オークスが19日、東京競馬場で18頭によって行われ、1番人気のラヴズオンリーユーが中団待機から差し切り、無傷の4連勝でGI初制覇。手綱を取ったM・デムーロ騎手は、史上10人目のクラシック完全制覇を達成した。2着に12番人気のカレンブーケドール、3着には2番人気のクロノジェネシス。
令和初のクラシックで、名馬誕生の予感だ。3戦全勝のラヴズオンリーユーが豪脚を発揮し、2006年カワカミプリンセス以来、13年ぶり5頭目の無敗、同馬と並ぶ最少キャリア4戦目で樫の女王に君臨した。
「スタートはうまくいったが、道中で他の馬がフラフラして位置が下がって…。それでも、直線は素晴らしい瞬発力。すごく強かった」
M・デムーロ騎手が能力を絶賛する。向こう正面まで中団前めを追走したが、その後は他馬に外から張られた。4コーナーでは「届かないと思った」が、直線を向くとエンジン点火。「初めて本気を出して」馬場の真ん中を鋭く伸び、先に抜け出したカレンブーケドールをクビ差とらえた。勝ちタイム2分22秒8は、12年ジェンティルドンナの記録を0秒8上回るレースレコードだった。
鞍上にとっては、NHKマイルC(アドマイヤマーズ)に続く今年のGI2勝目で、史上10人目のクラシック完全制覇。「すごいこと! 半端ない!」と笑顔。オーナーのDMMドリームクラブにとってはGI初Vとなり、検量室前ではたたえるように両手で勝負服を指差した。
「声が出ました。馬に感謝しかない。すごい馬と改めて思いました」
頬を緩めた矢作調教師だが、道のりは険しかった。2歳時に2勝も、休養中にフレグモーネを発症し「春は駄目だと思った」。何とか整え、忘れな草賞を完調手前でV。ここへ大きく良化はしたが、輸送翌日に腸内環境に関する数値が一番下がる体質から、初の長距離輸送が鍵だった。そこで金曜輸送を選択。緻密な調整で前回と同じ456キロで迎えた。「体の張りを見ても輸送は正解。この会見の場にいられることが夢のよう」と安堵(あんど)の表情だ。
秋は秋華賞が本線となりそうだが、トレーナーは「これだけの切れ味は兄のリアルスティールにはなかった。世界を舞台に戦いたい」と、ドバイターフを制した厩舎の先輩を引き合いに将来性を語った。無敗の女王の先には、あふれんばかりの夢が広がっている。 (千葉智春)
★アラカルト
◆キャリア最少 4戦4勝での戴冠。オークスが春に実施されるようになった1953年以降では、2006年カワカミプリンセスと並ぶ最速タイ。
◆M・デムーロ騎手 史上10人目のクラシック完全制覇。過去は栗田勝、保田隆芳、菅原泰夫、武豊、河内洋、池添謙一、岩田康誠、川田将雅、C・ルメールが達成している。
★入場&売り上げ
オークスの売り上げは174億8430万2600円で、前年比98・7%。今年の平地GIは9レースを終了したが、前年比売り上げ減は桜花賞、天皇賞・春に次いで3レース目。一方、入場者も6万1596人で前年比93・8%だった。
ラヴズオンリーユー 父ディープインパクト、母ラヴズオンリーミー、母の父ストームキャット。鹿毛の牝3歳。栗東・矢作芳人厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主はDMMドリームクラブ(株)。戦績4戦4勝。獲得賞金1億7294万9000円。重賞は初勝利。オークスは矢作芳人調教師、ミルコ・デムーロ騎手ともに初勝利。馬名は「みんなへの愛を込めて。母名より連想」。