マーメイドSが20日、阪神競馬場で16頭によって争われ、10番人気の
シャムロックヒルが逃げ切り、格上挑戦で重賞初勝利。
藤懸貴志騎手(28)=栗・フリー=もデビュー11年目で念願の重賞初制覇だ。2着は5番人気の
クラヴェル、3着は6番人気の
シャドウディーヴァが入り、3連単33万150円と今年も大波乱の決着となった。
梅雨の晴れ間の仁川のターフで、藤懸騎手の笑みがはじけた。デビュー11年目、29度目の挑戦でつかみ取った重賞初勝利。クビ差の接戦を制し、
シャムロックヒルの背で右手を突き上げた。
「直線まで手応えが良くて、追ってからも反応が良かったです。ずっと先頭だったので、『こないでくれー!!』と思いながら、無我夢中でした」
最内枠から好発を決めてハナを奪い、速過ぎず、遅過ぎないペースを刻んだ。直線半ばで
シャドウディーヴァに迫られると左ムチで鼓舞して振り切り、最後は大外を伸びてきた
クラヴェルの追撃もしのいだ。2012年にクリスマスキャロルでの重賞初騎乗で自己最高の2着に入った縁のあるレースで、待望の初タイトルを手に入れた。
10年目を迎えた昨年1月、所属していた平田厩舎を離れてフリーに転向。騎乗依頼仲介者もつけず、騎乗馬確保のために自ら厩舎を回る。調教だけでレースにつながらない調整役をいとわず、癖のあるタイプにも進んでまたがり、栗東屈指の騎乗数で腕を磨いてきた。
「乗せてくださる方がたくさんいて、感謝の気持ちでいっぱいです」。GI初騎乗だった今年の
オークスは16番人気の
ハギノピリナで3着。今回はハンデ50キロと最軽量タイの10番人気で波乱を呼び込んだ。
佐々木調教師は管理していた
キズナ産駒での重賞初勝利。「父になった
キズナが、父の日に僕にプレゼントしてくれた」とにっこり。一昨年の覇者サラスの半妹は今後、
クイーンS(8月1日、函館、GIII、芝1800メートル)を視野に入れる。人馬とも熱い夏になりそうだ。(川端亮平)
★20日阪神11R「
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■藤懸 貴志(ふじかけ・たかし)…1993(平成5)年2月25日生まれ、28歳。長野県出身。2011年に栗東・
平田修厩舎からデビューし、2年目に16勝、3年目に13勝をマーク。20日現在、JRA通算99勝で今回が重賞初勝利。
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シャムロックヒル…父
キズナ、母ララア、母の父タピット。芦毛の牝4歳。栗東・
佐々木晶三厩舎所属。北海道千歳市・社台ファームの生産馬。馬主は(有)社台レースホース。戦績15戦4勝。獲得賞金6257万1000円。重賞は初勝利。
マーメイドSは
佐々木晶三調教師、
藤懸貴志騎手ともに初勝利。馬名は「クローバーの丘(母名はアイルランドの村でクローバーは国花)」。
