3歳牝馬3冠の最終戦となる
秋華賞が13日、京都競馬場で17頭によって争われ、4番人気の
クロノジェネシスが好位から抜け出してGI初制覇。春の2冠はともに3着に敗れたが、雪辱を果たした。管理する
斉藤崇史調教師もJRA・GI初勝利となった。このあとは
エリザベス女王杯(11月10日、京都、GI、芝2200メートル)に向かう。
「シャーッ!」。検量室前で
クロノジェネシスの馬上から降りると、北村友騎手が両手を突き上げて感情を爆発させた。牝馬3冠路線をともに歩んできたパートナーが、最後の1冠で悲願のGI初制覇。鞍上は喜びを押さえながら振り返った。
「理想的なポジションで来られました。4コーナーでは、いつでも抜け出せる手応え。自信を持って追い出しました」
少し押して、人気の
ダノンファンタジーを見ながら好位の内を追走。脚をため込み、直線入り口で外に持ち出されると、エンジンを一気に吹かす。前の人気馬をかわし、逃げ粘る
ビーチサンバを残り150メートルで捕らえきり、
カレンブーケドールの追撃も余裕を持って封じた。初代
秋華賞馬
ファビラスラフインの1996年以来に芦毛が先頭でゴールを駆け抜けた。
デビューから7戦全て手綱を取り、GIの
阪神JF2着、
桜花賞、
オークスはともに3着。能力を肌で感じながら、もどかしい結果に悔しさが募った。「ここで絶対に勝つんだ、という気持ちでした。ずっと乗せていただき、ようやく結果を出せて、本当に“うれしい”のひと言」。あふれる思いが、雄叫びに表れた。
「抜けてくる脚が良かったですし、残り1ハロンで勝てるかな、と。うれしかったのと、ホッとしたのと両方ですね」
開業4年目の斉藤崇調教師は静かに喜びをかみしめた。今年の
クイーンCでの重賞初制覇と同じく、
クロノジェネシスでGI初制覇。松永幹厩舎で調教助手だった09年には、担当の
レッドディザイアで
秋華賞を制した。「あの馬がいなかったら今の僕はいません。同じ(5)番。縁ですね」。史上4頭目の
オークスからの直行Vにも「昨年(
アーモンドアイ)勝った馬がいますから。ノーザンファームさんときっちりやってきました」と仕上がりに胸を張った。
この後は
エリザベス女王杯を予定。「自分にとっても、
クロノジェネシスにとっても、斉藤先生にとっても、大きな1勝。これを励みに、また頑張りたい」と北村友騎手は意気込む。
クロノジェネシスが、古馬牝馬界統一へ力強く駆け出した。 (千葉智春)
★ノーザンF5連覇
春の鬱憤を晴らし、GI初制覇を果たした
クロノジェネシス。生産者のノーザンファームは、2015年
ミッキークイーンから5連覇となった。
「強いレースでしたね。この馬の持ち味がうまく生きた勝利でした」と同ファームの吉田勝己代表(70)。「馬体重の20キロ増は、成長分とみていいでしょう。しぶい血統で、よくここまでの子を出してくれました」と、
ノームコア(
ヴィクトリアマイルV、父ハービンジャー)との姉妹GI制覇に満面の笑みを浮かべた。
オーナーの(有)サンデーレーシングは、12年
ジェンティルドンナ以来の優勝。吉田俊介代表(45)は「いいポジションで競馬ができていました。フレッシュな状態でレースに臨めたのも良かったと思います」と晴れやかな表情だった。
現在2歳の半妹
クロトノーナ(父
ルーラーシップ)は美浦・
大和田成厩舎に入厩予定。1歳の牡馬(父
モーリス)は、今年のセレクトセール1歳セリで金子真人オーナーが5200万円で競り落としている。当歳はおらず、母のおなかには
モーリスの子が受胎中だ。
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