秋のGI開幕戦の
スプリンターズSが29日、中山競馬場で16頭によって争われ、ルメール騎乗で2番人気の
タワーオブロンドンが豪快に差し切り勝ち。芝1200メートルに転じて4戦目で、GIを奪取した。2着に3番人気で逃げた
モズスーパーフレア、1番人気の
ダノンスマッシュは3着に敗れた。
歓声に包まれながら、310メートルの直線を力強くを駆け抜けた。
タワーオブロンドンが重賞連勝でGI初制覇。サマースプリントシリーズ王者が、2006年のシリーズ創設以来、
スプリンターズS初制覇で新たな歴史を作った。
「すごくうれしいです。パドックでリラックスしていたし、スタートは得意でないけどきょうはいい位置が取れた。ラスト200メートルはトップスピードに乗っていて、勝つ自信はありました」
今年GI4勝目のルメール騎手が汗をぬぐいながら笑みを浮かべる。
モズスーパーフレアが逃げて、道中は中団を進む1番人気の
ダノンスマッシュの後ろを追走する。「マークしたかった。ただ、あの馬の位置が好きではなかったので、外を通ってスムーズな競馬ができた」と回顧。その後、3、4コーナーで外から並びかけると直線では早々にダノンを突き放した。ラストはステッキに応えて伸び、粘り込みを狙うモズをゴール寸前でつかまえて、右手の拳を力強く突き上げた。
検量室前でジョッキーと抱き合って喜びを分かち合った藤沢和調教師。1997年
タイキシャトル以来の2勝目に目を細めた。
京王杯2歳S(GII、芝1400メートル)、
アーリントンC(GIII、芝1600メートル)を制しているが、早い段階でルメール騎手は「短いところで…」と進言していたという。そして、初めて6ハロン戦を使ったのが4走前の
函館SS(3着)で、
キーンランドC(2着)、
産経賞セントウルS(1着)と使い、4戦目で頂点に到達した。「僕も調教師だし、指図されたくなかったけど、彼のいうとおり1200メートルでしたね」とトレーナーは笑う。
次走は未定だが、
マイルCS(11月17日、京都、GI、芝1600メートル)や香港などの海外遠征が視野に入る。スプリント界の新星は、どんな物語をこのあと作っていくのだろう。(渡部陽之助)
★入場、売り上げ
スプリンターズSの売り上げは、130億2513万100円で、前年比103・3%と増加した。今年の平地GIは13レースが行われ、9レース目の売り上げ増。入場者は3万4347人で前年比141・1%。
タワーオブロンドン 父レイヴンズパス、母スノーパイン、母の父ダラカニ。鹿毛の牡4歳。美浦・
藤沢和雄厩舎所属。北海道日高町、ダーレー・ジャパン・ファーム有限会社の生産馬。馬主はゴドルフィン。戦績14戦7勝。獲得賞金3億9747万円。重賞は2017年GII
京王杯2歳S、18年GIII
アーリントンC、19年GII
京王杯SC、GII
産経賞セントウルSに次いで5勝目。
スプリンターズSは
藤沢和雄調教師が1997年
タイキシャトルに次いで2勝目。クリストフ・ルメール騎手は初勝利。馬名は「ロンドン塔」。
★29日中山11R「
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