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ウマニティ編集長「岡田大がそっと教える“プロ予想家の表と裏” 」~伊吹雅也プロ(オモテ編)~

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ウマニティ編集長「岡田大がそっと教える“プロ予想家の表と裏” 」~伊吹雅也プロ(オモテ編)~ | コラム | ウマニティ

「『ザ・カンフルジョッキー』は“騎手が平凡な騎乗をするほうに賭ける予想理論”です。各ジョッキーの腕前はあまり考慮していません」(by伊吹雅也

さぁ、次のターゲットは誰にしようかな? まだ付き合いが浅く、追跡調査の余地ありだった霧さんのあとだから、今度はよく知っている人物にしよう。ウラの回であれこれイジれる人を選ぼう。というわけで、今週から2週にわたり、伊吹雅也さんに登場してもらいます。実は公認プロのなかでは彼との付き合いがいちばん古いんです。知り合ってから、かれこれ10年以上は経ちますかね。公私ともに、そして仕事も遊びも、何度も一緒に行動を共にしてきた仲なので、やりやすいし、ネタにも困らない。まぁ、覚悟してもらいましょうか(ニヤリ)。

とはいえ、今回はオモテの回。親しき仲にも礼儀あり、というか、ここでふざけたら企画の主旨からズレてしまいますので、まずはまっとうな話をしてもらわないとですよね。伊吹さんの2012年度の回収率は現時点でなんと350%! 2月に発売されたWIN5本も売れ行き好調で、リアルでもちょこちょこ当てているとかいないとか……。そしてさらに、つい先日行なわれたオーシャンSでは、人気薄の本命→対抗ズバリで3連複38万馬券をヒットさせるなど、最近は神がかった活躍ぶりを見せています。予想にかける意気込み、思いはぜひとも聞いておきたいところですよね。今をときめく絶好調男の本音にご注目ください!

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競馬を始めたキッカケは?

「同世代の競馬ファンはみんなそうだと思いますが、やはり『ダービースタリオン』ですね。最初にプレイしたのが『全国版』で、その後もプレイステーション版くらいまでは熱心にやり込みました。今から10年くらい前、この仕事を始めたころは“とうとうこの業界にも『ダビスタ』で競馬を知った世代が入って来たか!”と先輩方に驚かれたのをよく覚えています(笑)」

現在のスタイルを築くまでにはどんな試行錯誤がありましたか?

「競馬を覚えた当初は本当になんの工夫もなく馬券を買っていました。お金のない時期だったので額としてはたいしたことありませんでしたが、今思うと“よく心が折れなかったな”というくらい負け続けていましたね(苦笑)。最も大きな転機になったのは、競馬データベースソフト『TARGET frontier』(現『TARGET frontier JV』)を導入したことです。仕事で必要になったのがきっかけで使い始めたんですけど、少しずつ使い方の幅を広げていくうちに競馬の見方がガラッと変わりました。その後はオリジナルの攻略理論作りに没頭し、それなりに結果の出た方法論を取り入れていくかたちで現在の予想スタイルが完成しました。もちろん『ザ・カンフルジョッキー』もそのうちのひとつです」

プロ予想家として活動することになった経緯を教えてください。

「予想スタイルがほぼ固まり、“これからは予想を提供するような仕事にも取り組んでいきたいな”と考えていたところに、オープン直前の『ウマニティ』さんから声をかけていただきました。こちらとしては願ったり叶ったりのタイミングでしたが、当時の私は予想家としてはまったくの無名だったので、抜てきした『ウマニティ』も躊躇なく応じた私も若かったと思います。怖いもの知らずというか(笑)。おかげさまで、『ウマニティ』上の年間回収率は今のところすべての年で前年比プラスを記録しています。ベースとなる数字がそれほど高くないので威張れた話ではありませんが、順調に進化できている手応えはありますね。育ててもらった『ウマニティ』に恩返しできるよう、引き続き精進していきたいところです」

『ザ・カンフルジョッキー』は“騎手と騎乗馬の相性”に着目した予想理論ですよね?

