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騎手生活27年、福永祐一が国内で最後の騎乗「最高のジョッキー人生でした」

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騎手生活27年、福永祐一が国内で最後の騎乗「最高のジョッキー人生でした」

今月末で引退して3月から調教師に転身する福永祐一騎手(46)=栗東・フリー=が19日、東京競馬場での国内最終騎乗でファンに雄姿を披露した。GⅠフェブラリーSはオーヴェルニュで12着だったが、ヒヤシンスSでJRA通算2636勝目をマーク。25日はサウジアラビア国際競走に参戦し、27年の騎手生活にピリオドを打つ。

何度も心が震えた景色をしっかりと目に焼き付けた。国内最後のウイニングラン。「やめないでー!!」。ターフに響いたファンの願いに賛同するかのように、拍手が一層大きくなる。「ありがとう」。ペリエールの背中でそうつぶやいた福永騎手は、JRA通算2636勝目をかみしめた。

「東京競馬場で勝って引き揚げてくると、たくさんのお客さんに迎えられる形になる。それは騎手の醍醐味(だいごみ)で、大きなやりがいのひとつだった。変わらずに最高でしたね」

騎手としての最終週はサウジアラビア国際競走に参戦するため、この日が国内では最後の騎乗だった。7頭に騎乗し、フェブラリーSはオーヴェルニュで12着。それでも、9RのヒヤシンスSでデビューから手綱を取るペリエールを勝利に導き、母の裕美子さんと妻で元フジテレビアナウンサーの翠さんの前で見せ場を作った。


「3歳で未来がある馬に、次に乗れない中でも騎乗依頼をいただいた。当たり前のことじゃないからこそ、一番いい結果で応えないといけない。近年で一番プレッシャーがかかったけど、勝てて良かったよ」

ほっとした笑みを浮かべた1勝は、築き上げた27年の経験が結実したものだ。

最終レース後に行われたセレモニーには、デビュー時に所属した北橋厩舎のジャンパーを着て登場。親交のある市川團十郎白猿や、師匠の北橋修二元調教師らが見守る中、1万人以上のファンに感謝の思いを伝えた。コロナ禍での無観客開催時を思い返して言葉に詰まり、「お客さんがいないときもありましたし、無観客の(日本)ダービー(2020年コントレイル)もありましたけど、最高でした。最高のジョッキー人生でした」と涙を浮かべた。

「後悔は尽きなかったですが、未練はひとつもありません。自分はやり切ったのかなと、騎手という仕事は味わいつくせたのかな、というのは感じます。画面越しにはなりますが、最後はサウジアラビアでいい結果、いい騎乗を見せられるように頑張ってきます」

自然と巻き起こった手拍子に応えながら引き揚げた福永騎手の目に、もはや涙はなかった。サウジではリヤドダートスプリント(リメイク)とサウジダービー(エコロアレス)に騎乗の予定。異国の地で有終の美を飾り、最高の騎手人生を締めくくる。

■福永 祐一(ふくなが・ゆういち) 1976(昭和51)年12月9日生まれ、46歳。滋賀県出身。96年3月に栗東・北橋修二厩舎所属でデビュー。53勝で最多勝利新人騎手に輝く。2005年に初のJRA年間100勝(109勝)を達成し、自己最多の同重賞16勝をマーク。11、13年に同リーディングを獲得。調教師試験に合格した22年は歴代最長記録を更新する13年連続の年間100勝を達成。JRA通算2636勝は歴代4位、重賞はコントレイルでの3冠(20年)などGⅠ34勝を含む160勝(19日現在)。父・洋一氏は元騎手。

【祐一TALK~改めて日本の競馬は最高だな】

──日本での最終騎乗を終えて


「最終レース(3番人気ゲンパチプライド)でたくさんの方に単勝を購入していただいたのですが、そこでいい結果を残すことができなかったので、大変申し訳ないなという気持ちです。そのレースを含めて後悔は尽きなかったですが、未練はひとつもありません」

──今年の初のJRA・GⅠ開催デーだった

「たくさんのお客さんの前で終えることができて、非常に幸せな気持ちになりました。改めて日本の競馬は最高だなと。GⅠのファンファーレのときの拍手を聞いて思いました」

──どのレースでも馬場入り時から大きな拍手が起こった

「ファンの方の気持ちを非常に感じました。最終レースでは馬がそれにビックリして落とされそうになりましたけど、ここで放馬して出走取消になるわけにはいかないので、踏ん張って気を引き締めました」

──セレモニーで武豊騎手と柴田善臣騎手から花束を贈呈され、どんな言葉をかけられたか

「『順番が違うだろ』と。自分も結構いいおじさんなんですけど、僕よりもおじさんの2人に花束をもらったっていうのが、複雑な気持ちでした。まだまだおふた方は若くて、バリバリ騎乗されてますからね。(調教師として)おふた方に依頼できるような馬を作りたいなと思いました」

──東京競馬場には多くの思い出がある


「本当にたくさんの経験を(日本)ダービーでさせていただきました。悔しい気持ちも、うれしい気持ちもありました。JRA重賞初勝利はキングヘイローで、当時は東京スポーツ杯3歳ステークスで。鮮明に覚えています」

──最終週に向けて

「まだサウジアラビアでの騎乗が残っているので、きょうはあまり感傷的にならないように気持ちをセーブしていました。最後まで大きなレースの騎乗依頼をいただけて本当にありがたいと思います。騎手として最後まで全うしたいですね」

【仲間が惜別の声】

武豊騎手「一緒に競馬に乗るのは最後だったからね。これから寂しさは感じるんだと思います。これまでは(同じ騎手同士で)勝ったり負けたりしてきたので、いつか一緒に勝つことができればいいですね」

戸崎圭太騎手「調教師になると聞いたときは、こんなに早く転身するのかと鳥肌が立ちました。祐一さんにはいろんなところを勉強させてもらいました。ジョッキーとしてだけでなく、人としても尊敬しています。調教師としても頑張ってほしいし、自分も(騎乗を)頼まれるようにならないといけないですね」

柴田大知騎手「(競馬学校の)同期ですけど、やっぱりすごい人ですね。この後はいい調教師になってくれると思います」

坂井瑠星騎手「日本で一緒に乗れるのが最後なのは寂しいですね。ただ、まだ僕はサウジで一緒に乗れるので、最後の騎乗姿を目に焼き付けたいと思います」


【家族に恩師、友人らがセレモニーに駆け付け】

◆北橋修二元調教師「感動したよ。1万人くらい残っていてびっくりした。ただ、最後まで父(元騎手の洋一さん)は超えられなかったね。お父さんならもっと勝っていたと思うよ」

◆市川團十郎白猿「感動しました。素晴らしかったですね。これからまた新しい世界を見せてくれることを期待しています」







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