シンザン記念の追い切りが9日、東西トレセンで行われた。栗東では、新馬戦を5馬身差で完勝したルーツドールが、川田騎手を背にCWコースでの併せ馬でパワフルに先着。調教評価でただ1頭の『S』となった。GI2勝のフィエールマンを半兄に持つ良血が、デビュー2戦目での重賞初勝利を狙う。
年長の牡馬勢でも手を焼くような重い馬場を、3歳牝馬ルーツドールが力強く駆け抜けた。見届けた藤岡調教師が満足そうに切り出した。
「馬場が悪いのでのめった感じはあったけど、しっかり動けていた。抜け出すときの反応も良かった」
川田騎手を背に、CWコースで併せ馬。追走する形から、直線で鞍上が内に進路を取って仕掛けると一気にギアチェンジして突き放した。雄大なフットワークで6ハロン82秒3-11秒7をマークし、イオウゼン(3歳未勝利)に3馬身先着。ただ1頭、最上級の調教評価『S』となった。
兄は2018年菊花賞、19年天皇賞・春を勝ったフィエールマン(父ディープインパクト)。父がジャスタウェイに替わった妹も、昨年11月16日の東京マイルの2歳新馬戦で、5馬身差のデビューVを飾った。このときの勝ち時計『1分33秒3』は、グランアレグリアの1分33秒6(18年6月3日)を0秒3も更新する2歳新馬戦(マイル)の史上最速タイム。圧倒的なスピードを武器に昨年の桜花賞を制したグランをもしのぐ、圧巻の内容だった。
「全体的な能力が、明らかに高い。性格的にもオンとオフがはっきりしているのもいい」とセールスポイントを挙げたトレーナーは、「体幹がしっかりして、走りがまとまってきた」と上積みを証言。500キロ超の馬体からも大物感たっぷりで、このレースを勝ってのちに牝馬3冠を達成した2012年のジェンティルドンナ、18年のアーモンドアイの後を追う存在になりそうだ。
「(川田)ジョッキーは『現状でこれだけのパフォーマンスができれば楽しみです』と。芝では馬場が悪くても問題ない。いい競馬をしてほしい」と藤岡師。フランス語で『黄金の道』を意味する才女が、名牝への一歩を踏み出す。(川端亮平)
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