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〔3〕ワーケア
前走の弥生賞が、ホープフルSで成長を感じた緩さの解消から逆戻りしている印象で、全体的に緩みが目立ちました。今回ですが、前走よりはいくぶんネジも締まり、良いと感じるものの、正直、まだ良くなる余地は残っている状態と思えます。ただし、前走もそうなのですが、この馬の場合はデキ以上に重要なものがあります。何よりもの強みは自在に立ち回れる操縦性の高さで、鞍上がデビュー時から変わらずルメール騎手というのもポイントです。しかも内枠。そつのない立ち回りで、成長途上をカバーしそうです。
〔5〕コントレイル
正直、皐月賞まで前さばきが硬めで、全体的にこぢんまりとして映りました。しかし今回は、これまでよりもメリハリのあるボディーとなり、背中が伸びた印象があります。皐月賞から、さらに良くなっていると思えます。また当初のイメージからは折り合い面に課題がないとはいえない状況でしたが、皐月賞ではきれいに折り合っていました。中間の表情に追い込まれた印象がなく、最終週の単走追いで精神面も保たれそうです。
〔6〕ヴェルトライゼンデ
もともと良家のお坊ちゃまといった感じで、本当におっとり&緩みのある体で、かわいい男の子でした。それが2走前あたりから、徐々に心身ともに大人へと成長を見せてきました。今回の追い切りでは軸がぶれない走りとなっており、安定感が加わった様子。さらなる成長が伝わってきます。
〔9〕ダーリントンホール
500キロ以上ある馬体で、もともと迫力ある追い切りを見せてきましたが、今回は、その迫力に加えて足さばきが軽やかになった感じを受けます。これまではたたきつけるようなフォームで、力のいる馬場向きと思っていましたが、スピードにも対応できそうな走りとなっている気がします。
〔10〕コルテジア
松山騎手を背にした1週前追い切りの動きが抜群に見えました。重心の低いフォームを保ちながら、前肢と後肢の連動性が保たれていました。この馬はマイルだと自分のリズムで走れないところがあるように感じ、距離延長はプラスに働く気がします。しかも鞍上は馬の気持ちに寄り添う松山騎手。人馬ともに距離延長が魅力に映ります。
〔12〕サリオス
デビュー時はゆるゆるのポッチャリ君で、その状態で楽々と3ハロン33秒台の上がりの脚を使った点に、ポテンシャルの高さを感じました。さて今回ですが、今までの中で一番、体が引き締まり余分なものがそがれ、より動ける馬体にあります。距離を心配する声も聞こえますが、個人的には距離適性が問われる時期ではないと思いますし、折り合いの不安が少ない点から、大丈夫だと感じています。
〔13〕ディープボンド
今年5戦目で、さすがに上積みは厳しいと思っていたのですが、最終追い切りの動きに驚き。柔らかみあふれるフットワークで弾んでいるのです。通常、使い詰めともなると筋肉が硬くなりがちですが、以前よりも体幹がしっかりとし、芯が入った中でグリップの利いた柔らかみある走り。状態の良さを感じます。
〔15〕サトノフラッグ
一戦ごとに変わり身を見せてきましたが、前回の皐月賞では見せる体に変貌し、馬体そのものはたくましく映りました。しかしその一方で、返し馬に行ってからの前さばきに少し硬さも…。ディープインパクト産駒ですし、弾むようなフットワークを見せた方がいいように思え、最終追い切りでは、その点に注目しましたが、前回時よりも前脚の出がダイナミックになっており、可動域が広がっている印象。軽い芝&広く長い直線の東京コースに変わるのは好材料と思えます。
【総評】皐月賞のレース内容、そしてダービーに至るまでの過程を考えても〔5〕コントレイルと〔12〕サリオスの2強に魅了されます。仕上げ面でいうと、コントレイルはもともとの完成度が高く、今回も折り合い面や輸送を考慮したと考えられる皐月賞と同様に、メンタル重視の単走追い。対するサリオスは、もともとがゆるゆるの体で成長を待っての4戦から、今回はネジが締まりメイチに仕上げてきた印象。デビュー時からの歩みを振り返ると、ともに馬に寄り添った形での調整に感じ、仕上げに狂いはないと思えます。
■細江純子(ほそえ・じゅんこ) 1975(昭和50)年3月12日生まれ、45歳。愛知県出身。蒲郡東高を卒業後、JRA競馬学校騎手課程に入学。同期に福永祐一、和田竜二らがおり「花の12期」と呼ばれる。96年に牧原(現・増沢)由貴子、田村真来とともにJRA初の女性騎手としてデビュー。JRA通算493戦14勝(他に海外2勝)。2001年6月に引退後、フジテレビ系「みんなのKEIBA」などに競馬解説者、リポーターとして出演。11年に結婚し、13年に長男を出産。
★ダービーの出馬表はこちら 調教タイムも掲載
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