第62回
安田記念(3日、東京11R、GI、3歳上オープン国際(指)、定量、芝1600メートル、1着本賞金1億円=出走18頭)春のチャンピオンマイラー決定戦は、2番人気
ストロングリターンが後方から末脚を伸ばして1分31秒3の日本レコードでGI初制覇、昨年2着の雪辱を果たした。
堀宣行調教師(44)は昨年の
リアルインパクトに続き連覇。コンビを組んだ
福永祐一騎手(35)は土曜の
鳴尾記念、日曜の
安田記念、
ユニコーンSと史上初の土日重賞3連勝。春のクラシック無冠のうっぷんを晴らした。
電光掲示板に浮かぶレコードの赤文字にスタンドがわく。昨年の
安田記念2着の
ストロングリターンが、1分31秒3の日本レコード決着を制してGI初制覇。
福永祐一騎手は右拳を掲げ、「よくやったぞ」とパートナーの首を
ポンポンと叩いてねぎらった。
「すみません。やっと勝てたという感じです。春のGIに有力馬で挑みましたが、ずっと勝てなくて。最後の最後に結果を出せてよかったです」
ユーイチはさわやかに汗をぬぐう。今年はGIで8戦未勝利。1番人気には3度騎乗した。
ワールドエースで臨んだダービーも1番人気で4着。それだけに今回にかける思いは強かったはず。最終レースの
ユニコーンSも制し、自身2度目となる1日5勝の固め勝ち。香港からやってきたメディアも「トゥデイ イズ フクナガデー」と日本のリーディングジョッキーにお手上げだ。前日の
鳴尾記念(
トゥザグローリー)と合わせた土日(1週)3重賞Vは史上初の記録となった。
「乗り方次第で勝てると思っていました。非常にいいスタートを切ってくれたし、
サダムパテックの後ろが取れて直線でもスムーズに出せましたからね。完璧なレースで勝ってくれましたよ」
京王杯スプリングC4着に続く2度目の騎乗で全能力を引き出したユーイチは笑顔で振り返る。「左にモタれる面がある」と直線残り400メートル手前で外に出し、内のGI2勝馬
グランプリボスを競り落とす見事なライディングだった。
堀宣行調教師は昨年の
リアルインパクトに続いて史上4人目の
安田記念連覇。大役を果たしたユーイチは「昨年はストロングに石橋(脩)君が乗って2着。今回はそれ以上の結果が出せましたし、大きな自信になります」とホッとした表情を見せ、会見で宣言した。
「来月はアメリカ(西海岸)へ行きます。
宝塚記念が終わってから秋の阪神開催が始まるまで。腕試し的なものもありますし、完成されたジョッキーではないので自分に足りないものを埋めたい」
現状には満足せずに騎手として高みを目指す。ユーイチが次に
ストロングリターンと
コンタクトを取るのはアメリカか秋か。さらなる成長を遂げたコンビの前途は洋々だ。 (森田実)