日本が誇る競馬界のスターが、ついにターフに戻ってきた。3月27日のGIII
毎日杯で落馬し、左鎖骨骨折などで休養していた
武豊騎手(41)=栗・フリー=が、1日の小倉競馬で127日ぶりに戦列に復帰した。この日は2鞍に騎乗して6Rはコードゼットで4着、10R
小倉記念は
スマートギアで3着。久々の白星はお預けとなったが、競馬界の“顔”の復帰は、この夏一番の盛り上がりを見せた。
待ちに待った騎乗に、夏の小倉が大きく沸いた。127日ぶりの勝利こそならなかったが、
武豊騎手が確かな手応えとともに、完全復活への第一歩を踏み出した。
「こんなに長い期間、馬に乗れなかったのは子供の頃を含めても初めて。たった4カ月かもしれないが、ボクにとっては長い4カ月でしたね」
復帰初戦となった小倉6R。ユタカがパドックに現れると大きな歓声に包まれ、返し馬でスタンド前を通過する時も拍手は鳴りやまなかった。レースでは2番人気コードゼットを巧みに操り、直線では見せ場を作ったが惜しくも4着。レース後は「勝てなくて残念」と悔しさをにじませたが、そのさわやかな笑顔には充実感があふれていた。
続く
小倉記念の
スマートギアは、堂々の1番人気。後方2番手から3~4コーナーで外から進出し、メンバー最速の末脚(3ハロン34秒4)を駆使したが、3着に敗れた。期待に応えることこそできなかったものの、後方脚質の
スマートギアはもともと小回りコースは不向き。直線は力強い追い込みで、能力は十分に引き出したといっていい。
「いい競馬はできた。いい形になったけど、前の2頭が止まらなかったからね。2回乗ったけど(肩は)大丈夫。他の乗り役から“前よりいいじゃない”って言われたよ(笑い)」。左肩にはテーピングが巻かれていたように、まだ完璧とはいかないが、その表情はにこやか。復帰初日は2鞍の騎乗にとどめたが、症状の良化とともに騎乗数は増えていくはずだ。
「楽しみなレースもありますし、いいパフォーマンスを見せて、ファンや関係者の期待に応えたい」。秋には
ヴィクトワールピサ(栗・角居、牡3)での
凱旋門賞(10月3日、ロンシャン、仏GI、芝2400メートル)挑戦も控えているユタカ。競馬界を盛り上げていくためにも、その存在は絶対に欠かせない。(瀬戸聡)