菊花賞トライアル、セントライト記念の追い切りが12日、東西トレセンで行われた。栗東では1000万下を勝った直後の上がり馬タニノフランケルが、CWコースでの3頭併せで迫力のある走りを披露。父母合わせてGI17勝の超良血馬が重賞初制覇へ弾みをつけた。
全身を使ったど迫力のフォームで、外の僚馬を一瞬でかわし去った。上がり馬、タニノフランケルが重賞初制覇へ熱のこもった走りを披露。手綱を取った幸騎手が、好感触にうなずいた。
「先週も乗りましたが、相変わらず動きはよさそうですね。春はまだ緩さがある感じでしたが、前よりも芯が入ったような感じがしますね」
カイザーバル(1000万下)、アールジオール(新馬)を見ながらCWコースの向こう正面をリラックスした走りで進んでいく。最内を通り、3、4コーナーで差を詰め、直線に入るとグイッとひと伸び。鞍上に軽く促されると、最後まで半馬身差を保ったままでフィニッシュした。5ハロン69秒0、3ハロン38秒3-11秒6の好タイム。500キロを超す大きな馬体を弾ませ、好気配をアピールした。
春は3歳500万下を勝った直後に京都新聞杯に挑戦し、17着。重賞の壁にはね返されたが、夏の始動戦となった前走の西部スポニチ賞(1000万下)では、スタートから果敢にハナを奪って4馬身差で逃げ切り。成長の跡をみせた。続けて手綱を取る幸騎手からは「前回のような形がベスト。ハナに行った方が気持ちよさそうに走っていましたね」と逃げ宣言が飛び出した。
父のフランケルは英国で14戦14勝(GI10勝)で引退した怪物で、母はGI7勝のウオッカ。名牝の4番目の子供となる。辻野助手は「(きょうだいに)共通してサイズが大きいというのはありますが、この子は早い段階から動けていた。そういう意味では、今後も楽しみ」と期待を寄せる。
「中山はいいと思いますし、スタミナもあると思う。(権利を取れれば菊花賞も)楽しみですよ」と幸騎手。“GI17勝の血”が覚醒すれば、さらなる高みが見えてくる。(山口大輝)
★父は14戦全勝、母はダービー制覇
父フランケル(父ガリレオ)は14戦全勝で英チャンピオンSなどGI10勝を挙げ、2011&12年と欧州年度代表馬に輝いた。種牡馬入り後も数々の活躍馬を送り出し、日本でもソウルスターリング(オークス、阪神JF)、モズアスコット(安田記念)がGIを制している。
母ウオッカ(父タニノギムレット)は07年日本ダービーで64年ぶり史上3頭目の牝馬Vを飾るなどGI7勝をマークし、08&09年のJRA賞年度代表馬に選出。11年には顕彰馬となった。引退後はアイルランドで繁殖生活に入り、タニノフランケルが4番子。半姉タニノアーバンシー(栗・中竹、牝5)は4勝を挙げている。
★セントライト記念の特別登録馬(想定騎手入り)はこちら 調教タイムも掲載