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【霧プロの重賞レースおさらい帳】チャンピオンズC2023 距離と枠、二つの試練も関係なし! レモンポップが中央ダートG1完全制覇

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【霧プロの重賞レースおさらい帳】チャンピオンズC2023 距離と枠、二つの試練も関係なし! レモンポップが中央ダートG1完全制覇


自分が◎を託す馬が逃げ馬だった時、直線を向いた時の手応えを見るのに変なドキドキ感はないだろうか。鞍上の手が激しく動いているのに後続に詰められ、一発で「アカン」と絶望する時もあれば、ゴーサインを出されるや否や、二番手以下との差が”ふわ~っ”と広がっていく時もある。あの安心感は何度味わっても良いものだが、今回のレモンポップの逃走劇は、正にこのシチュエーションそのものだった。

管理する陣営すらも「マイルですら長い」と評していた馬が、初の1800mで大外枠。どのような戦法に打って出てくるのか注目されていたが、鞍上の坂井騎手は迷いなく逃げの形を取った。大外枠のロスを抑えながら、マイペースで運ことで距離不安への対応を可能とする戦法だが、他馬に絡まれてペースが上がれば自分の首を絞めかねない諸刃の剣。この最序盤がレモンポップにとって最大の勝負所だった。

結果的に、この選択は奏功する。
ドゥラエレーデケイアイシェルビーが気合を入れてついてきたものの、競りかけては来ず。道中も極端な動きを見せるような馬が現れなかったことで、驚くほどスムーズで負荷も少ない、理想的な逃げに持ち込めたのだ。初めて逃げた前走の南部杯もそうだったが、こうなった時のレモンポップは極めて強い。十分に脚を溜め、直線を向いて”ふわ~っ”と差を広げた時、大勢は決した。

同じ中央のダートG1でも、フェブラリーSとは求められる適性をはじめ、何もかもが異なる舞台なのがチャンピオンズカップ。その両レースで完勝を収めたのは、単純にレモンポップの高い基礎能力があってこそだろう。
これまでに本馬が刻んできた蹄跡を振り返ると最もパフォーマンスが高いのは1400m戦だが、そこで培われたテンの速さがここ2走、逃げという戦法に生きている。番手で流れに乗って、他馬の動きや展開に応じて動くという競馬よりも、自分の競馬に徹したほうがストレートに能力の高さを活かせるのだろう。
今回に関しては相当に楽な形で運べただけに、1800mという距離への対応力は水準級という評価に留めたいが、その気になればこの距離でも勝てるという実績を作ったのは、今後の本馬のキャリアを考えれば非常に大きな一歩。来年以降も非常に楽しみな存在だ。


2着には4コーナー最後方近くからウィルソンテソーロが豪快に追い込んできた。
レモンポップの直後から進めていたドゥラエレーデテーオーケインズがそのまま上位を占める流れの中で、発馬が上手く決まらなかったのはかなり痛かったが、その後徹底してインでロスを抑えながら運んだのは鞍上の原騎手のファインプレー。レースが動き出す3コーナー過ぎでもじっと我慢したことが、最後の伸び脚に繋がった。
ダートに転じてから連勝を重ね、近走は交流重賞でも存在感を発揮していた馬だが、好位~中団から無難に運ぶ優等生的なイメージがあっただけに、こうして追い込んでくる荒々しさを秘めていたというのは驚き。これがG1二度目の騎乗だった原騎手と共に、今後の飛躍に繋がる一戦になったかもしれない。

3着のドゥラエレーデは未勝利勝ち上がりがダートで、UAEダービーでデルマソトガケの2着という実績があったが、ダートの一線級が揃ったここでも意外性を発揮した。
他に例を見ない超変則ローテを歩み続ける馬で、真の適性がどの舞台にあるのか非常に分かりにくい馬だが、今回の好走は今後の挑戦の幅を更に広げるもの。恐らくは来年以降もあらゆる条件のレースに顔を出してくると思われる。
未勝利クラスにおける芝とダートのパフォーマンス差と今回の結果を踏まえると、ダートの中距離がベストなのかもしれないが、今回は流れが向いた面もあり、断言するには至らない。レースの度に扱いに悩まされるのは間違いなさそうだ。

4着のテーオーケインズは状態も位置取りも理想的なように映ったが、最後にジリっぽくなってしまうのは近走と変わらなかった。同世代のメイショウハリオハギノアレグリアスも勝負を決めるような決め手は発揮できず、良くも悪くも彼らの現在地はこの辺りなのかもしれない。

一方、セラフィックコールクラウンプライドは人気に応えられず惨敗。
セラフィックコールはこれまで通りの最後方追走から大外回しというレースぶりだったが、連勝中に見せていたような爆発力が鳴りを潜めた。単純に流れが向かなかったことや、現状における一線級との力差も敗因に挙げられるが、3走前に走った東京でも苦戦を強いられていただけに、左回りだと若干パフォーマンスを落とす面があるのかもしれない。特に今回は外を回す馬には厳しい中京コースでもあり、あらゆる部分が本馬向きではなかった。
とは言え、今後も一線級の中で走るにあたって、こうした極端過ぎる戦法しか取れないというのは痛い。爆発力を秘めているのは間違いないが、毎回それがハマるとも思えず、今後の付き合い方には非常に悩まされる。

クラウンプライドはこの中間、調教でもかなりの気難しさを出しており、それがレースでも悪い方向に出てしまった印象。力みながら終始外を回るというレースぶりは昨年のテーオーケインズが陥った状態と似ており、力を出し切れなかった印象が強い。一息入れて通常のテンションに戻ってくれば巻き返しがあって何ら不思議ない馬なだけに、次走以降の反撃に期待したいところだ。


(きり)プロフィール
ウマニティ公認プロ予想家。レース研究で培った独自の血統イメージに加え、レース戦績や指数等から各馬の力関係・適性を割り出す”予想界のファンタジスタ”。2023年1月には、長年の活躍が認められ殿堂プロ入りを果たす。

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