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3冠第1戦となる皐月賞の追い切りが13日、東西トレーニングセンターで行われた。昨年11月の東京スポーツ杯2歳Sを圧倒的な末脚で差し切ったイクイノックス(美浦・木村哲也厩舎、牡3歳)が、美浦Wコースで軽快な走りをみせ、ルメール騎手も満足の内容で調教評価は「A」。約5カ月ぶりという異例のローテーションでも、態勢は整った。
軽快な脚さばきに5カ月のブランクは感じない。昨年11月の東スポ杯を快勝して以来となるイクイノックスが、美浦Wコースで6ハロン84秒8─11秒6をマーク。僚馬インナリオ(2勝)を内から余力たっぷりにかわして半馬身の先着。2週連続で騎乗したルメール騎手が、感触の良さに顔をほころばせた。
「長い距離(7ハロン98秒2)から追い切った先週でスタミナ、6ハロンからの今週はスピードを確認。両方とも良かった。皐月賞を勝つにはこの2つが必要。ほぼベストコンディションですね」
昨年8月の新潟新馬戦を好位から抜け出して6馬身差で圧勝し、続く東スポ杯は上がり3ハロン32秒9の驚異的な末脚で後方から一気に差し切った。レース経験は左回りのみだが、追い切りでは右回りでも終始スムーズな走り。鞍上は中山芝2000メートルの攻略にも自信を見せている。
「いいタイミングで手前を替えて、ボタンを押して(ゴーサインを出して)からもすぐ反応。すごく乗りやすい馬だから右回り、左回り、どちらでも合います。中山は特殊な競馬場だけど、どこからでも競馬ができて、最後に速い脚を使えるから心配していません」
今回は5カ月のレース間隔がもうひとつのポイント。勝てば皐月賞史上最長の中147日でのVとなるが、何かアクシデントがあったわけでなく、陣営がこの馬にとってベストと考えての決断だ。
「立派な骨格を持っていても背中周りの肉づきが伴わず、カイバを食べてもなかなか実にならないところがある。リカバリーにも時間がかかる馬。昨今の常識的なローテーションで使っていくと、一番いい時期に本当にいい状態でもっていけないと考えていたので、思い切って4月から使わせてもらえないかと提案しました」
木村調教師が異例のローテについて説明した。まだ成長の余地はあるが、回復する時間をもうけられたことで、馬体重は494キロ(前走時482キロ)まで増加。その成長をルメール騎手も実感している。「馬体に幅が出てパワーアップ。大きくなっても、フットワークが軽いのがいい。僕にとっては(この世代で)一番強い馬。イクイノックスならたくさんの自信を持てます」とうなずいた。
父はGⅠ7勝を挙げ、2016&17年の年度代表馬に輝いたキタサンブラック。皐月賞では3着だったが、その偉大な父のDNAも受け継ぐ逸材なら、最長レース間隔&最少キャリアVの離れ業も決して難しくはない。
★木村調教師TALK
──新馬、東スポ杯と2戦2勝
「2戦とも思っていた以上の走り。素質の高さを感じさせる勝ち方」
──5カ月ぶりという異例のローテ
「疲れが残りやすく、回復に時間がかかる面があるので、現状の彼のパフォーマンスを見せるにはそれだけの間隔が必要なのかなと。賞金的に余裕をもってクラシックに向かえる状況が整ったので、2、3月から競馬を使い出すよりも、4月から競馬を使わせてもらえないかと提案した」
──3歳を迎えての成長は
「ひと回り大きくなったし、肩回りは明らかにゴツくなってきた」
──右回りは初めて
「操作性が高く、右手前、左手前のフットワークに大きな差はない。右回りになったからといって、トップギアに入りづらいとかモタれるとかは現状で考えにくいなと」
──抱負を
「注目度の高い馬であることは十二分に理解しています。応援してくださる方に少しでも喜んでもらえるような走りを見せられるように、週末までしっかりやっていきたい」
★勝てば皐月賞史上で最長間隔V
昨年11月20日の東京スポーツ杯2歳Sを勝って以来、約5カ月ぶりのレースとなるイクイノックス。これまで皐月賞の最長間隔Vは2020年コントレイルの中112日で、イクイノックスが勝てば中147日と大幅に記録を更新する。近年は育成技術やトレセン近郊の牧場の設備が整っていることもあり、レース間隔をあけてGⅠを狙いすまして勝つケースが増えていて、長期休養明けの馬にも注意が必要だ。
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