「そうですね。基本的には『予想家紹介』の説明通りですが、いい機会なので補足させていただくと、『ザ・カンフルジョッキー』は“騎手が平凡な騎乗をするほうに賭ける予想理論”なんです。世間一般で言われる“上手い騎手”“下手な騎手”というイメージは、大抵がごく一部の印象的なレースによって形成されたものだと私は考えています。ジョッキーごとに多少の差はあれど、大部分のレースでは驚きのない平凡な騎乗をしているのですから、そちらの目に賭けるほうが効率的でしょう。とくにリーディング上位騎手の場合、“このジョッキーならなんとかしてくれるだろう”とか“こう乗れば勝てるんだからそういう乗り方をしてくれるはず”という文脈で期待されることが多いんですけど、あえて生意気な言い方をさせてもらうなら、それは予想じゃなくて願望なんですよね。こちら側から見て最善策とは思えない騎乗をしても、それに文句をつけるのはお門違いです。当たり前のことですが、ジョッキーは私たちにとって都合のいい策を選ぶのではなく、そのジョッキーが最善と考える策を選んでいます。勝手にファインプレーを期待して、ファインプレーをしてくれなかったから怒るというのはあまりにも理不尽でしょう。それなら、最初から各ジョッキーが平凡な騎乗をする前提で予想を組み、ファインプレーによって的中を阻まれたら素直に諦める(そしてファインプレーに賞賛を贈る)ほうが精神的にも楽です。『ザ・カンフルジョッキー』が重視しているのは、各競走馬が以前に同じ騎手で出走した際のパフォーマンスというふうに認識してください。各ジョッキーの腕前はあまり考慮していませんし、その必要はほとんどないと考えています」

当然「騎手ありき」で予想を組み立てているわけですよね?

「もちろんそうですよ!……と言いたいところなのですが、実は違うんですね。『ザ・カンフルジョッキー』という予想理論は、私が騎手というファクターの処理に時間をかけたくないから、そして努めてデジタルに処理したほうが効率よく予想を構築できるという考えがあったからこそ、生まれました。騎乗馬と騎手の相性を重視しているのは確かですし、もちろん『ザ・カンフルジョッキー』的に不安な馬は大きく評価を割り引いていますが、それだけを根拠に本命馬を決めることはありません。代わりに時間をかけているのはレース傾向の分析ですね。狙うべき馬のイメージをあらかじめ整理しておき、出走馬が確定したらそのなかからイメージに合う馬を探す――というのが私の予想スタイルです。先日のオーシャンSを例にとると、“道悪なら内枠の差し馬を狙う”という方針が事前に決まっていて、枠順確定後に該当する馬を探した結果、自然とワンカラットグランプリエンゼルベイリングボーイらを重視する予想になりました。予習自体はいつでもできますし、やっておけばやっておくほど週末の作業が楽になりますから、平日の空き時間を使ってじっくり進めています」

現在の1週間の過ごし方は?

「月曜から金曜は、本業であるフリーライターやコピーライターとしての仕事が主で、それをこなしながら予想家としての仕事や準備を進めていく感じですね。個人的に“これは予想家としての活動”と分類しているものだけを挙げていくと、まず月曜は『ウマニティ』で連載している伊吹雅也の週末メイン「1点」分析”(毎週火曜20時公開)。これは特別登録馬の分析も兼ねて、週末の大まかな方針を決めています。火曜は『JRAホームページ』で連載している“今週の注目レース(レース分析)”。こちらは制作のタイミング次第では1カ月後くらいに行なわれるレースの展望を書くことになるので、具体的な出走予定馬を想定してではなく、基本的なレース傾向を整理しておくというイメージで執筆しています。水曜は週刊誌に連載しているWIN5展望の原稿があり、ここでは翌週のWIN5対象レースの分析をしています」

別コンセプトの原稿仕事がレギュラーで毎日あるとやっかいですよね?(笑)

