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鈴木和幸のGI全馬追い切り診断 ~オークス~

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●第72回オークス(GⅠ)追い切り診断

アカンサス      
5月18日 美浦坂       
52秒8-計 不ー24秒2-12秒1 馬なり
   
スイートピーSを勝って出走権をとったあとも元気いっぱい、レース間隔があまりないので中間は軽めに終始しているが、疲れ、馬体の細化はない。今週は坂路で単走、鞍上・北村宏との呼吸もぴったり、馬なりで52秒8をマークした。時計は51秒1の前走時の方が速かったが、当時は2ヶ月余ぶり、強く追わなければならない事情があったから比較にならない。ラスト1Fを12秒1でまとめたように、G前の伸びは上々、自信を持ってレースに送り出せる。

 
エリンコート      
5月18日 栗東坂       
54秒0-39秒4-25秒5-12秒7 馬なり
   
もっか2連勝、この元気さを象徴するかのように、中間6本もの時計を出している。今週の坂路はテンの1Fを14秒6で入っての上がり中心。このため全体時計は54秒0にとどまっているが、一完歩ごとに重心を沈めるフットワークがすばらしく、G前は少しでも手綱をしごけば1F11秒台も出たかもの勢い。別路線組の旗頭といっていいだろう。

 
・カルマート      
5月18日 美浦W       
68秒2-52秒6-38秒5-12秒8 馬なり
   
5月8日に初勝利をあげたばかり。中1週だし、軽快な動きをみせたものの、大きな変わり身はない。抽選をクリアした強運だけでは勝負にならない。

 
グルヴェイグ     
5月18日 栗東坂       
56秒5-41秒1-27秒4-13秒1 馬なり
   
3ヶ月ぶりの矢車賞を勝って3戦2勝、まだ底を見せていない魅力がある。その前走から中1週、今回は追い切り1本、別掲の軽い仕上げ。前半をセーブした割には上がり時計に不満は残るものの、動きには力感があり気迫も伝わってきた。二走ボケの心配より、前走以上の期待をかけてよさそうだ。

 
サイレントソニック  
5月18日 美浦W             
56秒6-41秒5-13秒4 馬なり
   
5月7日に使ったばかり、中間時計なしは仕方あるまい。でも、この大一番に向けての最終追い切りがこの遅さでは? テンからクビをあげて掛かり通し、鞍上・田中勝が立ち上がるようにしてなだめるしかなかった内容も不満。

 
・シシリアンブリーズ 
5月18日 栗東坂        
55秒3-39秒6-計 不ー13秒0 馬なり
   
坂路4F55秒3、ラスト1F13秒0は追ったところなしといっても平凡だ。ただ、動きそのものは力強く、姿勢を崩さないフォームもいい。今回はともかく長い目で見てやりたい素質馬だ。

 
スピードリッパー   
5月18日 美浦坂        
54秒2-39秒4-25秒4ー計 不 馬なり
   
桜花賞後もすこぶる順調、芝コース、坂路で3本の時計を出している。鹿戸厩舎はあまり速い時計は出さないが、併せ馬などでプレッシャーをかけ、時計以上に負荷のかかる調教をする。今週も坂路で3頭併せの真ん中、時計は平凡でも実戦を想定した追い切りで、G前グイッと出たあたり、前走時以上の闘志が感じられた。道中のしびれるような手ごたえとバネのきいたフットワークも印象的だった。

 
デルマドゥルガー  
5月18日 美浦W        
68秒6-53秒6-39秒0-12秒3 馬なり
   
桜花賞で一気に体重を16キロも減らしてしまった。このためだろう、中間時計は先週の1本だけである。しかも、併走遅れ。今週はウッドで5Fぽっきりの馬なり。この程度の時計なのに動きが硬く、まったく鋭さなし。桜花賞の反動が尾を引いている。

 
バウンシーチューン 
5月18日 美浦坂        
53秒9-38秒8-25秒0-12秒2 仕掛け
   
未勝利を勝った直後のトライアル・フローラSを勝ち、最大の上がり馬として注目されている。1週前追いは坂路で52秒1-38秒4-12秒2、これだけやれれば順調との判断ができよう。今週は同じく坂路で別掲の時計、軽く仕掛けただけなので時計はこれでいいし、動きも軽かったが、体が若干細く見えたのが気がかり。そういえば、前走の412キロはデビュー以来の最低、2戦め以降、使われるごとに体重は減少している。

 
ハッピーグラス    
5月18日 栗東坂        
54秒0-39秒1-25秒9-13秒2 一杯追
   
坂路でいっぱいの追い切り。前走時が58秒3-41秒5でしかなかったので、この時計はかなりの前進、良化とみていい。しかし、それでもラスト1Fの動きは13秒2の時計そのままに重っ苦しく見えた。このメンバーで勝ち負けするほどの良化はない。

 
・ハブルバブル    
5月18日 栗東坂        
53秒8-39秒7-26秒2-13秒0 馬なり
   
桜花賞で440キロまで減らした体を戻すため、中間時計を出しはじめたのは1ヶ月近くたった5月8日になってから。それでも1週前追い切りでは坂路52秒4-38秒6をマーク、急ピッチで回復してきた。今週はウイリアムズを背に坂路での併せ馬、時計は少々要したがしぶとく先着、これなら九分通りの回復は間違いあるまい。

