東西サンスポ記者が、1週間の密着取材で勝ち馬を探るGI企画。天皇賞・春を担当する大阪サンスポの山口大輝記者(26)は連載3日目、芝に再転向してから4戦3勝と才能を開花させたガンコ陣営を直撃した。1週前追い切りでは動きに重さがあったが、25日の追い切りでは藤岡佑騎手が太鼓判を押す動きの良さを披露した。
追い切りで一番、気になっていたのがガンコだ。月曜日に担当の中村助手から「前走後に疲れが出たので、ちょっと(調整の)内容を緩めて楽をさせた。そのぶん、まだ1週前では『動きが重いような気がする』と藤岡(佑)騎手も言っていました」と聞いていたからだ。
開門直後の午前6時過ぎ。坂路に姿を現したガンコは、鞍上の藤岡佑騎手とぴったりと呼吸を合わせて急勾配を駆け上がった。抑えの利いた走りで、馬なりでラスト1ハロン12秒3(4ハロン54秒4)でフィニッシュ。素軽さが伝わってくる動きだ。追い切りを終えた藤岡佑騎手を直撃した。
「心配いらないですよ。僕もそれだけ(1週前の動きの重さ)が心配でした。動きはよかったし、いい状態です」
同じ不安を抱えていた様子だが、明るい表情にひと安心だ。
前走の日経賞では、菊花賞馬キセキに道中で絡まれながら、冷静なレース運びで重賞初V。ダート中距離が主戦場だったが、昨年末に芝再転向後は4戦3勝。残る1戦もGII日経新春杯での3着と、ほぼ完璧だ。変身の秘密とは…。松元調教師に聞いてみた。
「成長の時期とかみ合ったんだろうね。障害練習を始めてから体も大きくなった。(期待を)完全に超えているよ」。昨年11月の1000万下戦(12着)後、障害転向を視野に飛越練習を始めたことが、好結果につながっているのだという。中村助手は「(障害練習で)前向きさが出てきました。追い切るたびに良くなっていましたし」と証言。飛越センスは抜群だったというのも、運動能力が高い証しだろう。上昇一途の上がり馬が一気の戴冠を果たす…そんなシーンが浮かんだが、まだ枠順発表前。決定する木曜は、各陣営の思惑もしっかり取材したい。
★メジロパーマーは障害経て’92宝塚、有馬V
障害を経験して強くなった代表例がメジロパーマーだろう。4歳時に札幌記念で重賞初制覇を飾ったが、その年の秋に障害入り。(1)(2)着の後、平地に復帰。5歳時の1992年に宝塚記念、有馬記念を勝った。93年のエリザベス女王杯を勝ったホクトベガは、4歳時に障害入りが検討され障害飛越を練習。障害戦には出走しなかったが、その後ダート交流レースで大活躍した。
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