伊吹雅也
きいいろ
富士S(芝1600メートル)が19日、東京競馬場で18頭によって争われ、ルメール騎乗で2番人気のノームコアが差し切って快勝。ヴィクトリアマイルに続く重賞連勝を飾った。今後はマイルCSなどを視野に入れて調整される見込み。 究極のレコード決着もタフな重馬場も何でもござれ。“究極の普通”を意味するノームコアが、極めて普通ならざる超絶パフォーマンスで牡馬一線級を斬って捨てた。 「彼女は大人になりました。すごく強くなった。すごくいい馬になりました」 コンビ復活でいきなり答えを出したルメール騎手が、優勝インタビューで愛馬の走りに目を丸くする。自身、8~10Rの3連勝で迎えたメインは斤量56キロ、(16)番枠、そして稍重馬場とただでさえ過酷なシチュエーション。加えてスタート直後には左前脚を落鉄と“四重苦”の厳しい試練が与えられたが「前のポジションには行きたくない。後ろから、前の人気馬を見る競馬で」。冷静に1番人気のアドマイヤマーズをマークして揺さぶりをかけつつ、直線は鮮やかに抜け出して快勝。さらに名手は12Rもレッドベルローズで勝ち、騎乗機会5連勝で締めた。 前週の秋華賞でGIホースの仲間入りを果たした半妹クロノジェネシス(父バゴ)に続く姉妹重賞V。生産者の吉田勝己ノーザンファーム代表は「(母馬の)クロノロジストはすごい馬」と偉大な母をたたえ、池谷誠一オーナーは「うちのが先にGIホースになって驚いていたけど、今日の走りを見ると本当に強くなったんですね」と笑みを浮かべた。 今後のローテは未定だが、マイルCS(11月17日、京都、GI、芝1600メートル)、さらに香港マイル(12月8日、シャティン、GI、芝1600メートル)挑戦も視野に入ってくる。マイルの女王から真のマイル王へ、究極の野望がにわかに現実味を帯び始めた。 (内海裕介)ノームコア 父ハービンジャー、母クロノロジスト、母の父クロフネ。芦毛の牝4歳。美浦・萩原清厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は池谷誠一氏。戦績10戦5勝。獲得賞金2億4988万8000円。重賞は2018年GIII紫苑S、19年GIヴィクトリアマイルに次いで3勝目。富士Sは萩原清調教師が初勝利、クリストフ・ルメール騎手は18年ロジクライに次いで2勝目。馬名は「究極の普通」。