藤岡佑騎乗で3番人気の
ジャックドールが、好位追走からゴール前の競り合いをねじ伏せて重賞2勝目をマーク。
天皇賞・秋(10月30日、東京、GⅠ、芝2000メートル)に向けて、弾みのつく大きな1勝を挙げた。2着は2番人気
パンサラッサ、3着に5番人気の
ウインマリリンが入り、連覇を狙った1番人気の
ソダシは5着に終わった。
先行2頭のゴールまで続いた競り合いに、ファンから大きな拍手が沸き起こった。
ジャックドールがGⅠ馬5頭を蹴散らし、
金鯱賞以来となる重賞2勝目。引き揚げてきた藤岡佑騎手が、高らかに左手を突き上げて勝利を宣言した。
「他の馬の手応えを見ても分かる通り、タフなレースでした。余力はなかったですけど、一度出たクビ差を必死に守ってくれました」
ジョッキーは力を振り絞ったジャックの走りをたたえた。スタートを決めたが、
パンサラッサが行く気を見せたためスッと控えると、
ユニコーンライオンが2番手。「ほぼ僕が想定していた通りでした」と、レース前の思惑通りの隊列で脚をためた。3コーナーの勝負どころから進出すると、直線半ばには後ろからは何も来ない、まさに2頭の一騎打ちに。鞍上の左ムチのゲキに応え、しぶとく伸びて逃げ粘る
パンサラッサをクビ差かわした。
接戦での勝利に藤岡調教師は「ペースが遅くなると困ると思っていたので、いいペースで行ってくれたが、やっぱり強かったです」と相手をたたえた。1勝クラスから
金鯱賞まで5連勝した素質馬だが、前走の
大阪杯では、落鉄の影響もあって5着。それでもトップクラスの能力は感じ取っていた。調教師は「落ち着きが出てきています。ちょっと行きたがる感じが以前はありましたけど、成長しています」と目を細める。かつて伊藤雄二厩舎で調教助手を務めていたこともあり、17日に亡くなった恩師への追悼も、この勝利で果たす形になった。
スーパーGⅡを制して次なる大目標は
天皇賞・秋だ。藤岡佑騎手は「いいメンバーの中でいいレースができました。十分GⅠを勝てる素質のある馬なので、一緒に頑張りたい」と力強く結んだ。最高のパートナーとともに秋の盾取りへ。
ジャックドールの視界は明るく開けている。
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ジャックドール 父
モーリス、母ラヴァリーノ、母の父アンブライドルズソング。栗毛の牡4歳。栗東・
藤岡健一厩舎所属。北海道日高町・クラウン日高牧場の生産馬。馬主は前原敏行氏。戦績11戦7勝。獲得賞金2億3864万円。重賞は2022年GⅡ
金鯱賞に次いで2勝目。
札幌記念は
藤岡健一調教師、
藤岡佑介騎手ともに初勝利。馬名は「人名より+黄金(仏)」。