第66回
阪神ジュベナイルフィリーズ(14日、阪神11R、GI、2歳牝馬オープン国際(指)、馬齢、芝・外1600メートル、1着本賞金6500万円 =出走18頭)
蛯名正義騎乗で5番人気のショウナンアデラが、末脚鋭く差し切って2歳女王に輝いた。タイム1分34秒4(良)。父
ディープインパクト譲りの切れ味を発揮し、来春の
桜花賞(4月12日、阪神、GI、芝1600メートル)のヒロイン候補に躍り出た。2着は2番人気の
レッツゴードンキ、3着には4番人気の
ココロノアイが入った。1番人気の
ロカは8着。
寒風を切り裂き、ライバルをはじき飛ばし、豪快に突き抜けた。全18頭の種牡馬が異なった2歳女王決定戦。頂点に立ったのは、父
ディープインパクト譲りの切れ味と勝負根性を発揮したショウナンアデラだ。エスコート役の蛯名騎手は、首に頬ずりしてねぎらった。
「外に出したときに多分、間に合うなと思った。エンジン全開ですごい脚でした。ディープらしいところがいいところですね」
大舞台で懐の深さを見せつけた。出遅れて約1馬身の後手。過去3戦は好位で運んだが、鞍上は腹をくくって後方待機策を選択した。内に切れ込んで馬群の中で接触しながらも、じっくり構えて脚をためる。4コーナー手前から馬群をさばいて進出し、残り200メートルで外の
レオパルディナを押しのけて大外へ。進路が広がると、一完歩ごとにグングン加速。先に抜け出した2着馬
レッツゴードンキを捕らえ、半馬身差をつけてゴールを駆け抜けた。
鞍上は「1回、こういう競馬をしてみたかった。初めて馬群に入ってモタモタしたけど、この競馬ができたのは次につながる」と満足げにうなずいた。
デビュー前から素質は評価されていたが、関節の弱さを抱えていた。コース調教では負荷がかかり過ぎたため、坂路に切り替えて手加減しながら仕上げ、レース間隔もあけてきた。そんな陣営の心遣いに馬も応え、これで2戦目から未勝利-500万下-GIと3連勝。目いっぱい仕上げていないぶん、これからの伸びしろがまだまだ期待できる。
今後は放牧に出てひと息入れ、
桜花賞に向けて調整を進めていく。二ノ宮調教師が「本当に強い調教をしたらどうなるのかな」と期待を込めれば、蛯名騎手は「同じ舞台で勝てたのは自信を持っていける大きな要素。もっと上を目指したい」と力を込めた。
大きな可能性を秘めたショウナンアデラが、牝馬クラシック路線の中心を突っ走っていく。 (川端亮平)
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ショウナンアデラ 父
ディープインパクト、母オールウェイズウィリング、母の父イルーシヴクオリティ。鹿毛の牝2歳。美浦・
二ノ宮敬宇厩舎所属。北海道日高町・下河辺牧場の生産馬。馬主は国本哲秀氏。戦績4戦3勝。獲得賞金8417万5000円。重賞初勝利。
阪神JFは、
二ノ宮敬宇調教師は初勝利、
蛯名正義騎手は2009年
アパパネに次いで2勝目。馬名の意味は冠名+人名。