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【コガネノソラ】
オークスを考える上で欠かせないのが、桜花賞組の存在だ。
フローラS、スイートピーS、忘れな草賞など、オークスへと繋がるステップは数あれど、結局は「やっぱり桜花賞組が強いか~」となる年が圧倒的に多いように感じる。
では今年はどうか。あくまで個人的にだが、今年のオークス戦線は前例のない要素が揃っており、戦前から一筋縄で行かない雰囲気が漂っているように感じるのだ。
その理由の詳細は後述するが、混沌とした状況の中で特に重要な鍵を握っているのは、3連勝でスイートピーSを制したコガネノソラであると考えている。
スイートピーSと言えば、前述のステップレースの中で”最も本番に繋がらない”と悪い意味で名高いレースだが、筆者はなぜここを経由した馬をわざわざ取り上げるのか。今年のオークスを取り巻く異常事態を踏まえながら、いつも通りに各要素から掘り下げていきたい。
まず指数面だが……今年が”前例のない状態”に思える原因は、この要素にある。
例年オークスにおいて桜花賞組が優勢となるのは、単純に桜花賞がレベルの高いレースになりやすいからだ。多くの場合、前哨戦の中で最も指数が高いのは桜花賞。フローラSをはじめとしたステップレースは、その数字と比べてだいぶ下のものが記録されることが多い。
しかし今年は、桜花賞の指数が例年よりもだいぶ低く出ている一方で、フローラS、スイートピーS、忘れな草賞の指数は高めに出ている。ここまで各ステップの指数が接近するのは相当に珍しく、同様の状況になった年を筆者は見つけることができなかった。2歳女王にして桜花賞2着のアスコリピチェーノがNHKマイルCに回ったことも、難しさに拍車をかけている。
その中で目立つのが、スイートピーSにおいてコガネノソラが記録した指数なのだ。
近年スイートピーSを制した中には、2019年のオークスで12番人気2着だったカレンブーケドールや、2021年のオークスで10番人気4着だったタガノパッションらがいるが、本馬が今年記録した指数はこの2頭のものよりも高く、数字だけならば桜花賞2~4着馬と同等のレベル。
レースぶりも優秀で、ハイペースで流れた縦長の隊列でも慌てず騒がずじっくりと運び、直線で末脚爆発。差し馬に流れが向いたのは確かだが、最後まで減速しないラップを刻んでおり、まだ余裕を感じさせる内容だった。
着差こそ僅かで、これまでもこうした僅差のレースが多いのだが、これは陣営や鞍上が”早めに抜け出すと遊ぶ”という本馬の個性をしっかりと把握してレースを展開しているため。実際にここ2走とも最後は遊んでいたようで、相手が強くなればなるほどパフォーマンスを上げるタイプである可能性を秘める。
血統は父がゴールドシップ、母父がロージズインメイと、2021年のオークスを制したユーバーレーベンに近い組み合わせ。長きに渡って中長距離路線で活躍し、2020年のオークスでも2着に来ているウインマリリンの近親でもあるので、本馬も距離は短くなるよりは長くなったほうがいいだろう。前述のラップの刻み方を見ても、2400mは十分に守備範囲と思える。
この血統が課題として抱えることの多い速い時計や上がりへの対応力も既に示しているだけに、状態にさえ問題がなければ本番でも侮れないという印象が強い。
調教面では、中2週と間隔が詰まっていることもあって、追い切り内容が軽くなるのは仕方のないところ。
スイートピーS組の難しさはこうした体調の維持にあるが、管理する菊沢調教師は「回復が早くタフな馬」と本馬を評している。このあたりはビッグレッドファーム出身のゴールドシップ産駒らしい一面で、間隔が詰まる中でも高いパフォーマンスを発揮してきそうなイメージがある。
不動の中心として立ちはだかる桜花賞馬ステレンボッシュと比べるとローテも血統も雑草的な本馬だが、一線級との差が現状でどのくらいあるのか。既に同等以上ではないかという密かな期待を持ちながら、その走りを見届けたいと思う。
コメント投稿
コメントの投稿は会員登録(無料)が必要です。9e03463022|2024年5月15日 22:55 | (1) |
カレンブーケドール、タガノパッションはもう少しゆとりローテでしたが、その辺りはどうなんでしょう?
4月2回はけっこうきついんじゃないかなとも思うんですが。
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>9e03463022さん
コメントありがとうございます。
コガネノソラは恐ろしい暑さの夏の新潟で連戦の後、更に10月の東京まで続戦していますから、本当にタフな馬なのだと思います。
カレン、タガノと比べると4月からのローテはややタイトですが、こうした個性や、4月までたっぷり休みを取っている分、淡々と使われていた2頭と比べてもフレッシュさはそう変わりがないのかなと考えています。
……まぁ、「目に見えない疲れが……」とレース後に言われることも多いのですけどね。それはもう割り切りです。