世代の頂点を決める競馬の祭典「第８３回日本ダービー」（２９日、ＧＩ、東京、芝２４００メートル）は例年どおりハイレベル。皐月賞ウイークにもてはやされた“３強”はもはや風前の灯火？　いや、その呪縛が解けたからこそ、再び注目が必要だろう。当時の中心にいたマカヒキは引き続き在厩調整で勝負をかけてきた。

　マカヒキは皐月賞２着後も放牧に出ず、栗東ＴＣで調整を続けてきた。友道調教師に意図を問うと、「別にこれっていう理由は…。（放牧に）出したからといって間隔も詰まっているので」とにべもない。

　ただ、想像を豊かにすれば、偉大な父ディープインパクトの現役時代をなぞっていることが分かる。ディープが引退まで１度も放牧に出されなかったのは有名な話。模倣したくなるほど“生き写し感”が強いのだろう。

　「気持ちがイレ込む馬じゃないので。厩舎にいてもいつもリラックスしているから」。そう飄々と語りつつ、大外から猛然と追い込んだ皐月賞のマカヒキを、丸めたレーシングプログラムを連打しながら絶叫していた師の姿は忘れられない。

　思えば、新馬→若駒Ｓ→弥生賞→皐月賞のローテまでウリふたつ。ダービーまで父同様、（１）（１）（１）（１）着でたどり着きたかったのが本音であろう。

　ただ、０秒２差２着で“生き写し”の評価が下がることはない。「この馬の競馬はできた。勝ち馬にはうまく立ち回られたというか。あれだけ“３強、３強”と言われ、ほかの２頭をマークしすぎたのもあったかな」

　在厩効果はもちろんある。緩めず調整してきたことで、「やっぱりパワーがついてきた。筋肉量が増えて、今は理想的といえる体になった」と指揮官は豪語する。

　やはり、勝負の在厩調整にしか映らない。（夕刊フジ）

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