待望のビックタイトル獲得だ。
安田記念が6日、東京競馬場で14頭によって争われ、8番人気の
ダノンキングリーが7度目のGI挑戦で初制覇を飾った。連覇を狙った断然人気の
グランアレグリアはゴール直前でアタマ差かわされて2着。3着にはメンバーただ一頭の3歳馬で4番人気の
シュネルマイスターが入り、2013年
NHKマイルC以来の関東馬によるGI1~3着独占となった。
やっとつかんだビッグタイトルは、マイル女王を破る格別なものとなった。7カ月の休養明けで臨んだ
ダノンキングリーが、いきなり大仕事。8番人気の低評価を吹き飛ばし、同世代の女傑
グランアレグリアを破ってGI初制覇を飾った。
「内外離れていましたし、正直(勝ったか)分かりませんでした。(レース後に)向こう正面で(
グランアレグリアに)勝ったと分かったときは本当にうれしかったです」
川田騎手が激戦のゴール前を振り返る。道中は外から動いた
シュネルマイスターを見るかたちで8番手を追走。直線で雨の影響が少ない外めに持ち出されると、先に抜け出した
インディチャンプにシュネルとともに襲い掛かった。進路を内に取ったグランが一旦先頭に立ったが、そこからもうひと伸び。シュネルを競り落とし、グランをアタマ差かわしたところでゴール。今回が初コンビながら、超強力なライバルたちをねじ伏せた戦いぶりに川田騎手は「ともに競馬をしてきたし、ずっと見ていました。イメージするところはありました。もともと能力の高い馬ですから。GIで結果が出ていなかったですが、こういう素晴らしいメンバーでも勝ち切れるのが、この馬の本来の姿です」と称賛しきりだ。
デビュー3連勝で
共同通信杯を勝ち、一躍クラシック候補として注目を集めた。ところがGIでは、
皐月賞3着、
日本ダービー2着と惜しいレースが続き、古馬になってからも
大阪杯3着、
安田記念7着。前走、昨秋の天皇賞ではまさかの最下位12着に終わった。
そこで陣営は、思い切った休養で立て直しに踏み切った。萩原調教師は「出走できるレベルに至らなかったので、ここまで時間をかけました」とブランクの理由を説明。「どこかでGIを取らせなくてはいけないという思いがあった。やっと取ることができてホッとしています」と胸をなで下ろした。
「この後も、この馬の歩みを進めていってくれれば」と川田騎手が話せば、萩原調教師も「これをきっかけに今後もGIで上位争いをしてほしい」と活躍を期待する。5歳春、ようやくGIウイナーの仲間入りを果たした
ダノンキングリーが、これまでの失われた時間を取り戻すべく、大舞台で王者としての地位を確立していく。(柴田章利)
★6日東京11R「
安田記念」の着順&払戻金はこちら
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ダノンキングリー 父
ディープインパクト、母マイグッドネス、母の父ストームキャット。黒鹿毛の牡5歳。美浦・
萩原清厩舎所属。北海道浦河町・三嶋牧場の生産馬。馬主は(株)ダノックス。戦績12戦6勝。獲得賞金4億8779万6000円。重賞は2019年GIII
共同通信杯、GII
毎日王冠、20年GII
中山記念に次いで4勝目。
安田記念は
萩原清調教師が初勝利。
川田将雅騎手は15年
モーリス、17年
サトノアラジンに次いで3勝目。馬名は「冠名+王にふさわしい。王位に君臨することを願って」。
※グレード制が導入された1984年以降
★関東馬の1~3着独占…JRA・GIでは、2013年
NHKマイルC(1着
マイネルホウオウ、2着
インパルスヒーロー、3着フラムドグロワール)以来。
安田記念では、97年(1着
タイキブリザード、2着
ジェニュイン、3着
スピードワールド)、11年(1着
リアルインパクト、2着
ストロングリターン、3着
スマイルジャック)に続き3回目。
★関東馬の勝利…昨年(
グランアレグリア)に続く通算18勝目。関西馬17勝、外国馬3勝。
★前走最下位からのJRA・GI制覇…前走最下位からのJRA・GI制覇は、JRA所属馬としては初めて。
★単勝支持率…1・67%での優勝は過去最低。単勝(11)4760円は、本レースの式別最高払戻金額を更新。
★
川田将雅騎手…
安田記念3勝目で、岡部幸雄元騎手、
武豊騎手に並び最多。JRA・GIは通算18勝目。JRA重賞は通算105勝目。
★
萩原清調教師…JRA・GIは通算4勝目。JRA重賞は通算26勝目。
★
ディープインパクト産駒…昨年に続く通算4勝目で、本レース勝利数単独トップを更新。JRA・GIは通算65勝目(J・GI1勝を含む)。JRA重賞は通算263勝目。
★馬主・(株)ダノックス…JRA・GIは通算8勝目。JRA重賞は通算37勝目。
★生産牧場・三嶋牧場…JRA・GIは延べ60頭の出走で初勝利。JRA重賞は通算18勝目。
★優先出走権の付与…優勝馬には今年のブリーダーズカップマイル(米GI)の優先出走権が付与される。また、1~3着馬に今年の
ジャックルマロワ賞(仏GI)及びムーランドロンシャン賞(仏GI)への優先出走権が付与される。
★売り上げ、入場者数…
安田記念の売り上げは192億4197万6700円で、前年比101・1%。入場人員は4858人だった。