今週のGIはダートの王者決定戦・ジャパンCダート。米国3冠最終戦・ベルモントS優勝馬サマーバードが骨折で断念したことにより、
ヴァーミリアンへの注目度がますます高くなった。前走のJBCクラシックで日本馬単独トップのGI8勝目をマーク。自己記録更新が期待される。
未知の領域を突き進んで行く。前走のJBCクラシックで日本馬単独トップのGI8勝目を飾った
ヴァーミリアンが、今週のジャパンCダートでその記録を伸ばす可能性が一段と高くなった。
最大の強敵と見られた米国のクラシックホース・サマーバードが11月29日の追い切りで右前脚を骨折して出走を断念し、
ヴァーミリアンのチャンスがより大きくなった。
全休日の30日朝は滋賀県の栗東トレーニングセンターの自厩舎で静養し、2日の最終追い切りに備えた。「強い馬と戦いたかったからサマーバードの出走回避は残念だね。若い頃とは違うから体調を維持するために緩めない調整をしている。歳を重ねるごとに悪さもしなくなったし、最近は調教でも大人の走りをするようになった」と久保卓也調教助手は砂の王者の成長をアピールする。
「昨年は残念だったから。以前はゲートに心配があったけれど、それもなくなり、精神的に本当に大人になった。競馬を完全に分かったんでしょう」というのは石坂調教師。JCダートが東京から阪神に移って最初の昨年は単勝2・2倍の1番人気に支持されたが、前半で行き脚がつかず後方からのレースになったのが痛かった。勝負どころで上がって行ったものの、直線の追い比べで劣り
カネヒキリ、
メイショウトウコンに先着を許し3着。当時は阪神ダートが初めてという事情もあった。だが、2度目の今回は同じ轍を踏むことは許されない。
1年を経ても、能力に衰えはない。帝王賞、JBCクラシックと交流GIを連勝中。特に前走は逃げる
マコトスパルビエロの直後で、真横には
ワンダースピードにピッタリと付かれ、終始、内に閉じこめられる苦しい展開。それでも直線は最内の狭い隙間を躊躇なくついて、アタマ差マコトをかわした。能力に絶大な信頼を寄せる
武豊騎手は「ヒヤヒヤさせてすいません」と切り出し「道中はいじめられたけど、前が開いてからはいい反応でした。ますます元気です。今年が一番強いかもしれません」と王者健在をアピールした。
ジャパンCではルメールの手に渡った
ウオッカが7冠を達成し、ユタカの
リーチザクラウンは9着に終わっている。1番人気になりそうな今回、燃えないわけがない。順調ならこの後は、一昨年優勝、昨年2着の東京大賞典(29日、大井、交流GI、ダ2000メートル)に進むことが予想され、
ウオッカなどをさらに離す2桁のGI10勝の大記録まで見えてくる。