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中学校の時はテニス部に所属していた。
運動系の部室は12部屋あり、テニス部、サッカー部、野球部の部室には“ある秘密”があった。それは天井板が取り外し出来たことだ。
天井板の秘密は女子の部室を覗くためのもの。今となっては笑い話だが、初めて先輩に連れられ天井裏に登った時のドキドキ感は忘れられない(笑)。
暗い天井裏にじっとしていると目がだんだん慣れてくる。すると遠くの方で差し込む光が見える。女子の部室に人が入ったのだ。先輩が苦労して天井に開けたキリの穴から、明かりが漏れるのだ。
板を踏まないようにそ~っと梁を通り、明かりの上まで移動する。うつぶせになり、キリの穴から覗くと下では女子が着替えている。音は一切出してはならぬが、初心者を連れて行くと大体音を立てる。すると下で着替えていた女子が物音に気付き、竹ぼうきでつついたりバレーボールやバスケットボールを投げてくる(笑)。
そんな遊びにもすっかり飽きた中3のある日、科学部の同級生Tが私を含む数人のテニス部員に頼み込んできた。聞けば一生の思い出に天井裏で覗きをしたいのだという。
そんなことならお安い御用だ、今から連れて行ってやる、と安請け合いし暇そうにしていた部員を連れ15人くらいの大所帯で上がった。
Tに暗闇での要領を説明し明かりに向かって隊列を組んで進む。たどり着いた瞬間、興奮し過ぎたTは我慢しきれずに絶叫した。「うぉ~っ!!〇〇(名前)だ!!」
当然だが気付いたその子に思い切り竹ぼうき攻撃を食らい、他の女子の部活も一斉に天井裏攻撃を始めた。
「逃げろ!」誰かの合図で一斉に逃げ帰る途中、一番軽量のはずのTが、あろうことか天井板を踏み抜いた。下で待ち構える女子にすかさず靴を奪われ、片方裸足で帰ってきたTは「いい思い出になったよ」と喜んでくれたが、部室からぞろぞろ出てきた我々を待っていたのは鬼の形相の顧問だった(笑)。
重い、軽いの問題ではなく要は“技量”の問題。どんなに軽くても技量が無ければ天井板を踏み抜くし、逆に重くても要領よく梁を踏めば無事逃げ帰れる。
それは競馬の世界でも一緒で、ハンデ戦で重い斤量を背負ったから不利かと言えばそんなことはなく、特に経験済みの斤量なら馬は戸惑うことなく力を発揮する。
競馬の神がそんな話をしたか否か、そんな話をどこかで聞いたか聞かざるか?定かでないが、部室の神様が囁いた、このレースにピッタリの金言を紹介する。
曰く「函館記念は重ハンデの経験馬を狙え」。
ハンデ戦は重ハンデの馬が強いことは以前紹介したが、その斤量を実際に経験した事実は大きい。
アラタは前走巴賞で58キロを背負い見事勝利した。そのレーティングは106で函館記念で上位入線するには十分な値だ。21戦目にして訪れた初重賞制覇のチャンスを掴みとって欲しい。
8月に同窓会があるのだ(笑)。アラタが勝ったら、いや、勝たずとも酒席で38年前の懺悔をさせてもらおう(笑)。
(文:のら~り)
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