第58回北海道新聞杯
クイーンS(15日、札幌9R、GIII、3歳上牝馬オープン国際、別定、芝1800メートル、1着本賞金3800万円=出走14頭)
武豊騎手(41)=栗・フリー=が、2番人気
アプリコットフィズにテン乗りで快勝。落馬負傷による戦線離脱から8月1日に復帰以来、初の重賞勝ちを決めた。1分47秒6(良)。春のクラシックでは実現しなかったコンビは、牝馬3冠最終戦の
秋華賞で1冠を目指す。1番人気
ヒカルアマランサスは8着に完敗した。
緑鮮やかな札幌のターフを、帰ってきたヒーローが颯爽と駆け抜けた。3月27日の
毎日杯での落馬負傷(左鎖骨骨折など)から復帰した
武豊騎手が、
アプリコットフィズで重賞V。ファン待望の瞬間が訪れた。
「久しぶりの重賞勝ちで嬉しいですね。春はせっかく声をかけてもらって凄く嬉しかったのに(ケガで)乗れなかったので、何とかそれ(陣営の期待)に応えたいと思っていた。初めて乗って凄く乗り味がいいし、改めていい馬だと思いました」
満面の笑みでインタビューを受けるユタカ。8月1日の小倉で戦列復帰し、当日の
小倉記念は1番人気
スマートギアで3着に敗れたが、この日は鮮やかな手綱で勝利をエスコートし、3月7日の弥生賞(
ヴィクトワールピサ)以来となる今年の重賞3勝目。24年の騎手生活で最も長い休養を余儀なくされ、アプリコット陣営からは春のクラシックで騎乗依頼を受けながら乗れなかっただけに、責任を果たせた喜びも大きかった。
レースは、ポンとスタートして楽に2番手をキープ。勝負所で逃げた
マルティンスタークが失速すると押し出される形でアプリコットが先頭に。直線入り口で軽く仕掛けて後続をスーッと引き離した所で勝負あり!
プロヴィナージュ、
カウアイレーンの追撃を封じてゴールに飛び込んだ。“ウイニングラン”のように引き揚げてくるユタカに、スタンドから盛大な拍手と歓声が飛ぶ。
「楽に2番手が取れたし、直線でも反応良く(後ろを)すっと引き離せた。跳びの大きな馬なので開幕週の馬場も良かったと思う」と会心の笑みを浮かべる。
秋華賞(10月17日、京都、GI、芝2000メートル)では
アパパネ、
サンテミリオンら春のクラシックホースに改めて挑む。
今週の
札幌記念は
ヤマニンキングリーに騎乗、次週は
新潟記念で
スマートギアとのコンビが有力だ。その後は
ヴィクトワールピサでのフランス遠征が控えている。「フル騎乗するにはまだ自信がないけど、1つ1つのレースはしっかり乗れている。やっと騎手っぽくなってきたね」とジョークを交える表情に迷いはない。
完全復活をアピールした競馬界のプリンス“YUTAKA TAKE”が、この後の夏~秋競馬を牽引していく。(片岡良典)