 
ピュアブリーゼ    
5月18日 美浦坂        
50秒2-37秒0-24秒8-12秒7 馬なり
   
トライアルのフローラS後、坂路で時計3本、この中には51秒6-37秒6の速いものも含まれている。それだけ元気な証拠。今週も坂路で別掲の好タイム、あらためて体調の良さをアピールしたが、残念ながら動き、気合などに特別な良化はなく、前走程度まで。

 
ホエールキャプチャ 
5月18日 美浦坂        
50秒1-36秒5-23秒8-11秒8 馬なり
   
桜花賞は体重6キロ減(デビュー以来の最低)のギリギリ目いっぱいの仕上げ。この反動が心配されたが、4月20日を皮切りに坂路、芝コース併用で時計5本なら心配無用。11日の1週前追い切りが芝5F63秒2-34秒6の速さならなおさらだ。今週は坂路で単走、多少とも控えるのかと思いきや、別掲の時計をあっさりときた。とりわけラスト2Fの23秒8、11秒8の速さ、前脚の力強いかき込みが圧巻で、気合でも入れれば1Fは11秒ソコソコになったのではないか。これだけやれるのも、動けるのもカイバを十分食べ、体が回復しているからこそ。桜花賞以上はあっても以下はない。

 
マイネイサベル   
5月18日 美浦W 
85秒2-69秒2-53秒9-39秒7-12秒9 馬なり
  
新潟2歳S勝ち以降、5戦して勝てない、前走は2番人気での5着だけに人気を裏切ったということに。成長が止まってしまったのか、疲れてきたのか、気になるところである。先週の1週前追いはウッドでいっぱいの併せ馬だから、どうやら疲れの方は心配なさそうだが… 今週は水野調教師自ら手綱を取っての馬なり調整。時計も平凡なら動きも平凡、というよりいくらか硬さが出てきたようにも見えた。前走時のデキが精いっぱいと見る。

 
・マイネソルシエール  
5月18日 美浦P         
65秒7-50秒6-37秒2-12秒1 G強め
   
すでに8戦し、トライアル2着で出走権を取ったが、変わり身は期待薄。今週は5Fから一応の時計はでたが、ポリトラックとしては地味で、フットワークにもアピールできるだけのものはなし。トライアルの成績は過大評価しない方がいい。

 
マルセリーナ     
5月18日 栗東W 
98秒1-66秒1-52秒1-38秒8-12秒2 直一杯
   
4月中は桜花賞の疲労とりに費やし、5月になってから2冠とりへの調教を開始、4、7、11、14日にウッドで追われてきた。いずれも軽めながら、この馬に関しては最終追い切りでビシッとのやり方をしているので心配いらない。その最終追い切りは、なんと7Fの長めから同厩の準オープン・ベストクルーズとスタート。4F標過ぎから13秒台にピッチをあげるとベストは併走が怪しくなり、直線に入るとアップアップになって、併せ馬にはならず。追い出されたマルセはグイグイとストライドを伸ばし、前を走っていた同厩の併せ馬に割り込んで、このうちの1頭にも先着、ベストには2秒4もの大差をつけてのゴールだった。時計は別掲の通りだが、最後までいっぱいに追ったこのハードゲイコにびっくりなら、これにこたえてラスト1Fを12秒2にまとめたマルセにもびっくり。もし、心配があるとしたらこのハード追いがオーバーワークになりやしないかということくらい。追い切りを終わった時点でははっきり桜花賞以上である。

 
・メデタシ        
5月18日 栗東坂         
54秒6-39秒9-26秒6-13秒2 馬なり
   
桜花賞は出遅れ、最後方から4着と、よくぞオークスの出走権まで伸びてきたものだ。中間、坂路で5本の時計を出し、1週前追い切りが53秒3の39秒1、順調は順調だ。今週は時計的にはいささか不満は残るものの、フットワークに乱れはなく、意識して控えたと考えれば時計の遅さも気にならなくなる。49秒7-36秒5で追い切った前走以上は望めないが、調子落ちはなさそうだ。

 
ライステラス      
5月18日 美浦P         
68秒8-53秒7-40秒0-12秒8 馬なり
   
桜花賞で12着に大敗、このショックか、中間3本の時計を出したが、いずれも動きに切れが感じられない。今週のポリトラックも単走馬なりとはいえ、上がり3Fで40秒を切れず、とうてい復調したとは思えない。


鈴木和幸

競馬評論家。ダービーニュース時代には、TBSのテレビ番組「銀座ナイトナイト」にダービー仮面として出演。メインレース予想7週連続的中の記録を作った。

日刊現代では、本紙予想を20余年にわたって担当。58年にその日の全レースを的中させるパーフェクト予想を達成。日刊・夕刊紙の本紙予想では初の快挙。

著書に
「競馬ハンドブック」「競馬・勝つ考え方」「競馬新聞の見方がわかる本」「まるごとわかる 競馬の事典」(共に池田書店刊)「競馬◎はこう打つ」(日本文芸社刊)「距離別・コース別・競馬場別 勝ち馬徹底研究」(ぱる出版刊)など多数。

鈴木和幸公式ブログ では週末レースの推奨馬などを無料公開!
http://blog.livedoor.jp/suzuki_keiba/

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