にダービー仮面として出演。メインレース予想7週連続的中の記録を作った。

日刊現代では、本紙予想を20余年にわたって担当。58年にその日の全レースを的中させるパーフェクト予想を達成。日刊・夕刊紙の本紙予想では初の快挙。

著書に
「競馬ハンドブック」「競馬・勝つ考え方」「競馬新聞の見方がわかる本」「まるごとわかる 競馬の事典」(共に池田書店刊)「競馬◎はこう打つ」(日本文芸社刊)「距離別・コース別・競馬場別 勝ち馬徹底研究」(ぱる出版刊)など多数。

鈴木和幸公式ブログ では週末レースの推奨馬などを無料公開!
http://blog.livedoor.jp/suzuki_keiba/

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