第69回
阪神ジュベナイルフィリーズ(10日、阪神11R、GI、2歳牝馬オープン国際(指)、馬齢、芝・外1600メートル、1着本賞金6500万円 =出走18頭)
石橋脩騎乗の2番人気
ラッキーライラックが、中団追走から直線で抜け出して3戦3勝で2歳女王の座に就いた。タイム1分34秒3(良)。2歳世代が初年度産駒となる父
オルフェーヴルは、種牡馬としてGI初制覇となった。2着は3番人気の
リリーノーブル。1番人気の
ロックディスタウンは9着に敗れた。
気の荒さで知られた父の子とは思えない、スマートな勝ちっぷりだ。
オルフェーヴルの初年度産駒
ラッキーライラックが、3戦全勝で父に初のビッグタイトルをプレゼント。デビューからコンビを組む石橋騎手が、落ち着き払ったパートナーをたたえる。
「前回でリキんだのが気がかりだったけど、すぐに落ち着いた。前に目標がいて、折り合いもスムーズ。手応えも素晴らしかった。あとは合図を出せば、前走以上の脚を使ってくれると思った」
序盤に1番人気
ロックディスタウンが掛かり気味に進出。スタンドがどよめくなか、スッと中団へ。「いいところにはまれたので、自信を持った」。直線で外に出すと、抜け出しを図る
リリーノーブルを目標にゴーサイン。鞍上のムチに応えてグングンと伸び、メンバー最速タイの上がり33秒7を駆使して差し切った。
2012年春の天皇賞以来となるGI2勝目を飾ったジョッキーは、ゴールした瞬間2度、3度とガッツポーズ。「
ビートブラックで勝たせてもらて、夢のような瞬間だった。またGIを勝ちたい、と頑張ってきてよかった」。過去には「未熟さゆえに取り逃した」チャンスもあったが、普段からデビュー前の新馬の調教に騎乗、レースでも積極的な競馬を心がけながら技術を磨いた。15年目の今年はキャリアハイの63勝。「続けることが大事。守りに入らずいきたい」と進化を誓う。
「強かったです。力を出し切ればいい競馬ができると思っていたので、冷静に見られました」
JRA・GI3勝目の松永幹調教師も笑顔。「普段はおとなしく、競馬でスイッチが入る。気を使うところがない」。荒ぶる気性で知られた父
オルフェーヴルと違い、優等生の愛馬に目を細める。
この後は放牧へ出て、来春の
桜花賞を目指す。松永幹調教師は「距離が延びていいと思っている」。2400メートルの
オークスとの牝馬クラシック2冠へ-。2歳女王の座に就いた
ラッキーライラックが、世代の中心を担い続ける。 (千葉智春)
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