日本競馬史に輝く名牝の娘がついに覚醒だ。国内外でGⅠを7勝した
ジェンティルドンナを母にもつ超良血のジェラルディーナが、好位から馬群を割って伸び、初の重賞タイトルをつかんだ。
「前に乗っていた(福永)祐一さんに馬の特徴を聞き、この枠でどういう競馬がいいか考えて、理想的なポジションで競馬ができました。最後の伸びは僕が思っていた以上。狭いところをこじ開けてくれた馬の頑張りに感謝です」
初コンビで完璧な仕事を果たした横山武騎手が笑みをこぼした。レースでは内の②番枠を存分に生かし、これまで後方の競馬が続いていたパートナーを5、6番手のインに誘導。絶好の手応えで迎えた直線では、逃げた
バビット、前にいた
ウインキートスの間をこじ開けるように伸びた。
昨年の
ウインマリリンに続く
産経賞オールカマー連覇となった鞍上だが、今年は重賞で苦戦が続き、これが2勝目。「たくさんいい馬に乗せていただきながら、結果が出せず申し訳ない思いがありました。少し遅くなりましたが、こうして結果を出せてうれしく思います」。ゴール直後には、左の拳を力強く握って喜びを爆発させた。
斉藤崇調教師は期待する良血娘の重賞初Vに「どこかでタイトルを…と思っていた馬なのでよかった」とすがすがしい表情。「ジョッキーがうまく乗ってくれました。それに尽きます。体も増えてきて、気持ちの部分も普段はゆとりを持てるようになりました」とうなずいた。この日の体重は過去最高の464キロ。4歳秋を迎え、心身の成長は著しい。
馬主サンデーレーシングの吉田俊介代表も「いつも善戦で歯がゆい思いをしていただけにうれしいですね」とコメント。「賞金も加算できて、無事なら
エリザベス女王杯(11月13日、阪神、GⅠ、芝2200メートル)に向かうことになると思います」とこの秋のターゲットを口にした。
2014年
有馬記念でラストランを飾った母のように、初めての中山ではじけるように伸びたジェラルディーナ。心地よい秋の日差しは、将来のスターを柔らかく包んでいた。
(板津雄志)
◇
ジェラルディーナ 父
モーリス、母
ジェンティルドンナ、母の父
ディープインパクト。鹿毛の牝4歳。栗東・
斉藤崇史厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は㈲サンデーレーシング。戦績15戦5勝。獲得賞金1億6518万7000円。重賞は初勝利。
産経賞オールカマーは
斉藤崇史調教師が初勝利。
横山武史騎手は2021年
ウインマリリンに次いで2勝目。馬名は「女性名より」。