金子京介
導師嵐山
山口吉野
スガダイ
くりーく
岩田康騎乗で12番人気のイズジョーノキセキが、直線で内から馬群をさばいて強烈な末脚を発揮。先に抜け出した1番人気のソダシをゴール寸前でアタマ差捕らえて重賞初制覇を飾った。管理する石坂公一調教師はJRA重賞初勝利。今後は優先出走権を獲得したエリザベス女王杯(11月13日、阪神、GⅠ、芝2200メートル)に向かう予定。3番人気のアンドヴァラナウトが3着だった。一刀両断の末脚が悲鳴を巻き起こした。力強く抜け出した白毛の女王ソダシが先頭でゴールに飛び込まんとするその刹那、背後から襲い掛かったのは12番人気の伏兵イズジョーノキセキ。純白の馬体だけをターゲットに懸命にムチを振る岩田康騎手の叱咤(しった)に応え、堂々とヒール役を演じ切った。「最高のレースができたから、体が反応してしまって」。興奮冷めやらぬ検量室前。殊勲の鞍上がレース後の大きなガッツポーズをこう釈明する。まさに納得。馬群のインでじっくり脚をためギリギリで爆発させる〝岩田康スペシャル〟ともいえる会心の一撃には、長年の感謝の思いも秘められていた。「馬主さん(泉一郎氏)が園田時代から応援してくれている人で。初重賞ですし、期待に応えられてうれしい」。自身がかつて所属した園田時代の騎手服(白、青襷)と同じデザインを勝負服に使用する恩人への思いも口を突いた。「アイドルホースを…。すいません」。開業4年目でJRA重賞初Vとなった石坂公一調教師は主役撃破に恐縮のそぶりを見せつつ「去年のエリザベス女王杯(5着)で頑張れたので、早くからこのローテと決めていました。もともと賢い馬ですけど、年齢を重ねて大人になった」と本番での頂点取りを宣言。たたき上げの刺客はさらなる高みを目指す。(内海裕介)■イズジョーノキセキ 父エピファネイア、母キングダンサー、母の父キングカメハメハ。鹿毛の牝5歳。栗東・石坂公一厩舎所属。北海道新ひだか町・沖田哲夫氏の生産馬。馬主は泉一郎氏。戦績は21戦5勝。獲得賞金1億6224万2000円。重賞は初勝利。府中牝馬Sは石坂公一調教師が初勝利。岩田康誠騎手は2017年クロコスミア、19年スカーレットカラーに次いで3勝目。馬名は「馬主名より+人名より+奇跡」。