昨年9月に同舞台の重賞・
札幌2歳Sを制している
ドゥーラ。
それ以降は
阪神JF、
チューリップ賞、
桜花賞とスタートが安定しないところを見せたり、直線での致命的な不利があったりで成績が低迷。人気薄で意地を見せた
オークスにおいても、道中はかなり後方から進めており、ローカルの1800mで流れに乗って行けるのか、そして何より
オークス3着馬という実績に相応しい走りができるのかが注目された。
筆者も春のクラシックを予想していくにあたり、本馬の取捨には随分と迷わされたものだが、レースの流れに乗り切れていなかった春シーズンとは一転、今回はスタートをしっかり決め、その後はハナすら切れるのではと思わせる行きっぷり。鞍上の抑える指示にはしっかりと従い、勝負所では外回しのロスも関係なく1頭だけ違う脚色で押し上げる。その後も全く脚色は衰えず、正に"強者の競馬"での快勝だった。
51kgの軽量だったとはいえ、牝馬重賞の常連達を全く問題にしなかったのは立派。2、3着が道中インコースでロスなく運んだ馬だったことを考えると、着差以上の強さを見せつけたと言える。
思えば、
阪神JFや
チューリップ賞でも、不利等がなければ馬券に絡んでいたであろう馬。同世代のトップである
リバティアイランドは途方もなく高い壁だが、今回の勝ち方が示す通り、本馬の能力の高さも捨てたものではない。
秋華賞において大本命馬相手にどう戦うか。今後も注目すべき存在と言える。
2着には9番人気の伏兵・
ウインピクシスが粘り込んだ。
非常に前向きで、これまでもローカル向きの先行力を発揮してきた馬だが、今回は2番手のインコースという理想的な位置を確保。多少行きたがるところは見せていたものの、そこでしっかり我慢できた分が粘りに繋がった。
重賞好走は今回が初めてだが、高確率で好位を確保できる脚質のアドバンテージは大きく、似たような条件であれば今後も見せ場を作ってきそう。極端に人気になるタイプではないだけに、忘れた頃の一発を警戒したい存在だ。
3着は今年に入ってぐんぐん力を付けている
コスタボニータ。
こちらも
ウインピクシスに負けず劣らずの前向きな気性の持ち主で、血統的にも1400~1600mがベストなタイプに映るが、兄姉も大得意にしていた札幌の洋芝で一伸びが利いた。
これで2走前の
阪神牝馬Sに続いての重賞好走となるが、どちらも枠やトラックバイアスに助けられた部分も大きい内容なだけに、勝ち負けまで持ち込むにはもう一段上の地力強化が必要となるだろう。
ルビーカサブランカと
イズジョーノキセキら古豪はそれぞれ4、5着に奮闘。
ルビーカサブランカは勝負所で
ドゥーラと同じく外を回したが、道中の追走が忙しく、微妙に脚の溜まりにくい1800mという距離や、斤量差もあってここまで。それでも厳しいローテの中できっちりと自分の力は出している印象だし、2000m超のレースであれば見直しも可能だろう。
イズジョーノキセキは直線で進路がなく、しっかりと追い出せたのは残り200mを切ってから。スムーズでも
ドゥーラには届いていなかったとは思うが、近走の不振を考えると上昇の兆しを見せたのは大きい。昨秋の走りが示す通り爆発力は秘めた馬なので、牝馬同士であればまだまだ無視できない存在と言える。
○霧(きり)プロフィール
ウマニティ公認プロ予想家。レース研究で培った独自の血統イメージに加え、レース戦績や指数等から各馬の力関係・適性を割り出す”予想界のファンタジスタ”。2023年1月には、長年の活躍が認められ殿堂プロ入りを果たす。
霧プロの最新予想ページはこちら
※週末の枠順発表までは直前週結果ページへ遷移します。