3歳牡馬のクラシック3冠初戦、GIの
皐月賞(芝2000メートル)が14日、中山競馬場で行われる。主役は昨年12月28日に同じ舞台のGI・
ホープフルSを快勝した
サートゥルナーリア(栗東・
角居勝彦厩舎、牡3歳)だ。今回は中106日での出走。過去に3歳初戦で
皐月賞を制した馬はいないが、常識を覆す走りを良血馬は見せてくれそう。偉業を後押しする材料は十分にある。
デビューから圧倒的な強さで3戦全勝の
サートゥルナーリアだが、この
皐月賞では休み明けを不安視する声もある。今年で79回目の
皐月賞を3歳初戦で制した例はない。
ディープインパクト、
オルフェーヴルというのちの三冠馬も、前哨戦を使い本番に臨んでいる。
前走から中106日というローテーションが鍵を握るが、陣営は自信の口ぶりだ。8日朝の滋賀県・栗東トレセン。角居厩舎の滝川助手は「休み明けですが十分に力は出せると思います。去年と比べて、体の使い方が良くなりました」と手応えを口にした。その自信を支えるかのように、ブランクを克服できる3つの大きな要素がある。
(1)歴史を覆した桜花賞
7日の
桜花賞は、昨年の
朝日杯FS3着以来だった
グランアレグリアが圧勝。前走から中111日を克服し、79回目で初めて3歳初戦の馬が優勝した。藤沢和調教師は「牧場でずいぶんと乗り込んでいたので、トレセンに帰ってきてからは、調整程度でいい感じだった」と証言する。今は放牧先の牧場としっかりと連携できていれば、休養中でも調教を進めることができる。
サートゥルナーリアも放牧先の滋賀県・ノーザンファームしがらきの坂路で乗り込まれ、3月13日に栗東に帰厩。その後の調整は順調だ。
(2)休み明けに実績がある角居厩舎
角居厩舎は今年、
シャケトラが1年1カ月ぶりのGII・
AJCCを優勝。6日のGII・
ニュージーランドTも、今年初戦の
ワイドファラオが勝利を収め、休み明けで重賞2勝と、復帰戦の仕上げに信頼が持てる。また
サートゥルナーリアの母
シーザリオ(2005年
オークス、アメリカンオークス)、兄の
エピファネイア(13年
菊花賞、14年
ジャパンC)、
リオンディーズ(15年
朝日杯FS)も所属しており、この血統の特徴を熟知していることも大きな強みだ。
(3)欧州では主流
欧州では近年、春以降のスケジュールに余裕を持たせるため、3歳初戦に英2000
ギニー(日本の
皐月賞に相当)を選ぶケースが多い。“ぶっつけ本番”が世界の主流になりつつあるのだ。
以上を総合すれば、休み明けでも不安はないという結論になる。現時点では05年
ディープインパクト以来、史上17頭目の無敗の
皐月賞馬が誕生する可能性が高そうだ。
★前走10月から直行
4月下旬から5月上旬に行われる英2000
ギニーの優勝馬は、2012年キャメロット、13年ドーンアプローチ、15年グレンイーグルス、16年ガリレオゴールド、17年チャーチル、18年サクソンウォリアーと、過去7年で6頭が3歳初戦。今年、1番人気に推されているトゥーダーンホットも昨年10月以来の実戦となる。
★過去に8頭、5着が最高
グレード制が導入された1984年以降で、
皐月賞が3歳初戦だった馬は8頭いて5着が最高。ただし上位人気に支持された馬はいなかった。一昨年の
レイデオロは順調さを欠いたため前哨戦を使えなかったが、
皐月賞5着のあとダービーを制覇。
サートゥルナーリアの
皐月賞直行は予定通りという点は強調材料になる。
★常識破りの現3歳世代
1月6日のGIII
シンザン記念では
ヴァルディゼールが、同14日のGIII
京成杯では
ラストドラフトがそれぞれ1戦1勝のキャリアで優勝。ともにレース史上最少キャリアでの勝利となり、現3歳世代のクラシックロードではことごとく常識が覆されている。
★
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