第76回
皐月賞(17日、中山11R、GI、3歳オープン国際(指)、セン馬不可、定量、芝・内2000メートル、1着本賞金1億円、1~4着馬に
日本ダービーの優先出走権 =出走18頭)
蛯名正義騎乗で8番人気の
ディーマジェスティが、大外から徐々に進出して直線も力強く伸び、人気の3頭を堂々と打ち破ってGI初制覇。勝ちタイムはレースレコードの1分57秒9(良)だった。1馬身1/4差の2着は3番人気の
マカヒキで、1番人気
サトノダイヤモンドが3着。2番人気
リオンディーズは4位で入線したが、5着に降着となった。
風速19メートルの強風は、3強ではなく8番人気の伏兵を後押しした。体いっぱいに風を受けて馬上で躍動する
蛯名正義。その叱咤に応えて
ディーマジェスティの末脚が爆発する。1分57秒9の皐月賞レコード。3強を完璧に打ち負かして、クラシック1冠目を制した。
「あれ? かわすんだあ。勝つんだあ」
ゴールしても驚きを隠せないジョッキーだが、デビュー30年目、47歳のベテランの経験と技術が勝利を呼び込んだ。
大外(18)番枠からのスタートは速くなかった。しかし、後方でじっくりと構えると、向こう正面に吹く強烈な向かい風が多くのジョッキーのペース判断を狂わせた。3強の一角
リオンディーズがハイペースで先頭に。だが蛯名は冷静に先行争いをみていた。「こういう展開も想定していました。長く(騎手を)やっているので、引き出しは多いから」。じっくりと3コーナー過ぎから進出を開始。4コーナーで外に持ち出して直線に向くと、「突き抜けるだろう」という感触どおりに
ディーマジェスティがはじけた。
「3強といわれていたけど、自分の馬の競馬をするだけ。他が前を追いかけてもあわてなかったのは、僕が年を取ったからかな」
笑いを誘うジョッキーだが、円熟味を帯びてきた騎乗ぶりは常にリーディング上位に名を連ねる名手の真骨頂だ。
「クラシックはなかなか勝てなくてねえ。困っています」
初のクラシック制覇となった
二ノ宮敬宇調教師が苦笑いする。これが
ディープインパクト産駒の
皐月賞初勝利だが、「ディープは飛ぶ走りといわれたけど、この馬は沈む走りをする」と調教師は対照的な表現をした。
ここ5年で4勝目となる
共同通信杯から
皐月賞の黄金ローテ。昨年の
ドゥラメンテはダービーも制した。もちろんこの馬も次の目標は
日本ダービー(5月29日、東京、GI、芝2400メートル)だ。
24度目のダービーに挑む主戦は「中山より東京の方が向いている」と悲願達成のチャンスを冷静にうかがう。絶好の舞台設定で迎える大一番。“3強”から“4強”の図式になるが、頂点の座を譲るつもりはない。
ディーマジェスティが世代最強の名を確固たるものにする。 (柴田章利)
★17日中山11R「
皐月賞」の着順&払戻金はこちら