中央競馬の今週のメインは、2歳王者を決める
朝日杯フューチュリティステークス。今年は、2戦2勝の牝馬
グランアレグリアが主役を務める。新馬戦で子供扱いした
ダノンファンタジーが先週のGI
阪神ジュベナイルフィリーズを快勝し、評価は高まるばかり。管理する
藤沢和雄調教師(67)=美浦=に、38年ぶりの牝馬Vに対する意気込みを聞いた。(取材構成・千葉智春)
--デビュー戦は芝1600メートルの新馬戦でJRA史上最速の1分33秒6。
ダノンファンタジーに2馬身差をつけた
「楽な勝ち方だったし、強いなんてもんじゃなかった。外から馬が来たから追ったけれど、来なければ追わなくてよかったくらい。器用さもあるし、言うことなかった」
--続くサウジアラビアロイヤルCも3馬身半差で圧勝
「(3日間開催などの都合で)変則的な日程の中での調整で、調教が少し足りない感じもあったんだけどね。スタートはジャンプするように出たけれど、その後は楽だったし、強い競馬だった」
--牡馬相手の
朝日杯FSに参戦するのは
「ルメール騎手が(9日の)香港のレースに騎乗するために乗れないということで、それに合わせて。敏感な馬だから、乗り慣れた騎手に続けて乗ってもらった方がいいからね」
--中間の調整は
「前走から時間があるし、今回は規則正しい日程で調整できて順調にきている。春先から美浦に来て慣れているから、イレ込みもなく調教は楽な馬。早くに競馬を2つ使わせてもらって賞金を加算できて、調整にも余裕が持てる。体も全体的にすごく良くなってきたよ」
--1週前追いは古馬相手の3頭併せ。見届けた直後“いい馬だなぁ”ともらしていた
「雰囲気が良かったし、すごく格好良かったね。先導した馬が遅くて途中で前に行ったけれど、いい動きだった。最終追いはルメール騎手を乗せて併せ馬の予定です」
--改めて持ち味は
「やっぱりスピードがすごい。(5日の1週前追いも)キャンターみたいに楽に走っていた。気性的に勝手に走りたがるけれど、かといって掛かるわけじゃないのもいい」
--最後に意気込みを
「牡馬相手はそう簡単にはいかない。ただ、稽古なんかでも、(牡馬との対戦が)かわいそうだと思わないくらい、ついていけているし、堂々としている。斤量が(牡馬より)1キロ軽いアドバンテージもある。前走よりもっと強い馬たちが出てくるけれど、頑張ってくれると思います」
★藤沢和師、2歳戦絶好調
藤沢和調教師は、今年の2歳戦でここまで14勝をマーク。友道調教師と並ぶ最多勝を挙げ、素質豊かな若駒がそろっている。また、14勝のうち10勝はルメール騎手とのコンビで挙げたもの。実績豊富なタッグで、牡馬打倒を狙う。
★JRA賞はどうなる?
普通ならば、牝馬限定の
阪神JFを勝った馬が最優秀2歳牝馬に輝くもの。先週の
ダノンファンタジーがそれに該当する。しかし、
グランアレグリアはそのダノンを新馬戦で2馬身引き離して快勝。ここで牡馬相手に勝てば、2歳女王のタイトルを手にするのは確実だ。一方、グランが勝つと最優秀2歳牡馬も流動的になる。その場合は、28日の
ホープフルS優勝馬が最有力候補となりそうだ。
藤沢 和雄(ふじさわ・かずお) 1951(昭和26)年9月22日生まれ、67歳。北海道出身。77年に中山・菊池一雄厩舎で調教助手となり、佐藤勝美、野平祐二厩舎を経て87年に調教師免許を取得。88年の開業後は
タイキシャトルや
シンボリクリスエス、
ゼンノロブロイなどの名馬を育て、昨年は
レイデオロで悲願のダービー制覇。JRA賞最多勝利調教師賞を12度受賞。10日現在、JRA通算8206戦1432勝(うち重賞111勝)。今年はGI天皇賞・秋を含む51勝で全国4位(関東1位)。