第76回
桜花賞(10日、阪神11R、GI、3歳牝馬オープン国際(指)、定量、芝・外1600メートル、1着本賞金9200万円、1~4着馬に
オークスの優先出走権=出走18頭)ミルコ・デムーロ騎乗で3番人気の
ジュエラーが、直線で外から鋭く伸び、重賞初勝利をGIで飾った。タイム1分33秒4(良)。父娘3世代のクラシック制覇を達成した桜の女王は、
オークス(5月22日、東京、GI、芝2400メートル)で牝馬2冠を狙う。ハナ差の2着は2番人気の
シンハライト。断然の1番人気だった
メジャーエンブレムは4着に敗れた。
直線半ばで抜け出した
シンハライトめがけ、
ジュエラーが強襲する。届け、届いてくれ-。思いを込めるように、左手を目いっぱい伸ばしてパートナーの首を押した。桜冠にかけるM・デムーロ騎手の執念が、約2センチ差の大接戦を勝ち取った。
「とっても気持ちいいですね。最後の直線はすごい脚だった。謙ちゃんの馬(
シンハライト)も強くて、きょうも怖かった。でも、一番大切なGIで勝ててよかった」
道中は後方2番手。じっくり構え、持ち前の末脚にすべてを託した。残り400メートルで大外に持ち出してスパート。前との差をグングン詰め、ラスト50メートルは2頭の一騎打ち。最後はハナ差だけ前に出たところがゴール。前哨戦の
チューリップ賞でハナ差敗れた借りを、本番できっちり返した。
「イヤーッ!!」
検量室前で勝利を伝え聞いた鞍上は、馬上で喜びの雄叫びを上げた。
「日本に来て
桜花賞に乗ったとき競馬場の桜がすごくきれいで、ずっとこのレースをどうしても勝ちたいと思っていた」
2002年に初騎乗(
ヘルスウォール5着)。日本に魅了され、今ではJRA所属となったイタリア出身の鞍上は桜に特別な思いがあった。13年は
レッドオーヴァルで2着。弟のクリスチャン・デムーロ騎手が騎乗した
アユサンにクビ差敗れ「さらに勝ちたいと思った」という桜の勲章をついに手にした。
11年にドバイワールドCを勝った父
ヴィクトワールピサは、産駒の重賞初勝利。その父
ネオユニヴァースでは03年春に牡馬2冠を制覇。父娘3世代をGI勝利に導き「僕の家族です」と笑った。
藤岡調教師は
ビッグアーサーの
高松宮記念に次ぎGI2連勝。09年に4着だった
ワンカラットを姉に持つ厩舎ゆかりの血統で、悲願のクラシックVを決めた。父の清さん(83)は元厩務員で、幼少時は阪神競馬場で育った。「オヤジが一番喜んでると思う」と目を細めた。
次走は
オークス。2400メートルへの距離延長にM・デムーロ騎手は「どうしよう」と苦笑いも「とても賢くて、瞬発力がすごくある」とうなずく。この日は次女のレティツィアちゃんの6歳の誕生日。勝利を愛娘にプレゼントした女心も分かる男なら、華麗に2冠へエスコートしてくれそうだ。 (川端亮平)
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