今週は京都競馬場で2歳女王決定戦・
阪神JFが行われる。
デイリー杯2歳S勝ち馬
ランフォーヴァウを送り出す、
福永祐一調教師(47)=栗=を直撃した。開業1年目にしてJRA通算16勝を挙げ、重賞も2勝をマーク(2日現在)。初年度にGⅠ初制覇なるか。自ら見出した〝孝行娘〟を大舞台に送り出す心境を聞いた。(聞き手・斉藤弘樹)
──
ランフォーヴァウは5月の千葉サラブレッドセールで自らリストアップした馬
「バランスが良く、脚さばきが軽かった。距離適性はもう少し短めかなと思っていましたが、1600メートルもこなしてくれた。こんなにすぐに重賞を勝つとは思っていませんでした。いい結果を出してくれています」
──入厩してからの印象は
「フットワークが軽くて、動かして良かったです。脚が軽くて、未勝利で終わることはないなとは思っていました」
──デビュー戦は6着
「いいスタートを切れず後方からの競馬になりましたが、最後は見どころのある脚を使ってくれたので、レース慣れすればすぐに勝ち上がれるかなとは思いました」
──2戦目で初勝利
「いいスタートは切れませんでしたが、ジョッキーがリカバリーしてインのスペースを見つけてくれて、ロスのない形で勝ってくれました」
──3戦目の
デイリー杯2歳Sで重賞制覇
「スタートも良かったし、ポジションも、追ってからも、内容は言うことなかったですね。最後はちょっと詰め寄られたので、マイルがぎりぎりなのかなという印象はありました」
──デビューからコンスタントに使えている
「そんなに使い減りする馬じゃないし、精神的にも安定しています。カイバ食いの心配がないのが大きいですね」
──11月27日の1週前追い切りは栗東CWコースで6ハロン82秒8-11秒8
「リードホースを追いかける形で、使っている馬なので、目いっぱいは要らないので。好調をキープしています」
──ジョッキー時代に
阪神JFは3勝
「勝った馬のなかで操作性が難しい馬はいませんでした。粗削りで素質だけで勝ったような馬はいなかったし、やっぱりスムーズな競馬(ができるか)ですね」
──開業年に早くも重賞2勝
「上出来だと思います。そういう馬を引き継がせてもらえたおかげ。多少、手探りな状況で始まってはいましたが、経験豊富なスタッフに来てもらったおかげで、自分が思った以上にスムーズな厩舎運営ができているなと思います」
──大きいレースに挑むときの気持ちの変化は
「変わらないですね。ジョッキーのときに大きいレースをたくさん経験してきた強みはあると思います。返し馬でジョッキーを落とさないかなとか、ゲートで暴れないかなとか、そういう緊張感は常にどのレースでも持っていますが、浮つくことはないですね」
──レースに向けて
「なかなか同じような形で(勝つ)というのは難しいと思いますが、男馬相手にGⅡを勝っていますから。2走前に内から伸びてきてくれたりもしているので、そういった経験をGⅠのフルゲートで生かせればと思っています」
■福永 祐一(ふくなが・ゆういち) 1976(昭和51)年12月9日生まれ、47歳。滋賀県出身。96年3月に栗東・北橋修二厩舎からデビュー。同年は53勝で最多勝利新人騎手。2011年に初のJRA最多勝、最高勝率。13年同最多勝、最多獲得賞金。22年に調教師試験に合格した。JRA通算2636勝は歴代4位。重賞は
コントレイルでのクラシック3冠(20年)などGⅠ34勝を含む160勝。父・洋一氏は元騎手。今年3月に栗東で開業。2日現在、JRA通算137戦16勝(うち重賞2勝)。
★騎手時代に3勝
福永調教師は騎手時代に2002年
ピースオブワールド、10年
レーヴディソール、11年ジョワドヴィーヴルと
阪神JFを3勝。騎手と調教師で
阪神JFを制した例は過去に伊藤修司(騎手=1961年チトセハーバー、調教師=67年マーチスなど)、吉永猛(騎手=51年テツノハナ、調教師=78年タマモアサヒなど)、浅見国一(49年ウイザート、調教師=94年
ヤマニンパラダイス)、西浦勝一(騎手=85年カツラギハイデン、調教師=2000年
テイエムオーシャン)がある。