第74回
皐月賞(20日、中山11R、GI、3歳オープン国際(指)、セン馬不可、定量、芝・内2000メートル、1着本賞金9700万円 =出走18頭)2番人気の
イスラボニータが、直線で抜群の瞬発力を見せて抜け出し、クラシック3冠の初戦を制した。タイム1分59秒6(良)。初コース・距離を克服し、重賞3連勝で世代の頂点に立った。
栗田博憲調教師(65)、
蛯名正義騎手(45)は
皐月賞初制覇で、
フジキセキ産駒はクラシック初V。2着は1番人気の
トゥザワールド。上位4頭がダービー(6月1日、東京、GI、芝2400メートル)の優先出走権を獲得した。
初めての距離、コースも、未対戦のライバルも関係なかった。メンバー唯一の重賞2勝馬
イスラボニータが、スピードと瞬発力でクラシックの初戦を豪快にもぎ取った。
「馬を信じて乗りました。初の中山でも非常にいい折り合いがついていたし、最後にはじけると思いました。やっと、勝ったなという感じです」
19度目の挑戦で
皐月賞初制覇を果たし、区切りのJRA・GI20勝目を挙げた蛯名騎手が笑顔を見せる。
最大の関門が最初のコーナーだった。「跳びがきれいなのでゴチャつくのは嫌。1コーナーをうまくさばけました」。(2)番枠から他馬にからまれることなく、蛯名は巧みに中団の内へリード。向こう正面で外に持ち出して、徐々に進出。直線入り口では前をいく1番人気
トゥザワールドを射程圏に入れ、追い比べでねじ伏せた。
イスラボニータの父
フジキセキはデビューから4連勝で弥生賞を制しながら、
皐月賞前に故障で引退。“幻の3冠馬”と呼ばれたが、20年前の新馬戦で手綱をとったのが蛯名騎手だった。すでに種牡馬を引退しており現3歳が最終世代となるが、産駒のクラシックVは初めて。「最後の年に(クラシックを)勝つなんて不思議な縁です」。蛯名は感慨深い表情だ。