まだウマニティ会員ではない方へ
会員登録(無料)するだけで、予想的中に役立つさまざまなサービスを無料で利用できます。
収支100万円超えの猛者がズラリ
全国トップ予想家たちの予想閲覧
予想に必携の高精度スピード指数
「U指数」を重賞で全頭公開
勝率40%超えを誇る堅軸候補
「凄馬」をメールでお知らせ
TVでも紹介!設定は10万通り以上
あなただけの予想ロボが作れる
この他にも20以上のサービスを無料で提供!
【シックスペンス】
”無敗”という言葉の響きには、どこか聖域感が漂う。
負けたことがないという圧倒的な強者感と、どこまで強いのかという底の見えないスケール感、評価に迷いを与える猜疑心などによって、実像が覆い隠されてしまうのだ。
思えば、皐月賞前のジャスティンミラノもそうだった。物凄く強いと評価する声もあれば、超スローのレースを勝ち上がってきただけの馬という声も多かった。結果は前者のほうが正しかったわけだが、その判断がいつも正解というわけではない。馬によっては後者のような”疑う判断”が正しいことも普通にあり得る。
そんな判断を今回私たちに突き付けてくるのが、前走スプリングSを制して3戦無敗としたシックスペンスだ。
状態優先で皐月賞の出走こそ見送ったものの、結果的に超絶レコードのタフな決着を回避して、フレッシュな状態で大一番に臨むことになった本馬。鮮やかだったスプリングSの内容に加え、”無敗”の称号はやはりインパクトがあるが、何しろ挑んでくるのは世代最高峰のレース・日本ダービーだ。これまでのレースをどう評価するか、普通のレース以上に意見が分かれることになるだろう。
筆者も検討を進める中で、考えや見方一つで大きく姿を変える本馬のイメージに困惑しているが、果たして彼の実像はどのようなものなのか。いつも通りに各要素から掘り下げていきたい。
まず指数面だが、勝ちっぷりの鮮やかさが示す通り、スプリングSで刻んだ数字はなかなか優秀。昨年の勝ち馬で、ダービー4着馬でもあるベラジオオペラと同等で、歴代の同レースの中でもやや上位に位置するレベルにある。それを、抜群の手応えから後続を置き去りにした上で、ラスト2Fを10秒9、10秒8というとんでもないラップを刻んでいるのは非常に目立つ。中山と東京で舞台こそ違うが、皐月賞馬ジャスティンミラノが共同通信杯で刻んだラップや指数と非常に似ていることもあり、本馬も同等の能力の持ち主なのではと考えたくなる。
が、ここで忘れてはならないのが”風”の存在だ。スプリングSの日は非常に強い風が吹いていたが、特に直線における追い風は強烈だった。つまり、指数もラップも”追い風参考記録”である可能性があるのだ。
本馬と同世代の馬を例に挙げると、先日の桜花賞に出走していたキャットファイトが勝ったアスター賞(23年9月9日)や、シンザン記念で2番人気に推されていたショーマンフリートのデビュー戦(23年9月18日)も、中山で直線追い風のレースだった。いずれも見た目からしてインパクトのある着差やラップ、指数を刻んでいたのだが、その後の両馬の戦績は当時のインパクトに比べると相当に物足りないもの。他場も風の影響はもちろんあるのだろうが、中山の追い風は特に影響が強いように思える。
このことを踏まえて本馬の戦績を振り返っていくと、実は目立つ指数を刻んでいるのはスプリングSのみ。デビュー戦や2戦目のひいらぎ賞で刻んだ指数は目立たないどころかむしろ低い水準にあり、2歳時からの成長を加味してもスプリングSにおける上昇度はやや急激かつ過剰であるように感じる。
その強さを純粋な成長と見るならば、皐月賞組ともそう差のない素質馬と評価することができるし、風によってパフォーマンスが大きく押し上げられた結果と見るならば、ここでは足りない可能性が高いという評価になる。見方によって180度評価が変わってしまうのだ。
血統も評価に悩む構成の持ち主だが、特に母系は独特。
母父の父として名前のあるキャンディライドはアルゼンチンの馬で、ダートでも芝でもレコードを樹立している快速馬。特に芝のマイルでは1分31秒台の世界レコードを叩き出した馬だった。
その産駒である本馬の母父トワーリングキャンディも、アメリカのマイル~1800mで芝・ダートともに速い時計の勝ち鞍がある馬で、彼らのスピードをしっかりと受け継ぎ、ダートの1200~1400mで活躍したのが本馬の母フィンレイズラッキーチャームだ。全体的にかなりスピードに偏った構成と言える。
この血の影響か、本馬は回転の速いフットワークを持ち、トップギアに入るのも凄まじく速い。
同じキズナ産駒であるジャスティンミラノがじわじわと加速するタイプで、ゆったりした距離や広いコース向きのイメージを強く感じさせるのに対し、本馬はマイル近辺の小回りの舞台で機動力を活かすというイメージのほうがしっくり来る。2歳時に中山マイルを2戦し、3歳初戦も中山1800mを選択したというのは、陣営も似たような見立てをしているからではないだろうか。
そう考えると、距離が大きく延びて2400mになる上、直線も長い東京コースへの挑戦はかなりのチャレンジ。トップギアに入った末脚をどこまで維持できるかが勝負の分かれ目となるだろう。
調教面では、皐月賞を回避してここに備えたこともあり、概ね順調そう。コース追いではかなり速い全体時計が出ているし、終いの時計の出方も悪くない。余裕を持った追走から、仕掛けられるとあっという間にパートナーを引き離す瞬発力はさすがと思えるし、自身の良さはしっかりと活かせる出来に映る。
ただ気になるのは、左回りの調教で内にモタれるような挙動を見せていること。
ここまでの3戦はいずれも右回りだが、どのレースでもゴール前では身体が外に流れていくような走りをしているだけに、左回りだと内に行ってしまう癖として顕在化する可能性がある。
そうした癖があってもパフォーマンスに影響の出ない馬も多いが、こればかりは実戦で確認するしかなく、予想段階で影響を正確に評価するのは難しい。
ここまでに挙げた点を踏まえると、
・スプリングSの圧勝劇がこの馬の能力の高さと見るか風の影響と見るか
・血統構成から、距離延長や東京変わりをプラスと見るかマイナスと見るか
・左回りで走法の癖が影響なしと見るか悪影響があると見るか
……といった具合に、極端な二択要素を複数持つ存在であることが分かる。
全てポジティヴに考える方は強力な有力馬として見ることができるだろうし、逆に全てネガティヴに見る方にとっては、危険な上位人気馬ということになりそう。
筆者も考えるたびに両者の考えの狭間でうろうろとしてしまうのだが、本番まであと数日。何らかの評価を下さねばならない時と、その答え合わせの時は着々と近づいている。
”無敗”は継続するのか否か。結果はいかに。
コメント投稿
コメントの投稿は会員登録(無料)が必要です。最新注目競走馬
総賞金ランキング |
|