「そうなんです。月曜から水曜にかけて『今週末→1カ月後→翌週末』と視線の先が目まぐるしく変わっているんですよ。さすがにもう慣れましたけど、当初は頭の切り替えが大変でした(苦笑)。木曜や金曜は事務作業やイレギュラーな仕事をこなし、本格的な予想に入るのは金曜の夕方くらいからです。夜間発売のオッズを確認しつつ土曜の予想を入稿し、そのままネット連載のWIN5展望や日曜重賞の予想に着手します。土曜も競馬を観ながらWIN5展望を練り上げ、夜間発売のオッズを観察しながら日曜の予想を入稿します。日曜は基本的に馬券を買うだけです」

ここ最近の実際の馬券収支はどれくらいですか?

「さすがに仲谷さんほどは儲かってないです(笑)。最近の収支に関しては“WIN5さまさま”とだけ言っておきます。もちろん、悪くはないですよ」

では、これまでの最高勝利は?

「WIN5を除くと、スズカフェニックスが勝った2007年の高松宮記念ですね。単勝オッズ105.5倍のペールギュント(2着)が頑張ってくれたおかげで3連単(54万6450円)、3連複(6万9690円)、馬単(5万2980円)を総獲りできました。『プロ予想MAX』の前身である『ウマニティ The Pro』でも3連単と3連複を的中させています。しかも、この週は前日の毎日杯(1着ナムラマース)で大きく儲けていたので、当時の私としては結構な額を高松宮記念に投じていたんですよ。トータルでいくら儲かったかはご想像にお任せします(笑)」

儲けたお金でなにを?

「親兄弟を招待し、麤皮(注…アラガワ。ワイン等のお酒を含むと客単価10万円前後になる高級ステーキ店)に行きました。『たぶんもうしばらく来られないだろうから』と腹一杯食べた結果、3連単の配当の半分近くを支払うことに(苦笑)」

目標にしている予想家や競馬著名人、ライバルはいますか?

「“目標”“ライバル”と言うと語弊があるかもしれませんが、やはり岡村信将さん、栗山求さん、仲谷光太郎さん、山崎エリカさんなど、既に各種メディアでご活躍中の皆さんがどんな予想をされているのかは気になりますね。また、河内一秀さん、kmさん、スガダイさんなど、『ウマニティ』を通じて出会った予想家の皆さんからもいい刺激を受けています。華のある予想家になれるよう、皆さんの良いところを謙虚に見習っていきたいです」

では最後に、ユーザーさんに向けて自己PRを。

「お気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、私が『ウマニティ』で提示している買い目はだいたい500円単位です。トータルで1万円になるよう調整していますので、“20点をどう振り分けるか”という発想で買い目を作っていることになります。これはつまり、最低でも2000円あれば丸乗りできるということです。多くの競馬ファンが憂いなく投じられる金額はこのくらいだろう、と考えてこういうスタイルに落ち着きました。最終的な買い目や投入金額は皆さん次第ですし、博打的な押し引きまで私のスタイルを押し付けるつもりもありませんので、今後も伊吹雅也の見解をうまく利用してやってください」

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こちらが用意した質問に簡単に答えてくれればいいよと最初に言っておいたのに、いちいち回答が長いよ(笑)。聞いているこっちはまとめるのがけっこう大変でしたが、それだけ予想に真剣に取り組んでいるという様子がヒシヒシと伝わってきました。さすが、業界内でも屈指の理論派。一家言も二家言も持ってますなぁ。やることはやっている。軸はブレていない。そりゃあ結果もついてくるはずだと、今回の取材を通してものすごく納得した僕なのでありました。伊吹雅也、アンタ、実はただ者じゃないのね。

しかーし! 僕は知っているのです。彼が持つまた別の顔を。予想家として優秀だからといって、人間そのものが完璧だと思いますか? そんなわけないですよね。要するに、彼の場合も例にもれず、というやつです。詳しくはまた来週に。前もって言っておきますが、すべては紹介しきれません。それくらい、この男は○○で□□で△△なんです。

 ナイス!(18

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