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「変わりゆく世の中で真に必要な知識はビジネス本の中になど無い。人間の様々な経済的行動の背景にある原理・原則はいつでも、数多の時代淘汰されずに読まれ続けた“学術書”の中にある。」
大学時代のゼミの教授の口癖だ。この言葉に励まされた訳ではないが、私はビジネス書を読まない(笑)。さらに言えば「今、世の中で多くの人に読まれている活字」を殆ど見ない。毎週のこの記事もレーティングの記事もそうだが、競馬予想するのに「厩舎の話」とか「騎手のコメント」、「専門家の予想」を一切見ない。少なくとも自分には必要ないと思っている。
そんな私が以前の会社に勤めていた頃“大嫌い”な先輩がいた(笑)。
以前の会社では人事の仕事をしていたが、その先輩も人事系だった。営業から配転された経緯があったからか、職種別採用で始めから人事だった私は結構嫌われていた(笑)。
そんな先輩だが、何故か私の交友関係に割り入るのが好きで、仕事終わりに同期と飲みに行くと必ずと言っていいほど同席を求め、有り難い説教を垂れてはご機嫌で帰った。
ある時、いつものように居酒屋に入るのを見つかり、先輩に同席を求められた。いつものように説教され、うんざりしながら友人と目配せし、テキトーにあしらって帰らせようと思ったが、その日に限って先輩がなかなか帰らない。話は採用面接におよび、酔った先輩がこう言った。
「お前な、採用はプロぐらいに自分で思っているか知らないが、全然甘いんだよ。だいたい勉強してないだろ? ビジネス書の一つも読んだか? “逆面接”って知ってるか?」
大学時代に刷り込まれたNGワード“ビジネス書”に反応した私。いつもなら笑顔でやり過ごす説教を最後まで聞かずに思わず言ってしまった。
「逆面接なんて単語は知りませんが◯◯さん、たいそう沢山本を読んで勉強されている割には大した社員採用してないですよね……」
気持ちが良かった。大学時代は教授を化石みたいな人だと思っていたが、こんなところで役に立つとは思ってもいなかった(笑)。ブチ切れた先輩にいつもの倍説教され、いつもと違う気まずい別れ方をしたが、妙に清々しい夜だった。
さて、変わりゆく世の中で役に立たぬのはビジネス書、真に必要なのは変わらず読まれる学術書、は教授の口癖だが、“変わらぬこと”が大事、なのは競馬も一緒だ。
今週日曜、西日本メイン・東海ステークスの予想にあたり今日は「変わらぬ」関連の金言を紹介しよう。
曰く「乗り替わりなしの馬は3割増し」。
オメガギネスはデビュー以来4戦全て戸崎騎手。4戦3勝のキャリアにも期待がかかる。3割増しで先輩をブチ破ってほしい(笑)。
世の中に合わせて変化しろ、と人は言う。一方で変わらないことに美しさや価値を感じるのもまた人間だ。とは言え、大嫌いだった先輩にはせめて少しでも変わっていてほしい……と思いつつ、何のプラスの変化も遂げずに日常を過ごす、齢50の自分がいる。
(文:のら~り)
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