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ジャパンCを勝ったキタサンブラックが、ファン投票1位で有馬記念を迎える。菊花賞、天皇賞・春を含めGI3勝と日本を代表する一流馬の舞台裏に迫る連載を全4回で掲載。第1回は生産したヤナガワ牧場(北海道日高町)の梁川正普(まさひろ)代表(46)に配合などのエピソードを聞いた。
キタサンブラックは、未来を描いて代々配合する種牡馬を考えてきたヤナガワ牧場の結晶だ。その一歩は祖母のオトメゴコロを手に入れたところから始まった。現在、ヤナガワ牧場の代表を務める梁川正普氏が振り返る。
「ノーザンファームの馬で、馬体が良くティズナの血統も魅力だった。手に入れるチャンスがあったので、基礎繁殖の1頭として迎えたかった」
ティズナとはキタサンブラックの4代母。米国でGI3勝を挙げた名牝で、娘のティズリーからシーズティジー(種牡馬)が誕生。その血はBCクラシックで初の連覇を飾るティズナウへと繋がり成功を収めている。
オトメゴコロはヤナガワ牧場に子供を1頭だけ残して他界。その忘れ形見がサクラバクシンオー産駒のシュガーハートだった。正普氏は「トレセンでの動きから、出れば勝ち負けといわれたが、デビュー前に屈腱炎を発症。オトメゴコロの子は1頭だけなので、繁殖に上げることになった」と競走馬としてデビューせずに繁殖入りした。
「種馬、繁殖牝馬の現役時代の走りなどから、生まれてくる子をイメージします。オトメゴコロにはスピードがある馬をつけたかったのでサクラバクシンオーを。ブラックタイドも見栄えのする馬で、走る子が出るだろうと思ったから」
こうして2012年の3月10日にキタサンブラックは生まれた。「ぱっと見て、脚長で短距離の馬ではないなと。全体のバランスが良かったし、いい馬が出たと思った」と正普氏。その予感は想像をはるかに超える形で当たった。
ちなみにオトメゴコロには武豊騎手が1度騎乗し、2番手から押し切っていた。「キタサンブラックの祖母だったとは知らなかったな。でも印象に残る馬名だから覚えているし、乗りやすい馬だった」と武騎手は懐かしむ。その競馬センスは孫にしっかりと受け継がれたようだ。(板津雄志)
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