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現地フランスのトップジョッキーが激白!! 世界最高峰のレース・凱旋門賞(7日、パリロンシャン、仏GI、芝2400m)の枠順が4日、決まった。[13]番枠(馬番は(5))で、前哨戦のフォワ賞を快勝したGI2勝馬ヴァルトガイスト(仏、A・ファーブル、牡4)に騎乗するピエール=シャルル・ブドー騎手(25)=フランス=を直撃。日本馬クリンチャーも出走(6着)した前走の感想や、本番への意気込みなどを語った。【取材・構成=沢田康文】
--凱旋門賞と同舞台で行われた前走のフォワ賞は強かった
「少頭数でしたが、クリンチャーが引っ張ってくれて、力通りに決まるレースになったと思います。GI馬が4頭(他にタリスマニック、カプリ、クロスオブスターズ)という好メンバーでしたが快勝。ゴール前の末脚は特に素晴らしく、凱旋門賞に向けて手応えを感じる前哨戦になりました」
--仏GI・サンクルー大賞を含め、目下重賞4連勝中
「2歳時から仏GI(クリテリウムドサンクルー)を勝っている馬で、クラシックでも活躍し、ずっと皆が期待をかけ、それに応えてきた馬です。昨年の凱旋門賞には出走できませんでしたが、調教の成果で、今年になって馬がさらに良くなりました。現在、重賞4連勝中で、すべて芝2400m戦。距離もぴったりですし、レースが本当に楽しみです」
--欧州の上半期の総決算となる7月の英GI“キングジョージ”は、猛暑と硬い馬場を理由に直前で回避。当日の理想の馬場は?
「GI初勝利が重馬場。道悪向きの馬という考えもありましたが、今年はフォワ賞を含めて硬めの馬場でも問題なく結果を出しているので、馬場はどちらでも構いません。対応力があるのもこの馬の強みです。秋に入り、たとえ雨が降らなくても夜露、朝露で馬場が湿りますから、(英国)アスコット(競馬場)のようなパンパンの馬場にはなりません。どんな状態でも大丈夫です」
--ブックメーカーの前売りでは3番人気(4日現在)。ライバルは
「去年の勝ち馬で、1番人気が確実のエネイブルは最大の強敵です。3歳牝馬のシーオブクラスも怖い馬。パリ大賞を勝ったキューガーデンズの末脚も要注意です。同じファーブル厩舎からはタリスマニック、クロスオブスターズも出走を予定していますが、フランスの馬では僕の馬が一番強いと思います」
--ブドー騎手にとって凱旋門賞とは
「世界一のレースで、一番勝ちたいと思うレースです。私の凱旋門賞初騎乗は5年前、ピリカという牝馬(15着)。オーナーは社台ファームの吉田照哉さんでした。まだキャリアの浅かった僕を騎乗させていただいた恩は忘れられませんし、良い経験になりました。今回はこれまでの凱旋門賞で一番チャンスだと思うので夢をかなえたいです」
歴代最多7勝ファーブル師…ヴァルトガイストを管理するA・ファーブル調教師(72)=フランス=は1987~2007年まで21年連続、2010~15年まで6年連続、17年と、リーディングトレーナーのタイトルを通算28度獲得した名伯楽で、今年も4日現在、トップを快走中だ。
凱旋門賞では歴代最多の7勝をマークしており、今年はフォワ賞2着タリスマニック、3着クロスオブスターズを含めた3頭出しで、ディープインパクトが参戦した2006年レイルリンク以来の8勝目を狙う。
地元紙イチ推し…地元メディアはどんな見立てなのか。パリチュルフ紙のマニポリーヌ・ギャロ氏は、一番の推し馬にヴァルトガイストを指名。「人気を集めそうな馬たちも、それぞれに弱みがある。シーオブクラスは牡馬との対戦がなく、エネイブルも長期休養明けを一回しか叩いていない」と指摘した。レーシングポスト紙のスコット・バートン氏は「シーオブクラスがいい。スタディオブマンもいいね」と推奨。ジュールドギャロ紙のアルイーズ・エシュヴァン氏は「馬場がよければシーオブクラス」と愛オークス馬を支持した。
ピエール=シャルル・ブドー(Pierre=Charles Boudot) 1992年12月21日生まれ、25歳。2009年にデビュー。15年にクリストフ・スミヨン騎手と仏リーディングを分け合う。16年には欧州拠点の騎手として史上初めて300勝の大台を突破。16、17年仏リーディング首位。GIは14年パリ大賞、今年のサンクルー大賞など9勝。今年も仏リーディング1位(4日現在)。14年に短期免許での来日するなどJRA通算74戦9勝。