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中央競馬ニュース
「皇帝」シンボリルドルフの主戦を努めた往年の名騎手・岡部幸雄氏。彼が海外遠征から戻ったある時、「日本の競馬が世界で通用するために必要な変化」について語ったが、その一つに、「直線だけで1000m取れる競馬場の導入」というのがあった。2001年、リニューアルした新潟競馬場に、本当に直線1000mのコースができたのを知り、その話を思い出し、心が踊ったものだ。
そしてその創設からは早20余年…。「夏の風物詩」としてすっかり定着したアイビスサマーダッシュ。「格言」を当てはめるには若干歴史が浅いが、なんとか勝ち馬予想を展開していきたい。記念すべき第一回、引っ張り出した「競馬格言」は2つ。即ち、①「夏は牝馬を買え」②「同一重賞好走馬は無条件で買え」である。
まず①について説明しよう。馬に限らず、生き物は総じて「環境変化」に対しオスよりメスの方が高い順応性を示すというが、夏の暑さに対してもまた然り。アイビスサマーダッシュ過去21頭の優勝馬のうちなんと14頭、3分の2が牝馬なのだ。数ある夏競馬の祭典の中でも特に牝馬が優位を示すレースで、2005年から2011年の牝馬7年連続優勝は圧巻だ。「牝馬限定戦」を除くJRA重賞競走で、同一重賞の牝馬連勝記録は堂々第一位である。梅雨明けが早く、例年より暑さが厳しくなった今年、牝馬にとって大チャンスのレースと言えそうだ。
次に②について言葉を足そう。前哨戦として注目される韋駄天S。同レースは、本番アイビスサマーダッシュとコース・距離共に一緒で、ここで好走した馬が本番でも好走するケースが目立つため、同レースの好走馬が上位人気になる可能性は極めて高い。今回のメンバーでは韋駄天Sを勝ったマリアズハートがこれにあたるのだが、その影に隠れて、恐らくそれほど人気にはならなさそうな馬が一頭いるのである。そう、オールアットワンスである。
そもそも昨年の勝ち馬だ。「ある重賞を勝つ馬」にとって、その条件が「その馬にとってのベスト条件」である可能性は極めて高い。同一重賞で、人気薄の過去の好走馬が息を吹き返し好走するシーンは良く見られるが、「直線1000m」という他にはない特殊な舞台においてこの傾向はますます高く、アイビスサマーダッシュここ6年の結果を見ても2015、2016年のベルカント連覇、2019、2020、2021年ライオンボスの3年連続連対と、同じ馬が好走を繰り返す傾向は極めて高いレースと言えるのだ。
今回のメンバーで、昨年5着以内だった馬は3頭。オールアットワンス、ライオンボス、トキメキである。3年連続連対のライオンボスがこのレースを得意としているのは明らかだが、格言①に従い「牝馬」に狙いを絞れば、狙うべきはオースアットワンスである。前哨戦韋駄天Sは、この条件不利とされる内枠を引き、レースを終始有利に進めたマリアズハートと比べるとコースロスも大きかった。加えて今回は斤量差も逆転し、マリアズハート＋1キロに対してオールアットワンス－1キロである。後は当日、少しでも「外」枠に入ることを祈るばかりだ。
（文・のら～り）
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