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桜花賞は単勝1.6倍という断然の支持を集めたリバティアイランドが、大外から差し切って勝利。まずは1冠を制した。
思いのほか後方になった位置取りは見ている方としてはヒヤヒヤしたが、川田騎手は冷静そのもの。じっくり溜めて落ち着いて外に出すと、最後はただ一頭上がり32秒台の脚で突き抜けた。Bコース替わりでインが有利だった馬場状態を考えれば、着差以上の完勝といえる内容。オークスでも当然有力候補になる。
2着以下の中で距離が延びて良さそうなのは、5着に敗れたドゥアイズだろうか。今回は切れ味負けした印象もあるが、追って長く脚を使えるタイプ。オークスの舞台の方がより持ち味を生かせそうだ。
回顧と話はズレるが、JRAのYoutubeチャンネルが公開したジョッキー視点の映像はとても面白かった。騎手の視点からどのようにレースが見えているかを改めて感じることができる。
→【2023年 桜花賞 ジョッキーカメラ】リバティアイランド騎乗の川田将雅騎手ジョッキーカメラ映像を公開|JRA公式 https://youtu.be/V8GuEbz3hAQ
我々はいつも俯瞰した状況から見ることに慣れてしまっているが、現場のグラウンドレベル(馬上レベル?)の視点をこうして追体験できる映像は貴重だ。相手の立場に立つ…というのは人間関係だけでなく何事においても重要だと思うが、こう乗れああ乗れとモニタの前で注文をつけるだけではなく、少しだけでもこうして現場の視点、時速60キロを超える乗り物に乗っている状況というのを想像してみると、そう簡単にこちらが思うようにいくものではないということがわかる。もちろん、フラットな回顧をする上では俯瞰する視点をすべて否定するわけではない。ただ、騎手にいろいろ期待して注文を付けたところで、それをできる騎手とできない騎手がいるのは当然。無茶な期待をかけるよりも、特徴や巧拙を理解した方がお互い健全な関係を保てるだろう。
余談であるが、このカメラをつけていると、例えば「オラオラ~」とか、「そこどけ~」とか「危ねーぞ、てめぇ」といった、アドレナリンがドバドバ出た中での闘争本能むき出しの言葉を発することも憚られるのだろうか。あるいはそういったことを発してしまっていることがわかった場合、そのまま公開するのだろうか、などと考えてしまった。個人的にはそれも戦いの中での出来事なのだから公開してほしいと考えてはいるが、昨今の何にでもクレームをつけられ、それに対して脆弱な社会状況を考えるとそうもいかないのかもしれない。ちなみに競技は異なるがF1のオンボード映像においては、いわゆる放送禁止用語に近いことをドライバーが発した場合、その部分には「ピー」が入るようになっている。
さて、前置きが長くなってしまったが、断然の主役がいた牝馬戦線と比べると牡馬戦線は混沌としている。先月の当コラムで、「牡馬クラシックは共同通信杯組を中心に回る」と書いた通り、各路線のレベルを考えると共同通信杯組が一番だとは思うが、それでも混戦には変わりない。馬場や枠の並びなど、ちょっとしたことで順番が入れ替わるレースになりそうだ。
皐月賞…に限らずだが競馬の穴馬には大きく分けて2つのパターンがある。
1つは、恵まれて穴をあけるケース。もう1つは、強いのに気づかれていなかったケースだ。
皐月賞はキャリアの浅い3歳戦に加えて、各路線で好成績を残して来た組が集結するレース。そういう意味では、より後者のパターンが多くなる傾向がある。
例えば2016年の皐月賞を制したディーマジェスティは8番人気。しかし共同通信杯の勝ち馬で、戦績だけ見れば決して上位勢とも差はなかった。ただ、未対戦組が多かった分、「強さに気づかれていなかった」ということに過ぎない。実際その後は日本ダービーで1番人気を背負い3着、休み明けのセントライト記念を制している。
2017年の皐月賞を制したアルアインも、今思えば9番人気というのはさすがに人気がなさ過ぎたかもしれない。こちらも各路線から好メンバーが集結したゆえに、毎日杯勝ちの実績があっても軽視された形。ちなみに当時単勝2.4倍というやや抜けた人気を集めた馬を即答できる方は少ないかもしれない。
答えは牝馬のファンディーナ。
ファンディーナは当時無敗で圧勝に次ぐ圧勝。今だから不思議に思えるだけで、当時は牡馬をも蹴散らすと考えられたのはまったくおかしくない。ただ、結果的にその判断は間違っていた。キャリアの浅い馬同士だからこそ、必ずしも人気=実力とはならない、それが皐月賞なのだろう。
今年は共同通信杯組のレベルが高いと再三申し上げて来たが、その説に則るならばファントムシーフは有力。ただ、前走オープンおよび重賞1着馬が8頭もいる組み合わせ。あのタイトルホルダーですら皐月賞は弥生賞を勝って参戦したにもかかわらず8番人気。今年も気づかれていないだけで後々になれば、
「なんでこんなに人気がなかったのだろう」
と思われる実力馬が、前走好走馬の中に潜んでいるかもしれない。先入観を一度捨てて改めて過去のレースぶりを振り返ることが、穴馬券を仕留める近道になるかもしれない。
~今週末の注目馬~
というわけで、最後は皐月賞の注目馬で締めたい。注目はこの馬。
・メタルスピード(津村明秀騎手)
注目はメタルスピード&津村明秀騎手。
今年はどの路線も低調で、唯一ハイレベルといえるのが共同通信杯。ただその共同通信杯ですら上位馬は折り合いやスタートに不安を抱えており、信頼できる人気馬はほぼ皆無といっていい。伏兵の出番がありそう。その中でもメタルスピードは一戦ごとに内容良化。スプリングSは上手く立ち回ったが、それでもラストまでしぶとく伸びており、距離延長にも可能性を感じさせる内容だった。今の荒れて来た中山芝も合いそうなタイプで、父は今年の中山芝で大爆発中のシルバーステート。持ち味の立ち回りの上手さとしぶとさを生かせれば、今年のメンバーなら上位の一角を崩すチャンスがありそうだ。
※週末の重賞の最終本命馬は、ブログ『TAROの競馬』にて無料公開予定です。
○TARO プロフィール
栃木県出身、競馬予想家。2004年にブログ『TAROの競馬』スタート。2012年より開始した有料メルマガ『回収率向上のための競馬ノート』はまぐまぐ競馬部門で読者数第1位。『競馬記者では絶対に書けない騎手の取扱説明書』(ガイドワークス)など著書多数。最新刊は『馬券力の正体 収支の8割は予想力以外で決まる』(オーパーツ・パブリッシング)。
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ただ、騎手にいろいろ期待して注文を付けたところで、それをできる騎手とできない騎手がいるのは当然。無茶な期待をかけるよりも、特徴や巧拙を理解した方がお互い健全な関係を保てるだろう。
とありますが、下記筆者がSNSで買いおりましたが(笑)
「もったいなかったのは浜中騎手=マリアエレーナ。絶好の発馬を生かせなかったというか、生かそうとしなかった。せめてイン3列目取らないと。」
言ってることが矛盾してると思うのは私だけでしょうか…?
でもメタルスピードはもう少しでしたね。けど超人気薄の惜しい4着(本命での話)は他の予想家さんたちも腐るほど経験ありますからそこからの3着がなかなか難しいと思います。メタルスピード本命(せめて○か▲)が前提の話なので△で惜しいなど話していたらいっぱい買ってるそこらの素人さんと同じと思っています(笑)