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牝馬3冠最終戦の秋華賞が15日、京都競馬場で行われ、単勝1.1倍という断然の1番人気に支持されたリバティアイランド(栗東・中内田充正厩舎、3歳)が中団追走から差し切り、2020年デアリングタクト以来となる史上7頭目の牝馬3冠を達成。この日が38歳のバースデーだった川田将雅騎手=栗東・フリー=は、史上4人目の3歳GⅠ完全制覇という偉業も成し遂げた。
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スタンドからの大歓声に、涙をこらえることができなかった。リバティアイランドとの偉業達成に、派手なガッツポーズなど要らない。川田騎手はゴール後、静かにスッと左手で3本の指を立てて、〝女王ここにあり〟を誇示した。2020年デアリングタクト以来となる史上7頭目の牝馬3冠。デビューから全6戦で手綱を取ってきた鞍上は、感極まった表情でウイニングランを終えた。
「心から、感動しています。ジョッキー生活20年目で、神様がくれた最大のプレゼントだなと思っています」
スタートを五分に出ると、いつでも抜け出せる6、7番手でレースを進めた。馬群に包まれながらもリズム良く追走し、3コーナー手前から進路を外へ。
「向こう正面でどこから出していこうかと選択するなかで、外に進路を作ることができたので。3コーナーで道を作れた段階で、負けることはないなと思いました」
リバティの力を信じ、勝つための選んだ最善の策。抜群の手応えで直線に向くと早めに先頭に立ち、ライバルをあっという間に置き去りにして栄光のゴールへ飛び込んだ。
デビュー20年目。通算1953勝のうち、GⅠは25勝を数える。この日のVで史上4人目となる3歳GI完全制覇も達成した。12年にオークスを勝ったジェンティルドンナ、16年の日本ダービーを制したマカヒキなど数々の名馬にまたがってきたが、デビューから苦楽をともにしてこれだけの実績を残すのはリバティが初めてだ
「僕が乗せていただいてきたなかで、新馬から成績を挙げながらここまで歩みを進めているのはこの馬だけなので。新馬前の段階で、将来を想像していました」
底知れないポテンシャルの高さを感じていたからこそ、今まで培ってきた経験の全てを注入。厩舎スタッフらとともに競馬を教え込み、単勝1.1倍の圧倒的人気を背負うプレッシャーをものともせず偉業達成へと導いた。
「3冠を取ったことで日本の歴史にも名を残すことができるようになりました。ここを勝ち切れるようにという思いで作ってきましたけど、もう一つ良くなれるなと、返し馬でも感じました」
くしくもこの日、38歳のバースデーだった川田騎手。最高の誕生日プレゼントをくれたリバティアイランドのさらなる成長が楽しみで仕方ない様子だ。今後はジャパンC(11月26日、東京、GⅠ、芝2400メートル)も視野に入るが、伝説はまだ道の途中。競馬界を担う絶対女王の歩みは止まらない。(長田良三)
★川田騎手TALK
──レース前の雰囲気は
「厩舎スタッフの方からパドックで〝落ち着いているし、大丈夫だよ〟という話を聞きました。実際、またがってみて、いつも通り穏やかな状態に持ってきてくれていました」
──稍重の馬場状態だった
「馬場を歩いていても、〝これなら大丈夫だな〟と思いましたし、これなら問題ないと思える馬場でした」
──レースプランは
「競馬をどう作っていこうかというのは、あまり意識せず、彼女が気分よく走れるようにという思いで、4コーナーで早めに〝もう行っていいよ〟というのを伝えました」
──直線はどんな思いだった
「無事にゴールまでたどり着くように、バランスを崩さないように、気持ち良く走れるようにというところでした」
──ゴール後、リバティアイランドに声をかけたか
「何よりも一番は感謝ですよね。本当に素晴らしい仕事をしてくれたという感謝の思いです」
★父子ともに誕生日…10月15日は川田騎手だけでなく、佐賀競馬で調教師をしている父の孝好さんにとっても67歳の誕生日だった。「さがけいば」の公式X(旧ツイッター)は、指を3本立てて息子の3冠達成を祝福する孝好さんの画像を投稿。「先週は孫(純煌=ぎんじ=くん)が東京競馬場でジョッキーベイビーズで日本一になり大喜びしました。今週は将雅の3冠が懸かった秋華賞ということで重い気持ちで過ごしていましたが関係者の皆様の努力と、将雅自身が単勝1.1倍のプレッシャーを跳ね退け、見事3冠を達成してくれて最高のプレゼントを貰いました」(原文ママ)という感謝の言葉がつづられた。
★歴代2位!…リバティアイランドの秋華賞での単勝支持率は67.3%で、これは2002年ファインモーション(1着)の72.0%(1.1倍)に次ぐ、レース歴代2位。牝馬3冠を達成した馬の中では12年ジェンティルドンナ(61.3%)、18年アーモンドアイ(60.1%)を抜く最高の支持をファンから得ていたことになる。ジェンティルとアーモンドアイはのちに牡馬の一線級をも破る歴史的名牝へと飛躍した。リバティアイランドがこれらの名牝に追いつき、追い越す可能性も十分だ。
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