上半期の総決算、
宝塚記念は27日、阪神競馬場で13頭によって争われ、ルメール騎乗で1番人気の
クロノジェネシスが2馬身半差の快勝で、1998~99年の
グラスワンダー以来22年ぶり3頭目、牝馬初のグランプリ3連覇を達成した。秋は仏GI・
凱旋門賞(10月3日、パリロンシャン、芝2400メートル)に参戦予定で、日本馬初制覇の期待がかかる。2着は7番人気
ユニコーンライオン。2番人気
レイパパレは3着で、デビュー7戦目で初黒星となった。
残り100メートル。激しく叩き合う
レイパパレ、
ユニコーンライオンの2頭を、
クロノジェネシスが並ぶ間もなくかわした。2馬身半差で史上2頭目の
宝塚記念連覇。
有馬記念を合わせて史上3頭目、牝馬初のグランプリ3連覇だ。代打騎乗のルメール騎手が芦毛の首筋をなでて、ねぎらった。
「コンディションは良かったですし、すごくいい脚を使ってくれました。
宝塚記念は初めて勝てたので、うれしいです。
オオキニ!!」
好スタートから、すぐに6戦無敗馬
レイパパレの真後ろを確保した。初コンビでもぴたりと折り合い、3コーナーで後続馬が仕掛けてもインで我慢。たっぷりためた末脚を直線で爆発させ、粘り強く伸びて差し切った。
主戦の北村友騎手が落馬負傷したため、騎乗が実現。これまでライバルの馬上から見てきた名手は「いつも道中の手応えが良く、段々とペースアップしてくれる乗りやすい馬」と分析した。その通り、馬群の中に入れて見事にエスコートし、自身7回目の挑戦での
宝塚記念初Vに笑み。上半期でのJRA・GI4勝は、史上最多タイだ。
クロノは、初の海外遠征となった
ドバイシーマクラシック2着から帰国初戦。4月に着地検査を終え、放牧先(ノーザンファームしがらき)へ移動したときには450キロ近くまで馬体重が減っていた。懸命のケアで6月の帰厩時には500キロ以上に回復。調教で絞って
有馬記念から4キロ増の478キロで出走させた厩舎と、放牧先のチーム力が表われた1勝となった。
凱旋門賞について斉藤崇調教師は「オーナー、牧場と相談してからになります」としたが、所有する(有)サンデーレーシングは参戦に意欲。ルメール騎手は「ヨーロッパの血統だし、重い馬場は問題ない。いい挑戦。トライしないといけないと思います」と後押しした。
父バゴは2004年の
凱旋門賞勝ち馬で、父娘制覇もかかる。日本馬延べ27頭が挑んで届かなかった、
凱旋門賞制覇へ。秋は、パリロンシャンの歴史にその名を刻む。(山口大輝)
★27日阪神11R「
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クロノジェネシス 父バゴ、母クロノロジスト、母の父
クロフネ。芦毛の牝5歳。栗東・
斉藤崇史厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)サンデーレーシング。戦績15戦8勝(うち海外1戦0勝)。獲得賞金11億2925万5400円(うち海外1億302万1400円)。重賞は2019年GIII
クイーンC、GI
秋華賞、20年GII
京都記念、GI
宝塚記念、GI
有馬記念に次いで6勝目。
宝塚記念は
斉藤崇史調教師が20年に次いで2勝目、クリストフ・ルメール騎手は初勝利。馬名は「母名より+創世記」。
★北村友にエール…ルメール騎手は、クロノのデビュー以来、前走までの全14戦で騎乗した主戦で、落馬負傷した
北村友一騎手(34)=栗・フリー=にエール。「私も昔、けがをしてGIに乗れなくなったことがありました。気持ちはよく分かります。まだ若いですから。いいリハビリをして、またGIを勝つことができます」と気遣った。
★連覇…2013、14年
ゴールドシップ以来、7年ぶり2頭目。牝馬では初。
★グランプリ3連覇…1969~70年のスピードシンボリ、98~99年の
グラスワンダー以来3頭目で、宝塚→有馬→宝塚の順は初。グランプリ3勝は前述の2頭と
オルフェーヴル、
ゴールドシップに並んで最多。
★JRA獲得賞金10億円突破…JRA獲得賞金を10億2623万4000円とし、
メジロマックイーン(10億1465万7700円)を抜いて歴代15位に。
★優先出走権…優勝馬には10月23日にムーニーバレー競馬場(オーストラリア)で行われるGI・
コックスプレート、及び11月6日にデルマー競馬場で実施される米GI・
ブリーダーズCターフの優先出走権が付与される。
★馬体重344キロで出走…
メロディーレーン(11着)は344キロで出走し、成績公報に馬体重を掲載した71年以降、同レースにおける最少馬体重出走記録だった86年ワンダーヒロインの386キロを42キロ更新。
★4年連続出走…
キセキ(5着)は18年から4年連続出走。これは
ステイゴールド(98~01年)と並ぶ同レースでの最多連続出走。
★乗り替わり…
松山弘平騎手(31)=栗・フリー=は27日、阪神5R新馬戦(芝1800メートル、
ローマンネイチャーに騎乗予定)の返し馬で落馬し、負傷した。競馬場内の診療所で検査を受け、顔面打撲、口唇部挫創、右前腕打撲症と診断された。5R以降の6鞍が乗り替わりとなり、
宝塚記念の
カデナは浜中騎手に変更となった。
★上半期の売り上げ前年比増…
宝塚記念の売り上げは223億8317万1000円で、前年比109・7%とアップ。入場人員は4710人(昨年は無観客)だった。また、中央競馬は27日で上半期の全日程(開催146日)が終了し、売り上げは1兆5452億6279万7300円で前年比106・0%。GIでは
フェブラリーSを除く11レースでアップした。入場人員は21万581人だった。