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栗東での菊花賞取材を開始した水戸正晴記者は、穴馬のにおいのするところへ、足取りも軽く駆け回る。「2強」陣営の意気込みを聞きつつも、ピンときたのはセントライト記念2着のスカイディグニティ。担当厩務員が腕利きとあっては、聞かずにいられない。
久々に味わう栗東の空気は甘く、柔らかい。16日は朝から秋晴れ。多少汗ばむくらいだったが、足取りは不思議なくらいに軽く、穴馬探しの厩舎回りもはかどる。とはいえ、「2強」が万全ならばダークホースを探り当てたところで無駄骨になりかねない。
「落ち着きがあって少々、不安があった神戸新聞杯とは比較にならないデキ。心肺機能がすごく良く、3000メートルはドンとこい」と、ゴールドシップの須貝尚師が胸を張れば、ディープブリランテの矢作師も「キングジョージ(8着)の厳しさを味わった経験は大きい。3カ月ぶりになるが、ハナからここが目標。逆算して抜かりなく調整ができている」とデンと構える。
う~ん、付け入る隙はないのか?
いや、そんなことはあるまい。ダービーで鼻差2着のフェノーメノを計りにすればどうだ。セントライト記念でスカイディグニティはフェノーメノに1馬身差まで迫ったではないか。
そのディグニティに突撃取材だ。この道16年になる津田厩務員が快く迎えてくれた。
胸前が深く、上半身が発達しているのが印象的な馬である。「そう、心肺機能が優れている証しです。これでトモ(後肢)もつれて強くなれば…。でも、これで実績を作るんだからね」。アドマイヤジュピタ(天皇賞・春)、テネシーガール(セントウルS)、ブリリアントロード(新潟大賞典)などオープン馬を数多く手掛けてきた腕利きはこうも言った。
「ジュピタほか同じ時期の彼らと比べたらディグニティのこれからがどれだけ楽しみか」。どの馬も未知の距離での争い。勝負の世界に「絶対」はない。 (水戸正晴)
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